公正取引委員会(公取委)は6月28日、「携帯電話市場における競争政策上の課題について(平成30年度調査)」を公表した。
この報告書は、2016年度の報告書で指摘した事項のフォローアップをしつつ、大手キャリア(MNO)やMVNOに対する聞き取り調査、有識者による意見交換、ユーザーに対するアンケートなどを踏まえてまとめられたもの。
公取委といえば、独占禁止法(独禁法)を所管する官庁。携帯電話市場の“どこ”に課題があると考えているのだろうか。概要を見てみよう。
一般的に、MNOは端末と回線契約を“ひも付けて”販売している。その際、端末購入に伴う月額料金の割り引き(「月々サポート」「毎月割」「月月割」など)を合わせて提供することがすることが多い。
公取委は料金・代金の値引きやキャッシュバック自体は競争上望ましいとしているが、MVNOを含む他事業者の事業活動を困難にするレベルの値引きやキャッシュバックは独禁法で規制している「私的独占」に当たる可能性があると警告している。
販売代理店が独自判断で行う値引きやキャッシュバックについても、一定の要件を満たした場合は独禁法上で規制される「不当廉売」に当たる可能性があるとしている。
公取委は商品やサービスは、消費者の好みに合わせてに選べるようにするべきという考え方も示している。
その観点と消費者アンケートの結果を踏まえ、期間拘束する契約プランでは期間内に支払う通信料金と端末代金などの総額をユーザーに示し、契約更新時も同様に総額を示すことが望ましいと提案もしている。
MNOの料金プランは「定期契約なし」と「定期契約あり」に大別される。後者の多くはいわゆる「2年縛り」として契約期間が2年(24カ月)に設定され、自動更新されるようになっている。
独禁法上の観点から、公取委は定期契約なしのプランは2年縛りを正当化するためだけに名目上設定されたもので、実態のある価格とは認められないと指摘。その上で、合理的な目的がない、行きすぎた期間拘束や定期契約の自動更新は、独禁法上の「私的独占」や「取引妨害」になる恐れがあるとする。
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