KDDIはアップグレードプログラム強制再加入の見直しにも着手――アップル「iPhone Upgrade Program」いよいよ発動か石川温のスマホ業界新聞

» 2018年08月10日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 公正取引委員会が、4年縛りにメスを入れ、KDDIがアップグレードプログラムの強制再加入を撤廃することで、ユーザーが劇的に流出することはなくても、端末の売り方を見直す必要が出てきそうだ。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年8月4日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 公取委の意向としては「2年縛りだろうと4年縛りだろうと、端末を乗り換えると再加入が強制され、半永久縛りになっているのがいかん」というスタンスだ。つまり、2年間のアップグレードプログラムも独占禁止法違反の疑いになりかねない可能性がある。

 とはいえ、キャリアとしては、高額化するiPhoneを、割引なしで、24回払いで売るというのは難しい。2年間の割賦となれば、端末代金だけで月額で5000円程度の負担となるからだ。

 そこで、注目しておきたいのが、アップルがアメリカなどで展開している「iPhone Upgrade Program」だ。月額5000円程度の負担というのはかわらないが、24回払いのうち、12回を支払えば、新しいiPhoneに機種変更できるというプログラムだ。もちろん、機種変更する際は、今使っているiPhoneは回収されることになる。

 プログラムの中身自体は、キャリアが提供しているアップグレードプログラムと何ら変わりない。しかし、こちらはアップルが提供しているというのがミソとなる。

 仮に日本でiPhone Upgrade Programが提供された場合、端末を購入する上で契約はアップルと行うが、通信料金に関してはキャリアと契約するというスタンスになる。

 つまり、ここで、セット販売ではなく、端末と通信が分離したかたちが成立する。 公取委としては「セット販売で、キャリアが端末の割賦払いでユーザーを拘束し、解約しにくくなるのが問題」というスタンスだ。もし、キャリアではなく、メーカーが、割賦払いとアップグレードプログラムでユーザーを拘束するのであれば、公取委は口出しができなくなるはずだ。

 キャリアが料金プランで拘束し、メーカーが端末の支払いで拘束するのであれば、「利用者のスイッチングコストが高まり、他の通信会社への乗換えが実質的に困難になるおそれがある」という指摘には当たらないはずだ。

 ただ、このままでは月額5000円という高額な負担は残ってしまう。しかし、iPhone Upgrade Programが48回払いになれば、月額の負担は一気に半額となり、従来、KDDIとソフトバンクが提供していたプログラムと遜色ないかたちとなる。

 もちろん、24回払いでも、キャリアが「docomo with」のような、端末割引をしない代わりに基本料を値引くというプランを導入すれば、ユーザーの負担は一気に下がるだろう。

 9月あたりにキャリアとアップルが「iPhone Agreement」を改定し、4年縛りのiPhone Upgrade Programをアップルが提供するようになると、公取委もぐうの音がでなくなり、面白いことになりそうな気がするのだが。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  5. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  6. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  7. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年