高性能でサクサク動く ほぼ全部入り「ARROWS V F-04E」を試す(前編)(1/2 ページ)

» 2012年11月02日 12時15分 公開
[ITmedia]

 NTTドコモが発表した2012年冬モデルは、これまでどおりAndroidスマートフォンがNEXTシリーズとwithシリーズにカテゴリー分けされているが、一部の先進的な機能を搭載したモデルを除き、多くがwithシリーズに分類された。それだけAndroidスマートフォンが多くのユーザーに普及しつつあるということであり、スペックの高いモデルが普通の人にも扱いやすくなっているということであろう。

Photo 富士通の「ARROWS V F-04E」

 富士通製のAndroidスマートフォン「ARROWS V F-04E」も、そんなwithシリーズのラインアップの中にあって、スペックの高さと機能の豊富さが目立つ1台だ。ARROWSシリーズといえば、タッチパネルのサクサク感や快適な操作性を重視してAndroidスマートフォンを開発してきた人気のブランド。そのARROWSの名を継承する最新モデルは、NVIDIAのクアッドコアプロセッサーを採用し、Xiの高速通信に対応、大画面の4.7インチディスプレイを搭載するハイエンドモデルだ。

 今回、このARROWS V F-04Eを発売前に試す機会を得たので、その性能をじっくりと紹介したい。

クアッドコアプロセッサの実力診断

 ARROWSシリーズの特徴の1つは、とにかく先進のスペックを盛り込んでいること。他社の製品が軒並みQualcomm製のプロセッサーを搭載する中、タブレットなどでの採用が多いNVIDIAの高性能プロセッサー「Tegra 3」を採用するのは、個性であると同時に、大きな挑戦でもあったはずだ。特に発熱やバッテリーの消費には敏感な、リテラシーの高いユーザーにとっては、“Tegra 3をどう使いこなしているか”が大きな関心事だろう。

 そこでまずは定番とされているベンチマークプログラムをいくつか走らせてみた。もし手元にAndroidスマートフォンがあるなら、同じアプリをダウンロードして実行してみるといいだろう。スコアの違いを実感できると思う。

 まずは「AnTuTu Benchmark」を実行してみた。スコアは10843を記録。クアッドコアプロセッサーを搭載する他のモデルとほぼ同等のスコアで、デュアルコアプロセッサー搭載モデルよりはかなりいいスコアと言える。RAMのパフォーマンスの2192 、CPUの整数性能の3571、CPUの浮動小数点演算性能の2671ともに注目すべき値で、Tegra 3の面目躍如といったところだ。合わせてAnTuTu 3DRating Benchmark(v1.2.4)も実行してみたが、こちらの結果は2984だった。

 また「Quadrant」Professional Editionでの測定結果は、CPUが8754と非常に高かった一方、メモリが3349と若干低め。データの読み書きは3598、2Dグラフィックが1051、3Dグラフィックは2446という結果で、トータルスコアは3840を記録した。CPUや2D、3Dの値はかなり高い。Tegra 3搭載端末では以前からメモリやデータの読み書きの値が低く出てしまう傾向があるのだが、それ以外の部分は満足のいく値と言える。

PhotoPhoto 左がAnTuTu Benchmarkの結果、右はQuadrantの結果。AnTuTuのスコアは非常に高い。Quadrantの結果は総合はいまひとつだが、CPUやグラフィックはとても優秀だ

 なお、ベンチマークテスト中は端末が若干暖かくなるが、熱いというほどではない。ARROWS V F-04Eは、Tegra 3を初めて採用した先代の「ARROWS X F-10D」での経験も生かし、発熱や消費電力についてはかなりしっかりと対策されているようだ。

 実際のWebブラウズ時などの動作も非常に軽快だ。またゲームなど、3Dグラフィックを多用するパワーの必要なアプリも、ARROWS V F-04Eの実力を体感できる。端末にプリインストールされているスクウェア・エニックスの「DEMONS' SCORE(THD)」体験版などを試してみれば一目瞭然だ。またNVIDIA Tegra搭載端末向けに最適化されたアプリケーションをダウンロードできるTegra Zoneからも多数のアプリが入手できるのもうれしい。

 こうしたパワフルなプロセッサーをサポートするため、バッテリー容量は2420mAhと、Androidスマートフォンの中でもかなり容量が大きい。また処理の最適化などを行い、バッテリー駆動時間は従来モデルよりも延びている。実際に使用してみた感じでも、朝満充電で家を出れば、夜家に帰るくらいまではバッテリーは持つ印象だ。容量の大きなバッテリーを充電するため、急速充電ができるのもうれしいポイントだ。

大画面液晶と快適なタッチパネル

Photo コントラストが高く精細な4.7インチディスプレイ。映像の再生もとても美しい

 4.7インチの大画面ディスプレイは、解像度が780×1280ピクセルのHDサイズで、1677万色表示に対応する。スペックだけを見ると他社製品と大きな違いはないように思うかもしれないが、富士通独自の画像処理エンジンにより実現される見た目の鮮やかさ、精細感には目を見張る。ARROWS Vの“V”には、Visualといった意味も込められているというが、これまでREGZA Phoneなどに搭載されてきた映像処理技術なども融合しており、写真や映像を実際に映してみればすぐに納得できる。

 具体的には、「Advanced三次元色補正」といって、映像の明るさを解析して色補正を行う機能で、1000種類以上の画像パターンに合わせて色合いを調整したり、「Advanced質感表現+階調感復元」によってクリアな映像を再現したり、「輪郭補正」によってボケやノイズをおさえたり、「超解像技術」によって解像感を高めたりしている。

 ARROWS V F-04Eは、高画質な映像が美しく視聴できるのはもちろん、DLNA連携を利用してHDDレコーダーなどに録画したハイビジョン映像を無線LAN経由で転送し、簡単に外に持ち歩いて視聴するといった利用にも対応できるため、テレビ好きは注目しておきたい。映像に合わせて画面の色調を自動調整してくれる機能もあるので、環境や番組に合わせてきれいな映像が楽しめる。

 操作性の要となるタッチパネルは、富士通が「サクサクタッチパネル」と呼んでいるが、その名の通りとてもサクサク動作する。その秘密は、独自開発の「タッチ操作予測アルゴリズム」にある。タッチ操作予測アルゴリズムは、タッチセンサーの情報を分析してユーザーの指の動きを予測するもので、意図しない動作を防ぐ。さらに「おまかせタッチ」機能により、人が実際に触っていると思っている場所と、画面上でタッチセンサーが検出している場所のズレを補正。細かな調整により、ユーザーが軽快に操作できる環境を整えている。また、後述のとおりディスプレイを狭額縁化したのに合わせ、スマートフォンを握る手や指が画面の端にかかっても誤作動しない「うっかりタッチサポート」も備えた。

ARROWS V F-04Eのサクサクタッチパネルの動作。追従性もよく快適だ

 画面のフレームレートは毎秒60コマを実現しているため、タッチへの追従性も非常に良好。Webブラウザやアプリのスクロールはとても滑らかで、手の動きにぴったりと付いてくるような感覚を実現している。また、キーやボタンを押したタイミングでボディが軽く震えるため、タッチしたときの感覚も分かりやすくていい。

Photo サラサラコートが施されたディスプレイは指紋が目立たない

 タッチパネルの表面は「サラサラコート」という名の特殊な表面処理を施しており、指紋や皮脂が目立ちにくい。皮脂は指の滑りが悪くなるほか、画面の見栄えも悪くなるのでディスプレイの大敵だが、このサラサラコートのおかげでストレスを感じることなくタッチ操作が続けられるのはなんともうれしい。実際、筆者は手や指に汗をかきやすく、画面やボディに指紋や油が付きやすいタイプなのだが、ARROWS V F-04Eのディスプレイでは指紋が目立たないことに驚いた。

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