それは魔法の完成――“mini”の追加で広がったiPadの世界(3/4 ページ)

» 2012年10月31日 10時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 筆者がiPad miniの写真機能で便利だと感じたのが、フォトストリームの活用である。

 周知のとおり、Appleのクラウドサービス「iCloud」では、iPhone/iPad/Macなど複数のデバイスで写真を共有・管理するフォトストリームという機能を持っている。これを使うと、よりカメラ性能の高いiPhone 5で撮影した写真が、フォトストリームを通じてすぐにiPad miniでも確認できるようになるのだ。また、iOS 6で実装された「共有フォトストリーム」機能を使えば、家族・友達が持つ複数のiPhoneで撮影した写真がiCloudですぐに共有され、それをiPad miniで見られる。このようにフォトストリームを使えば、メモリーカードの接続など面倒な手間をかけずに、iPad miniをすぐに使える手頃なサイズの写真ビュワーにできるのである。

 こうした街歩きで、面白いスポットを見つけたり、写真を撮ったりしたら、その情報をFacebookやTwitterなどソーシャルメディアで友達と共有したくなることだろう。そのような時にも、iPad miniのサイズや使い勝手のよさが光る。

 例えばFacebookでの写真の共有は、写真フォルダから[共有]ボタンを押せばすぐにできる。その際にメッセージをいれる場合も、iPad miniを両手で持つと、ちょうどQWERTキーボードを親指タップで入力するのに最適なサイズになる。この使用感はとても秀逸であり、筆者はiPad miniの試用中、もっぱらiPhoneではなくiPad miniでSNSへの投稿を行っていた。

ゲームも映画も電子書籍も “いつも楽しめる”のがうれしい

 メディアプレーヤーとしての実力も見てみよう。

 前述のとおり、iPad miniはiPadのエコシステムをそのまま継承しているため、iPad向けに最適化されたゲームや、iTunes Storeで購入した音楽・映画がそのまま楽しめる。CPUのデュアルコアA5チップは、これら各種マルチメディアコンテンツを実行するには十分な性能を持っており、「Sky Gamblers: Air Supremacy」のような3Dシューティングゲームでも美しいグラフィックスがスムーズに動いた。Retinaディスプレイ搭載のiPhoneやiPadと比べれば解像度では見劣りするはずなのだが、iPad miniは画面が小さくなったため凝縮感があり、映像だと解像度の違いほどのクオリティの差を感じなかった。

PhotoPhoto iPad miniでプレイした「Sky Gamblers: Air Supremacy」。ゲームの動きはすこぶるスムーズ。しかも9.7インチのiPadよりも7.9インチのiPad miniの方が軽くて持ちやすいので、こういったアクションゲームには向いている

 一方、Retinaディスプレイの恩恵を受けやすい電子書籍・電子新聞ではどうだろうか。

Photo Kindleアプリで電子書籍を読んでみる。Retinaであればそれにこしたことはないが、現状のiPad miniでも十分に読書できるクオリティだ

 ここでは「何を読むかで印象が変わる」というのが実際のところだ。例えば、Kindleアプリで文字中心の書籍を読むならば、iPad miniでもほとんど不満は感じない。文字サイズを調整すればいいからだ。むしろiPad miniの持ちやすさや電子書籍に最適なアスペクト比というメリットの方が際立つ。またマンガも、コミックスを1ページずつ読んでいく感覚ならば、画面の拡大・縮小などせずサクサクと読み進められた。

 他方で、「やはりRetinaディスプレイが欲しい」と感じたのは、新聞と雑誌である。これらは文字と写真のレイアウトが複雑であり、使われているフォントサイズも小さいからだ。それでもiPad miniは処理速度に余裕があるため、読みたい部分をスムーズに拡大・縮小できるのだが、その作業はやはり億劫だ。これらの新聞・雑誌を読むのなら、9.7インチRetinaディスプレイ搭載の第4世代iPadの方が適しているだろう。

PhotoPhotoPhoto ITmediaアプリや誠アプリは違和感なく閲覧できる
PhotoPhoto 電子新聞では、誌面一覧だと見出しは読めるが、記事本文を読むのは厳しい。記事の拡大そのものはすばやいので、拡大・縮小を使いながら読むことになる
PhotoPhoto 新聞同様に、レイアウトが複雑で文字・写真が混在する雑誌でも、iPad miniでページ単位で読むのは厳しい

 iPhone 4/4Sの登場以降、Appleは高解像度の「Retinaディスプレイ」を自社製品の優位性の1つにし、アプリ/コンテンツの両面でRetina対応を訴求ポイントにしてきた。そうした観点でいうと、iPad miniが非Retinaであることを残念に思う人がいるのは当然だろう。

 しかしその一方で、実際にiPad miniを使い、持ち歩いてみると、Retina搭載の有無以上に、iPad向けに作られたさまざまなアプリやコンテンツが、iPad miniでもすべて楽しめるメリットの方がはるかに大きいことが分かる。しかも、ボディの小型化によって持ち運びしやすくなり、バッテリー持続時間も減っていない(最大10時間持つ)ので、「いつも楽しめる」という点では価値が向上しているのだ。

PhotoPhoto
PhotoPhoto iPad miniの画面サイズでFacebookを使うと、画面が広々使えて、かなり便利だ

 スペックの数字は指標の1つではあるが、それよりも大切なのは、優れたユーザー体験とエコシステムによってもたらされる“総合的な価値”の方である。iPad miniは、スペックの数字を追うことに踊らされることなく、モバイルタブレットとして求められる価値が重視されている。そのバランスのよさこそが、iPad miniの最大の魅力と言える。

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