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» 2018年05月23日 06時30分 公開

課題は「接続料」? 公正取引委員会が第2回「意見交換会」を開催 (3/3)

[井上翔,ITmedia]
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日本通信:「接続」にこだわって論を展開

 大手キャリアとMVNOとの接続に事業者間接続が用いられるようになったのは、日本通信が2007年7月に総務大臣に対する裁定を申し立てたことがきっかけだ。この申し立ての結果、同11月に同社の申し立てがおおむね認められ、2008年2月にNTTドコモと事業者間接続について基本合意し、2009年3月に接続協定の締結と、それに基づく事業者間接続が完了した。

 このような経緯もあり、MVNOの多くが卸電気通信役務を利用している現在においても、同社は事業者間接続によるサービス提供を継続している。そのため、同社の課題認識も“接続”に由来する。

 まず、同社はMVNO同士において接続料が公平化どうかという問題提起をした。

 電気通信事業法第34条第4項では、第二種指定通信事業者(無線設備を持つ携帯電話事業者=大手キャリア)は接続約款に従って他事業者との接続協定を結ぶ必要がある。この文言を厳密に適用すると、大手キャリアは事業者間接続を使うMVNOには同一条件で回線を貸し出さなければならない。

 しかし、繰り返しだが現在は多くのMVNOが卸電気通信役務を使っており、その詳細な提供(契約)条件が見えづらい。事実上の「事業者間接続」に当たるものがMVNOに「卸提供」されている弊害として、同社は「より広い帯域をより安価な料金で提供する」というある種の誘導を大手キャリアがすることや、MVNO同士の疑心を生むことを挙げる。

 全てのMVNOが卸になってしまえば、キャリアは毎年接続料を下げる必要はなくなり、やがてMVNOは消滅する――このような危機感から、「接続」はきちんと“接続”として取り扱い透明性を高めることで、MVNO同士の公正競争を実現することを求めた。

日本通信の主張(その1) 日本通信はMVNO同士の公正競争実現のために“接続”の厳格な適用を主張(公取委提出資料より)

 同社は大手キャリアとMVNOとの間の公正競争についても疑問を投げかける。

 大手キャリアの接続料は値下げが続いている。しかし同社は、接続料の実質値上げが続けていると主張する。単価は下がっても、大手キャリアと同等の品質を確保するために必要な接続料の支払い総額が増加傾向にあるためだ。

 この実情を踏まえた議論を進めてほしいという格好だ

 また、大手キャリアの開示する情報が過去ベースであることで、MVNOの事業計画が立てにづらくなる「情報の非対称性」も課題であると指摘。この点の改善も必要であるとした。

 合わせて、サブブランドとのサービスの差分を埋める観点から、大手キャリアが「卸提供であるため提供義務はない」とする音声通話(準)定額の卸提供も求めた。一歩踏み込んで、通信設備事業と通信サービス事業を「会計分離」することで、MVNOとMNOの公平競争を担保するべきだという主張も行った。

日本通信の主張(その2) 接続料は値下げが続いているが、実際に大手キャリアの品質と同一にしようとするとむしろ支払金額が増えていると主張(公取委提出資料より)
日本通信の主張(その3) 大手キャリアからもたらされる情報の非対称性も問題点として指摘(公取委提出資料より)
日本通信の主張(その3) 音声通話の卸提供や通信設備事業と通信サービス事業の会計分離も求めた(公取委提出資料より)

 この後、公取委の論点例やMVNOのプレゼンテーションを踏まえた質疑応答と意見交換が行われた。

 公取委は、論点例で大手キャリアが接続料を下げるインセンティブ(動機付け)として、新規周波数帯の電波を割り当てる際に能率的な経営を行っている(≒接続料をしっかりと下げている)キャリアを優遇すべきという旨を盛り込んだ。それに対して、総務省のオブザーバーが「新規事業者にとって不利な制度となる」「新規割り当ては不定期であること」「大手キャリアが応募してくるとは限らない」といった問題点を指摘する場面もあった。

 一方、構成員からは「接続料にヤードスティック方式(競争に基づいた料金査定)を持ち込めないか」「接続料“そのもの”の妥当性を検証する機会を設けた方が良い」「電気通信事業法に基づく紛争処理制度を利用しやすくすることを検討すべきではないか」といった意見も出された。

 第3回会合は5月29日に行われる。消費者アンケートの結果を分析した上で、競争政策上の課題を話し合う予定だ。

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