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インタビュー
» 2018年02月14日 06時00分 公開

モバイル決済の裏側を聞く:強みは「コミュニケーション」 LINE Payのモバイル決済戦略を聞く (2/3)

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

2018年はライバルと一緒にマーケットを作る年

 筆者の私見ではあるが、業界内でのアプリ決済の機運が盛り上がっている一方で、一般ユーザーの間でサービスがそれほど認知されている印象はない。認知を含め、普及はまだまだこれからという印象だ。長福氏自身は「2018年は全プレーヤーでマーケットを作る年」だと述べている。

 「キャッシュレスという言葉が一人歩きしている印象があり、そもそも本当に便利なのかということをユーザーに知ってもらう必要がある。クレジットカードの歴史が50年あると考えれば、モバイル決済はまだその入り口の状態であり、体験を通じて各社がユーザーに便利さを認知させていく段階にある。LINEがガラケーからスマートフォンへと移り、コミュニケーション体験の世界を変化させた。今回のLINE Payにおけるチャレンジはこのあたりであり、もう一度LINEというサービスを作るアプローチが必要となる。LINE Payの普及というよりは、決済の在り方を変えるチャレンジだと考えている」(長福氏)

 ただ、日本では既に使い慣れた現金をはじめとする各種決済手段に慣れた消費者が多数おり、これをモバイル決済の世界へと誘導するにはそれ相応のメリットを提示する必要がある。前提として、簡単な初期セットアップや操作しやすいユーザーインタフェースの提示が重要だ。またAlipayやWeChat Payの流行った中国をはじめとして、諸外国では個人間送金がモバイル決済サービスの一端を占めており、このあたりのハードルの高さが日本での関連サービス普及の阻害になっているとも考えている。

 「分かりやすいユーザーインタフェースやユーザー体験は重要だ。安心・安全で使えるサービスであると同時に、金融サービスというのは金融庁の傘下でやるビジネスであり、法令順守の中で実現していくサービスでもある。LINE Payにおける本人認証は銀行口座連携によるものだが、今後は本人認証なしのサービスも含めていろいろな企画を考えている。個人間送金を使って同僚へのプレゼントのお金を集めたり、会食の席でワリカンをしたり、一度使うと便利なサービスであることは間違いない。

 オフラインでの店舗拡大の他、企業各社とのコラボレーションなど、いろいろな可能性を模索しているところだ。そもそも知られていないということは、生活に選択肢がないのと同じ。そこを経験させるのが重要だと考えている。キャンペーンやプロモーションを通じて、ユーザー体験にフォーカスしたものを早めに提供していきたい」(長福氏)

 このように2018年が認知の年であり、ライバル企業は「マーケットを作っていくパートナー」(長福氏)という認識の一方で、「1つの決済に対して、基本的に1つの決済手段した存在し得ない。2019年は規制の中でどうやって(秀でた)サービスを作り上げていくかという年になる」(同氏)とも述べている。

 長福氏がLINEの強みとして挙げるのは前述のユーザーとパートナー企業のベースの他、先行してサービスを提供してきたというリーディングカンパニーとしての自負だ。もっとも「クレジットカードのブランドや中国での2社の例のように、完全な一強の市場にはならないだろう。各社の強みやサービスのコンセプトをもって、ユーザーにとっていいサービスが選ばれていくのではないか」と長福氏は分析する。現在は複数あるモバイル決済サービスの中で、2019年は“強い”サービスが何社か抜きん出てくる形になるのだろう。

 「ユーザーに本当に求められているニーズ」を提供することが鍵になると同氏は説明する。例えば、中国では100元が最高額の紙幣であり、現金そのものの信頼性も低いことから、特にモバイル決済が重宝された。翻って日本を見ると、既にSuicaに代表されるように一部の利用者には電子マネーが広く生活に浸透しており、さまざまな場所で使える機会が増えている。「日本がキャッシュレス後進国というのは違うのではないか」とも同氏は言う。つまり、きっかけさえあれば日本でサービスが普及する素地はあるということだ。

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