「363日のためのウェアラブル」 Jawbone UP2、UP3の新機能

» 2015年06月04日 06時00分 公開
[園部修ITmedia]
Jawbone UP2 and UP3 Jawbone UP2とUP3

 Jawboneが6月3日、国内発売を発表した活動量計の新モデル「UP2」と、2014年11月に発表した後、発売が延期されていた心拍測定機能付きモデル「UP3」の新機能を解説する説明会を開催しました。高機能な活動量計の本命と目されるUP3とUP2が、いよいよ日本市場でも入手可能になります。UP2は6月中旬から、UP3は生産の状況によるとのことですが、7月には販売が始まる見通しです。

Jawboneが提供するのはライフスタイル密着型ウェアラブル

 Jawboneでは、ウェアラブルデバイスを3つの種類に分類しているそうです。1つは運動の計測などに特化したもの、もう1つはスマートウォッチ、そして最後がライフスタイルに寄り添うものです。

 運動(ワークアウト)の計測に使うウェアラブルデバイスには、GPSなどを搭載した腕時計型の製品や、胸にバンドで巻き付けるハートレートセンサー(心拍センサー)などがあります。これらは精度は高いですが、付け心地があまりよくないといった問題があります。

 スマートウォッチは、あくまでもスマートフォンの機能を拡張する機械であり、ディスプレイは大きく見やすいですが、サイズが大きくてバッテリーの持ちが悪いという課題があります。

 ライフスタイルに寄り添うウェアラブルデバイスとは、人々が毎日生活する中で活用する、着け心地がよくて、バッテリーも7日以上持つようなデバイスのことです。Jawboneが最も注力しているのは、この分野だといいます。

 なぜJawboneはライフスタイルに密着した製品を作ろうとしているのか。その理由をUPのプロダクトマネジメント担当、ジェイソン・ドナヒュー(Jason Donahue)氏はこう説明します。

 「Jawboneのデータサイエンスグループが分析をした結果、こんなことが分かりました。平均的な人は1年間の約3分の1、112日分は寝ています。そして243日分は起きていますが、テレビを見たり、PCの前にいたりと、アクティブには動いていない状態です。8日分は通勤や買い物などで歩いたり動き回ったりとアクティブに過ごし、残りの2日分がワークアウトに費やされています。つまり、運動に着目した製品は、1年のうち2日分しか使われないということになります。私たちはそこに注力するのではなく、残りの363日のライフスタイルに合ったウェアラブルデバイスを提供することが重要だと考えています」(ドナヒュー氏)

Jawbone UP3 人がワークアウトに費やす時間は365日のうちたったの2日分。そこではなく、残りの363日の生活をモニターし、適切なアドバイスをするのがJawboneの役目だといいます

 そこでJawboneでは、多様なニーズに合う製品として、安価でシンプルなUP Moveと高機能なUP3をラインアップ。さらに、これら2製品の中間に位置するUP24を、より小さく高機能に改良し、UP2として発表したという訳です。

Jawbone UP2 and UP3 Jawboneの活動量計ラインアップ

バンドが薄型化した、UP24の後継モデル「UP2」

Jawbone UP2 Jawbone UP2

 Jawboneの活動量計は、腕輪型の「UP」と「UP24」が日本でも普及しています。このUP24の形状を、コンパクトかつ高機能なUP3とほぼ同じにしたものがUP2です。

 UP24では、バンドの大部分にさまざまなセンサーが搭載されていて、ウェアラブルデバイスとしては若干厚みがありましたが、UP2では主要なセンサー類が小さな本体部分に集約され、バンド部分はグッと薄くなりました。ちなみにUP24は腕の太さに合わせて2つのサイズから選ぶ必要がありましたが、UP2では「クラスプ」と呼ばれる留め金を動かすことでバンドのサイズが調整できるため、太い腕から細い腕まで、1モデルで対応できます。

 UP2の主な機能はUP24とほぼ共通で、歩数や消費カロリーの計測ができ、専用のスマートフォンアプリでは、計測データに基づいたアドバイスを受けられる「Smart Coach」機能が利用できます。指定した時間に近い、眠りが浅いタイミングでバイブレーションで起こしてくれるスマートアラームも引き続き搭載されています。睡眠は、モード切り替えをせずとも、自動で認識できるようになりました。バッテリーは10日間持ちます。

 前述のとおり発売は6月中旬で、全国の家電量販店などで販売します。7月初旬にはアップルストアの店頭にも並びます。価格は1万4400円(税別)で、ほぼUP24と同じか安いくらいとのこと。

4つのセンサーを搭載した高機能モデル「UP3」は7月発売?

Jawbone UP3 Jawbone UP3

 すでに2014年11月に概要は発表されていたUP3についても、量産品を元にした機能の説明がありました。UP3の最大の特徴は、加速度センサーに加えて、皮膚の温度と環境の温度を測る温度センサーを1つずつ備えた点と、バイオインピーダンスセンサーを搭載する点です。心拍(脈拍)の計測は、このバイオインピーダンスセンサーで行っており、Fitbit Charge HRなどの緑色LEDを使う光学式ではないのがポイントです。おかげで大幅な小型化を実現したとのこと。バッテリーの持ちは、当初の発表通り7日間で変わっていません。

 米国ではすでに出荷が始まっているUP3。「また発売が延期になったりはしませんか?」という質問に対しドナヒュー氏は「今度こそ大丈夫」と笑顔を見せました。この様子なら、国内でも7月中の発売は期待できそうです。なお発売延期の原因となった防水性能については、生活防水仕様になります。

 ただ、温度センサーを活用したデータは、専用アプリからもまだ確認はできません。心拍数も、朝の起床時に計測する安静時心拍数と、睡眠中の心拍数の変化が見られるだけで、日中の活動量の計測の際には、心拍センサーは活用していないようです。日中の活動量は、今まで通りユーザーが運動強度を手入力する方式となっています。これは心拍(脈拍)計測機能を持つ他の活動量計とは大きく異なる点です。

 リアルタイムでの心拍数表示にも対応していないようなので確認をしたところ、「周囲の環境、例えばプレゼンテーション前で緊張しているとか、これから重要なミーティングがあるとか、そういった情報がないまま、単に心拍数だけ分かっても、適切なアドバイスができないので搭載していません。宴会の席で周りの人に見せたりするのは楽しいかもしれませんが、健康に役立つ情報ではないと考えています」とのことでした。

 ただ、今後のファームウェアのアップデートにより機能を向上させる可能性にも言及していたので、バージョンアップでセンサーをより有効に活用する機能が搭載される可能性は高そうです。

UP3向けの睡眠診断機能が充実、仲間と歩数を競う「デュエル」機能も

 UP3が新たなセンサーを搭載したことで、UP専用のスマートフォンアプリで利用できるSmart Coach機能は、より多様なアドバイスが可能になっています。UP3を発表した2014年11月の説明会でも、睡眠がREM睡眠と浅い眠り、深い眠りの3段階で認識できるという説明はありましたが、UP3ユーザーは睡眠の質を今まで以上に細かく把握できます。

 単に眠りが浅い/深い、というだけでなく、REM睡眠が取れているかが分かることで、翌日の機嫌の良さなどへの影響も分かるといいます。年を取るにつれて、REM睡眠や深い睡眠は取りにくくなりますが、日々の行動を変えることで、より質の高い睡眠を取ることが可能なのだそうです。

 またJawboneでは、心拍数のデータの中でも安静時心拍数を非常に重視していて、起床時に最初に計測した心拍数を毎日データとして蓄積し、変化を見るとのこと。それを元に、Smart Coach機能がアドバイスをしてくれます。

 また、「チームメイトがいて、情報を共有していると、人はよりアクティブになり、平均して約1000歩多く歩くようになる」というデータサイエンスチームの分析結果と、「コンテストに負けても、コンテストの構造がよければ人は怒らない。すなわちゲームのように面白い競争なら、負けても再度挑戦する」という行動科学チームよる分析結果から、新しいサービス「デュエル」(Duel/決闘)をアプリのバージョンアップで近日提供予定としています。

 このデュエル機能は、仲間と24時間、3日間、あるいは7日間の歩数を競い合う機能で、競争相手やチームメイトと、メッセージングアプリのようなインタフェースで言葉をかけ合いながら勝負が楽しめます。追い越されると通知が来たり、何歩リードされたか知らせてくれたりする機能もあります。デュエルには、活動量計がなくても参加できます。

Jawbone UP DUEL スマートフォンアプリ側で提供する「デュエル」機能
Jawbone UP DUEL 競争仲間がいることで、人はより多く歩くという統計データから、この新機能を提供します

 この機能のおかげで、Jawbone本社では、多くのスタッフが歩きながら打ち合わせをするように変わったそうです。

デザインとカラーバリエーションは今後も増やす

 新しくなったUP2と、UP3、当初提供されるのはブラックとグレーの2色ですが、初代UPやUP24のように、今後さまざまなカラーバリエーションを提供するとのこと。毎日身に着けてもらう機器なので、デザインの良さはとても重要だと考えており、デザインとカラーを独自の付加価値として提供していくとしています。

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