写真と動画で解説する「HTC EVO WiMAX ISW11HT」(1/2 ページ)

» 2011年02月28日 20時00分 公開
[山田祐介,ITmedia]

 新社長田中孝司氏の指揮の下、「Android au」のキャッチコピーを掲げてスマートフォンに注力しているKDDIが、気になる端末を発表した。4月上旬以降に発売するHTC製Android端末「HTC EVO WiMAX ISW11HT」は、日本初となる“WiMAX対応スマートフォン”だ。さらに、3GとWiMAXどちらのネットワークでもテザリングができ、最大8台を接続できるWi-Fiルーターにもなる。

テザリング解禁、驚きの料金設定

photo HTC EVO WiMAX ISW11HT

 端末の細部を見ていく前に、同モデルの特徴と注意点について触れておきたい。何といっても注目なのが思い切った利用料金だ。まず、テザリングに追加料金は必要ない。さらにWiMAXは通常のスマートフォン向けデータ通信プランに“525円”を足すだけで使い放題になってしまう。例えばISフラットに加入していた場合、データ通信料はIS NET込みで6300円となる。WiMAXの利用のために別途契約をする必要はなく、“WiMAXを使った月のみ”525円が追加される仕組み。おまけに8月まではキャンペーンでWiMAXは無料だ。

 モバイル通信環境を1回線にまとめて、通信費を抑えたい――EVO WiMAXは、そんなユーザーニーズの一歩先に踏み込んでいる。なにせ、使えるネットワークはWiMAXと3Gの2種類なのだ。WiMAXが入る場所では、理論値で下り最大40Mbps/上り10Mbpsの高速通信が利用でき、WiMAXが入らなくても、CDMA 1x EV-DO Rev.Aで下り最大3.1Mbps/上り最大1.8Mbpsの通信を享受できる。スマートフォンとしてはもちろん、モバイルWi-Fiルーターとしても魅力的な仕様といえる。

 EVO WiMAXは田中社長の掲げる「マルチネットワーク」戦略の一端であり、WiMAX対応スマートフォンの“第1弾”という位置付け(つまり、今後もWiMAX対応モデルがラインアップされる可能性がある)。KDDIが新モデルのターゲットに据えているのは「ハイエンド志向の、とがったお客様」(田中氏)だという。


photophoto auのWiMAXサービスはUQ WiMAXのエリアに準じ、政令指定都市の実人口カバー率は90%という

 良いことずくめにも思える同モデルだが、利用の際にはいくつかの注意も必要だ。同モデルのベースになっているのは、米Sprintが2010年6月に発売した「HTC EVO 4G」という端末で、KDDIは同モデルの仕様をほとんど変えずに導入している。そのため、サービス面では、キャリアメール(@ezweb.ne.jp)に対応せず、Cメールは受信のみの対応となる。KDDIのアプリマーケット「au one Market」も入っていない(Androidマーケットでのキャリア決済には対応)。また、国際ローミングもできない。

 KDDI コンシューマ事業本部 サービス・プロダクト企画本部長の増田和彦氏は、キャリアメールとCメールの対応について「上期のなるべく早い段階で対応できるようにしたい」と語ったが、例え将来的に対応する可能性があるにせよ、現状使えないのは利用者にとって悩ましい問題だろう。ただ、「スマートフォンへの乗り換えを期にキャリアに縛られないPCメールを活用する!」といったユーザーには、たいした問題にはならないともいえる。

 もう1つ、グローバルモデルならではの注意点が、対応周波数帯だ。昨今のau端末は、旧800MHz帯、新800MHz帯、2GHz帯という3つの周波数帯を利用するトライバンド対応モデルが基本となっているが、EVO WiMAXはこのうち旧800MHz帯に対応していない。

 旧800MHzは文字通りKDDIが旧来使ってきた周波数帯で、国際標準とは異なる周波数の使い方をしている。一方、新たに整備を進めている新800MHz帯では国際標準に沿った運用が行われており、グローバル端末への対応が容易だ。ただ、増田氏によれば一部の地方などで新800MHz帯の整備が整っていない場所があるという。都心ではほぼ問題はなく、エリアは順次改善される予定とのこと。エリアの詳細は3月末に同社Webサイトに掲示される予定なので、気になるユーザーはそちらを確認することをおすすめする。

 また、“とがったお客様”にとって気がかりなのが、ベースとなる端末が去年の6月に発売されたモデルだということだろう。1GHzのSnapdragonは第1世代のもので、OSはAndroid 2.2を搭載しているが、2.3へのアップデートは「未定」(同社広報)という。動作に関しては非常に快適で、筆者としては不満を抱かなかったが、将来的なOSアップデートに対応してくれるのかは気になるところだ。

4.3インチの大画面、しかし意外と取り回しがいい

 さて、前置きが長くなったが、ここから端末の細部を見ていこう。

photophoto ボディカラーはブラックの1色のみ
photophoto 背面には8Mピクセルカメラ。ディスプレイ面には4つのタッチボタンが配置されている

 EVO WiMAXは4.3インチ ワイドVGA(480×800ピクセル)TFT液晶を搭載し、スマートフォンのなかでもディスプレイが大型な部類に入る。そのため、ボディも約67(幅)×122(高さ)×12.8(厚さ)ミリとそれなりに大きい。ただ、背面が適度に湾曲しているからか手の収まりはよく、そこまでかさばる印象は受けない。ズボンのポケットにもなんとか収まるサイズだ。

photophoto 筆者が普段使っているiPhone 3GSと比較してみた。EVO WiMAXの画面の大きさがよく分かる。一方で、ボディの厚さはiPhone 3GSとさほどかわらない

 画面が大きい分、Webサイトの閲覧ではより多くの情報を表示できるし、動画の迫力も増す。また、ボディ背面にはキックスタンドが付いていて、ポータブルテレビのような感覚でYouTubeを見るといったことも可能だ。

photophoto 背面にはスタンドがついていて、テーブルなどに立てて置くこともできる

 CPUに1GHzのSnapdragonを採用し、キビキビと画面が動くのも印象的だった。先述のとおりベースモデルは昨年登場したものだが、Webサイトの表示も速く、国内で販売されている最新のAndroid端末と比較しても遜色はないと感じた。実際の動きは、下に掲載した動画で確認してほしい。

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