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» 2017年12月07日 06時00分 公開

MVNOの深イイ話:「フルMVNO」と「ライトMVNO」の違い (3/3)

[佐々木太志,ITmedia]
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日本におけるフルMVNOの夜明け

 日本では、この記事の前半で書いた通り、MVNOへのネットワーク開放をMNO(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)に義務付ける電気通信事業法やその関連法規には、フルMVNOに関する記載はありません。わずかに、総務省のガイドライン(「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」)において、フルMVNOを実現するために必要な関連装置(HLR/HSS)のMVNOへの開放に向けて事業者間協議の促進を図る、との記載が見られるに過ぎません。そのため、これまで日本にはフルMVNOは存在しない状況でした(KDDIやソフトバンクなど「MNOでもあるMVNO」は除く)。

 その中で筆者の所属するIIJでは、2016年8月に、ホストMNOであるNTTドコモとの間で、フルMVNOの開始に向けた基本合意がなされ、2018年3月より日本初のフルMVNOを開始すべく現在準備を進めています。

 この基本合意では、データ通信に限ってではありますが、IIJが自らのコアネットワークに、HLR/HSSを含むこれまでより多くのネットワーク装置を置き、NTTドコモのコアネットワークと直接接続することで、フルMVNOに求められる自らのMNCの運用を開始することになっています。また同時にIIJのMNCを用いた海外の通信事業者との接続を開始する予定です。

 特にIoTと呼ばれるこれからの「物のインターネット」の時代において、独自のSIMカードを発行することは、高い利便性を提供できる鍵となると考えています。スマートファクトリーやスマートシティーのようなIoTの産業向け事例は、この連載の読者の皆さまにはやや縁遠いところかと思いますが、「スマートホーム」「スマート家電」といったコンシューマーIoTは、今後普及が見込まれており、IIJのSIMカードが皆さまの生活を便利にするお役に立つのではないかと期待しています。

 またeSIMなどの進化したSIMカード技術と海外ローミングサービスの組み合わせでは、海外に向かう日本人旅行者、訪日外国人や海外からの旅行者向けのサービスなどにも適しているものと考えられます。これまで日本ではできなかったMVNOサービスを実現するために、IIJでは海外のフルMVNOとの協業や協議を経て、さまざまな経験値を獲得しており、フルMVNOローンチ後の戦略立案に役立てています。

 反面、既存のIIJのビジネスである格安スマホ(IIJmio)については、音声通話でフルMVNOで取り扱うための合意がないなどのため、直ちにフルMVNOにより新しいサービスが投入できる状況ではありません。今後、音声通話の取り扱いについても検討していきますが、データ通信分野においても、フルMVNO化で得たさまざまな自由度をいかにIIJmioのお客さまに提供していくか、われわれのフルMVNOとしての挑戦は2018年3月以降もまだ続くと考えています。

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