なぜMNOのテザリングは有料で、MVNOは無料なのか:MVNOの深イイ話(3/3 ページ)

» 2018年03月30日 06時00分 公開
[佐々木太志,ITmedia]
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テザリングは無料になるのか?

 このように、筆者はテザリングを依然として有償化し続けている(あるいはいつでも有償化できるようにしている)MNOの考え方の根底には、テザリングという(制御が難しい通信への)心理的恐怖がいまだ残っているのではないかと思っています。それでは、定量制性料金プランにおいてテザリングが完全に無償化される日は来るのでしょうか?

 筆者は「イエス」だと考えます。MNO各社は、引き続きLTE-Advancedから5Gへと続く、ウルトラブロードバンドを目指す流れを継続しています。ネットワークの総帯域が広くなれば、その分、テザリングへの心理的恐怖も薄れていき、いずれは過去の遺産ともいえるテザリング専用APNやテザリングオプション料金が名実ともになくなる日が来るでしょう。これは、過去にMNOが扱っている端末のテザリング専用APNによって困った経験のあるMVNOにとっても朗報だと思います。

 さて、翻ってMVNOではテザリング問題はどう考えられているのでしょうか。MVNOでは、筆者の知る限りテザリングオプションを設けている事業者はありません。これは、SIMロックフリー端末との組み合わせが主であり、テザリング専用APNの設置が難しいMVNOにとっては、テザリングを別設備で収容するというテザリングオプション(とその有償化)のための前提条件が難しいこと、また2012年以降に登場した多くの格安スマホ事業者は、3Gの時代(2000年代)に存在し、いまだ心理的に残るテザリングへの恐怖と無縁であることが影響しているのかもしれません。

 反面、MVNOのコスト構造は、MNOと違いトラフィックにリニアに影響します。そのため、データ量の増加がコストを上昇させる効果については、MNOよりも多少シビアであるものと考えられます(もちろんユーザーのデータ利用量が増え、より大容量のプランに移行してもらうことはMVNOにとってもプラスなので、あくまで比較的にはという話です)。

 MVNOの中には、例えばDPI装置でWindows Updateだけを狙い撃ちし通信規制するような事業者もあり、これはMNOのテザリング有料化問題と表裏をなす問題なのかもしれません。

著者プロフィール

佐々木太志

佐々木 太志

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) ネットワーク本部 技術企画室 担当課長

 2000年IIJ入社、以来ネットワークサービスの運用、開発、企画に従事。特に2007年にIIJのMVNO事業の立ち上げに参加し、以来法人向け、個人向けMVNOサービスを主に担当する。またIIJmioの公式Twitterアカウント@iijmioの中の人でもある。


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