ソフトバンクBBは8月14日、iPhone 3G/iPhone 3GS向けにデザインした漆塗りのケースと専用袋のセット「JAPAN TEXTURE Special Editions for iPhone 3GS/3G」を発表した。携帯電話向けの周辺機器などをラインアップする「SoftBank SELECTION」ブランドで展開する。価格はそれぞれ9万9800円。1つ1つ手作りとなるため、SoftBank SELECTIONオンラインショップ限定で申し込みを受け付ける。
JAPAN TEXTURE Special Editions for iPhone 3GS/3Gでは、もし戦国武将がiPhoneを持っていたら、というコンセプトの下、各武将の信条や愛用品をケースや専用袋に採用。ケース本体はこれまでにもJAPAN TEXTUREでコラボレートしてきた京漆器の老舗象彦がデザインと制作を担当。専用袋は和コーディネーターの柾木良子さんがデザイン、和装小物を手がける京都の企業、さくらが制作を担当した。
ラインアップされた5つのケースは、織田信長、伊達政宗、上杉謙信、直江兼続、真田幸村の5人をモチーフにしており、それぞれのイメージしたデザインや柄を採用。ポリカーボネート樹脂にラバー加工を施したパネルに、漆を3回重ね塗りして深さを表現している。制作は1つ1つ手作りで行うため、3〜4週間の時間がかかるとのこと。「漆で表現した高い技術は、購入していただいたお客様には必ず納得いただけると思う」とソフトバンクBB コマース&サービス統括 CN事業推進本部 ハードウェア事業推進統括部 ハードウェアMD部 マーケティング課の橋本雅斗氏は自信を見せた。
製品にはパネルと専用袋のほかに、武将の人となりやエピソード、デザインのモチーフなどを解説したブックレットも付属する。ブックレットの執筆は、デザインの監修も担当した歴史家であり、作家でもある加来耕三氏が担当した。加来氏は「武将は20人くらいの候補の中から選んだ。非常に完成度が高い製品が出来上がった。職人は大変だったと思う。織田信長にしろ伊達政宗にしろ、みなさんが持っているイメージがある。そのイメージの中で納得してもらえるレベルにしつつ、さらにそのイメージを広げてもらえるデザインをめざした。最大公約数を取りながらイメージを広げる作業が大変だった」と振り返った。
このほか、各武将の家紋をデザインした個装箱も用意しており、戦国武将や歴史が好きなファンにはたまらない一品となっている。
織田信長をモチーフにしたパネルは、信長の派手好きなイメージから朱漆を採用。中央の下部に、信長のポリシーである「天下布武」の印を金蒔絵であしらった。上部には、信長が使ったと伝えられている南蛮鎧の胸に記されていた、大日如来と不動明王を表す梵字を黒漆で記した。背景には、金、青金、朱金で散りゆく桜を描き、信長が好んで舞ったと言われる幸若舞曲「敦盛」の無常観を表現している。
袋は南蛮文化を積極的に取り入れたとされる信長のイメージを、黒のスエード調生地で表現。裏地には金通しの丹後ちりめんを使用し、裏地にも凝るおしゃれさを表したとのこと。
伊達政宗のデザインは、「伊達者」の語源になったと言われる派手でしゃれた戦装束をイメージしたもの。黒漆五枚胴具足にちなんで黒漆をベースに、正宗のかぶとにあった三日月の前立てをあしらい、さらに仙台市の市花である萩を、黒漆を盛り上げる手法で表現した。三日月の部分は、蒔絵とベースの表面が同じ高さになる「総研出蒔絵(そうとぎだしまきえ)」という手法を用いている。下端には正宗の花押を再現した。
袋は正宗の陣羽織のデザインを再現。深い紫色の生地に色鮮やかな水玉模様を配した。水玉の刺繍はヨコ振りという京刺繍の手法を用いて仕上げられている。
上杉謙信モデルは、謙信が信仰していた軍神、毘沙門天が、黒の乾漆粉でシルエットとして表現されているのが特徴。また、「天賜の御旗」あるいは「日の御旗」などと呼ばれる、紺地に赤の日の丸の軍旗をもとにした日の丸を朱金であしらった。下部には合戦の突撃の合図に使用されたという「懸り乱れ龍」の文字を、銀粉を盛り上げる「高上蒔絵」で再現した。
専用袋は紺のベルベット製。これは謙信の「羅紗袖替陣羽織(ラシャそでがわりじんばおり)」をモチーフにしたものだという。サイドには金のリボンの編み込みが施してある。この5つの編み込みは、武田信玄と相対した川中島の合戦での5回の決戦を表現したものだ。
大河ドラマなどで知名度が高い直江兼続をモデルにしたケースは、もっとも有名な漢詩「春雁吾に似て 吾雁に似たり 洛陽城裏花に背いて帰る」から着想を得て、月に向かって飛ぶ雁をモチーフにしている。その月の中に、有名な愛の前立てを「総研出蒔絵」で浮かび上がるように表現。さらに、兼続が最上川の治水事業に大きな功績を残したことから、下部には波の絵を配した。
専用袋のデザインは、兼続の出身地である新潟県南魚沼市周辺で織られている絹織物「本塩沢」を用いたもの。蚊絣と呼ばれる細かい十字絣や亀甲の精密な絣柄が特徴で、白・紺・黒のシックなイメージとなっている。
真田幸村のケースは、真田兵の象徴である「赤揃え」にちなみ、朱漆をベースとしている。上部には旗印として有名な六文銭を、金粉が下に行くほど薄くなる「蒔ぼかし」という手法を用いて表現。下部には、関ケ原の合戦後、父昌幸とともに蟄居した善名称院(真田庵)が牡丹の名所となっていることから、牡丹唐草の文様を、戦国武者の着物の柄をイメージして表現した。
収納袋は、幸村の素朴で実直なイメージに合う茶褐色の生地に、茶褐色と「かちいろ」と呼ばれる青黒を使用した真田紐を中央に配したデザインとした。
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