N-05Eは、ワンセグ放送、赤外線通信、おサイフケータイに対応していない。これらの機能に対応するには、アンテナや専用IC、水晶振動子が必要で、仮に搭載した場合、N-05Eが誇る薄いボディの実現は難しかったかもしれない。視点を変えると、搭載しないだけで基板や機構はこんなにスッキリするのか、と驚く。
2枚あるディスプレイのうち、片方はほぼディスプレイ本体だけで占めている。ほかには薄いフレキシブルプリント基板に旭化成の加速度センサを実装しているくらいだ。もう一方のディスプレを搭載するユニット内部には、上にメイン基板、下にアンテナやマイクを搭載した小型基板があり、この間にバッテリーを配置している。主要部品はこれだけだ。別の基板を用意して搭載することが多いSIMスロットもmicroSDスロットも、N-05Eではメイン基板に載せている。
メイン基板はそれほど大きくはないが、部品をぎっしり詰め込んだという印象はない。片面には広い“空き地”もある。先に述べたような対応する機能が少ない点は考慮すべきだが、部品点数を少なく抑えた効率のいい基板レイアウトともいえるだろう。
スマートフォンを薄くするため、各メーカーはさまざまな方法を試みてきた。最近は、接着剤や両面テープ、紫外線を当てると硬化する樹脂などを多用し、ネジは必要最小限という端末も多い。
アンテナの収納は、通常なら端末下部の空いたスペースを埋めるような樹脂製ブロックを作り、その上にアンテナパターンを焼き付けるタイプが多い、しかし、N-05Eはフィルムアンテナを採用している。薄型化に最適だが、アンテナを実装するフレキシブルプリント基板の価格はかなり高いはずだ。
N-05Eのボディを一見しただけでは、分解で外すべきネジの場所が分からない。端末背面にシールなどで目張りがしてあり、このシールをはがすとネジが現れる。このネジを全部外すと簡単に分解できる。
2つ折り構造なので、スライド式などで必須の複雑な機構はなく、ケーブルを通すヒンジで2枚の液晶ディスプレイを接続している。液晶ディスプレイはタッチパネルと接着しているので、これ以上は分解できない。機構もシンプルで、中国製端末で多い迷路のような配線や金属テープでコードを固定する無理はない。
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