総務省の「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」が4月20日、報告書案をまとめた。
この会合のちょうど1週間前(4月13日)、公正取引委員会(公取委)において有識者による「携帯電話分野に関する意見交換会」が立ち上がった。この会合は2016年に公取委が公表した報告書「携帯電話市場における競争政策上の課題について」のフォローアップを行う目的で設定されたもので、初回会合では、大手キャリア(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク)からのヒアリングと質疑応答などが“非公開”で行われた。
5月15日の第2回会合はMVNOからのヒアリングと、それを受けた質疑応答や構成員同士の討議が“公開”で行われた。ヒアリングに応じたMVNOはインターネットイニシアティブ(IIJ)、ケイ・オプティコムと日本通信の3社。オブザーバーとして通信行政を監督する総務省から料金サービス課長と移動通信課企画官の2人も参加した。
この記事では、公取委が挙げた論点案と、MVNOが会合で行ったプレゼンテーションの内容をまとめる。
今回の会合において、公取委が示した論点例は大きく以下の4点。全て「接続料」に関するものだ。
MVNOは大手キャリアのネットワークを借り受けて通信サービスを提供する。大手キャリアの設定する接続料の設定によってはMVNOの競争力が削がれる可能性は否定できない。
公取委としては、この検討会での議論を通して「接続料の設定においても大手キャリア間の競争を促したい」「接続料の競争を通してMVNOにおける回線選択の自由度を高めたい」「接続料の予見性(見通し)を立てやすくすることでMVNOの経営の安定度を高めたい」といった意図があるものと思われる。
なお、MVNOが大手キャリアの回線を利用する場合、大手キャリアから回線の卸提供を受けた上でサービスを提供する「卸電気通信役務」と、大手キャリアと接続協定を締結して、設備を相互接続する「事業者間接続」の2つの形態があり、MVNOの多くは前者を使ってサービスを提供している(参考記事)。
「接続料」の概念は一般的に後者を使ってサービスを提供している場合に用いるものだが、今回は卸通信料金が実質的に接続料を反映しているという前提で議論を進めた。
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