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インタビュー
» 2018年03月06日 11時57分 公開

iDやdカードを抱えるドコモがなぜ「d払い」を提供するのか?モバイル決済の裏側を聞く(2/3 ページ)

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

加盟店にドラッグストアが多い理由

 d払いの利用拡大におけるポイントは、利用が可能な店舗、つまり加盟店拡大にある。前田氏は、かつてドコモがiモードなどでコンテンツプロバイダーへの機能提供でインフラを提供していたことをなぞらえつつ、決済インフラを通じて同社が「お客さま」と呼ぶコンシューマーと、小売店のパートナー各社を結び付けるインフラビジネスを提供しようとしているという。

 「iDなどのFeliCa決済端末導入にはコストと手間がかかるため、より簡易な手段として中小の加盟店開拓向けにQR/バーコードの決済手段を提供しようとしているのか」という筆者の疑問に対し、前田氏は「インタフェースとしてQRやバーコードを利用した場合、確かにタブレットでも導入のハードルが低いというのはある。だがそれは結果論で、あくまで選択肢が多い方がいいという面が大きい。例えば、既にdカードminiで実現しているが、クレジットカード決済ではなく『iD+キャリア決済』を望むお客さまもおり、可能な限り選択肢を用意したい。d払いもその延長線上にある」と述べる。

 最終的には中小加盟店攻略が視野にはあるものの、当初は「支払い手段の拡大」という側面でスタートしているのは加盟店(ローンチパートナー)を見ても分かる。例えば同社がプレスリリースで公開している10社の最初の加盟店は、そのほとんどが大規模チェーンだ。コンビニのローソンが典型だが、これら店舗では既にiDに対応しているにもかかわらず、新たにd払いにも対応している。

d払い d払いに対応する10社の加盟店

 ローソンはもともと支払い手段の拡大に熱心な会社であり、Alipayへの対応の他、楽天ペイ、LINE Payなどにも対応している。同社はPOSにバーコード決済可能な仕組みが既に導入しており、(バーコードを使う)新規の決済手段導入にあたってはアプリケーションの追加で対応できるなど、同業他社と比べてもフットワークが軽いという理由もある。

 今回対応を表明している加盟店にはマツモトキヨシを筆頭に、店舗数ではそれを上回るツルハやウエルシアなど、ドラッグストアが多く含まれている。なぜドラッグストアなのかについて、前田氏は「インバウンド対応」を挙げる。

 もともとこうしたドラッグストアでは中国からのインバウンド需要に応えるため、AlipayやWeChat Payへの対応、あるいは導入検討に非常に興味を持っている。QR/バーコード決済はその仕組み上、新たに決済手段を追加するのが容易であり、このような形で一気に対応が進んだのではないかと同氏は分析する。例えばリクルートの「モバイル決済 for Airレジ」では既にAlipayが提供されており、同じサービス上でd払いの提供も可能だ。

 「d払いの加盟店開拓では、コンビニやスーパーなど、日頃使うところを重点的に拡充していきたい。少額決済において、日々の支払いをカバーするのが重要だからだ。将来的にはd払いのメリットを感じた中小加盟店の開拓も目指しており、これはパートナーであるリクルートのモバイル決済 for Airレジなどが使える、タブレットでの展開に期待している。現在は10社展開で2万店舗ほどが視野に入っているが、これを2018度中には10万店舗まで拡大していきたい。LINE Payは100万店舗開拓を目標に掲げているが、10万の先の開拓余地がどこにあるのかを探っていきたい」(前田氏)

 なお、今回は全国チェーンが中心のため、コンビニとドラッグストアで一気に全国展開が進んだが、今後ドコモが開拓目標としている「スーパー」をカバーしたいと考えた場合、地域ごとの加盟店開拓を進めなければならない。比較的全国展開が進んでいるコンビニチェーンとは異なり、スーパーは地域展開中心のものが多いからだ。前田氏が例として挙げているのが「サツドラ」店舗を展開しているサッポロドラッグストアで、北海道を拠点とする地域ドラッグストアだ。大手チェーンでの採用が進んだ先は、パートナーとの協業でこうした地域チェーンや中小加盟店の開拓が中心となってくるだろう。

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