タブレットからの脱皮を図るApple 新iPad Proでは“ノートPC対抗”がより明確に(1/2 ページ)

» 2018年11月02日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 9月に続いて開催されたAppleのスペシャルイベントでは、既報の通り、「MacBook Air」「Mac mini」に加えて、11型と12.9型の「iPad Pro」が発表された。新しいiPad Proはどのような位置付けの製品なのか。イベントを振り返りながら、その役割を見ていきたい。

iPad Pro 10月30日に米ニューヨークで発表された「iPad Pro」

プロユースの役割を明確化したiPad Pro、競合はPCに

 2010年に発表されたiPadは、「まるで魔法のようなガラスで、ユーザーの好きなものに一瞬で変わる」(ティム・クックCEO)製品だ。タブレット市場は低迷しているともいわれるが、ことiPadに関しては、3月に第5世代のモデルを投入したこともあって、売り上げを伸ばしている。販売台数は、8年目の現時点までで「4億台以上」(同)と大きな市場に成長した。

iPad Pro ティム・クックCEOが初代iPadを振り返りながら、市場規模を語った
iPad Pro 初代iPadからの累計販売台数は4億を超えた

 一方で、iPadはその役割を徐々に広げ、ラインアップを拡大してきた。2015年には、Apple Pencilに対応したiPad Proを発表し、クリエイティブな用途での利用シーンを開拓。現時点では「安価で汎用(はんよう)性の高いiPad mini 4とiPad、限界を広げてクリエイティブで最先端な経験ができるiPad Pro」(クック氏)と、大きく2つの方向性に製品が分かれている。

iPad Pro 普及を担うiPadとiPad miniに対し、iPad Proはクリエイティブな用途に使うコンピュータという位置付けだ

 今回のスペシャルイベントで発表されたのは、後者のiPad Proだ。スマートキーボードに対応したり、マルチタスクを強化したりと、よりPCライクな方向に進化してきたiPadだが、Appleは、このiPad Proをコンピュータの本命と見ているのだろう。イベントでも“競合”として他のノートPCとの販売台数を比較しながら、「他の全てのノートPCを上回る、もっとも人気のあるコンピュータ」(クック)と語られている。

iPad Pro 販売台数で比較対象になっていたのは、タブレットではなく、ノートPCだった。こうしたグラフからも、AppleがiPadをどう位置付けているのかが分かる

 後述するように、新しいiPad Proには、ニューラルエンジンを搭載した「A12X Bionic」が内蔵されており、機械学習やARを活用したアプリをスムーズに動かすことが可能だが、その示すためにゲストとして登壇したのは、Adobeだった。

iPad Pro ゲストとして登壇したAdobeのジェイミー・マイロルド氏

 同社のデザイン担当バイスプレジデントを務めるジェイミー・マイロルド氏は、10月に開催されたAdobe Maxで発表されたiPad版の「Photoshop CC」を披露。同アプリはタッチやApple Pencilでの操作に最適化されているが、新しいiPad Proのパフォーマンスを生かすと、120以上のレイヤーで作られた3GBを超える画像でも、簡単に編集、加工ができるという。

 デモで最初に披露されたのは以下に掲載した写真だが、実はこの映像は全体の中のごく一部。ここから一気にズームアウトして、全体像が表示されただけでなく、Apple Pencilをダブルタップしてピクセル1つ1つを見ることもできた。こうした動作が可能なのは、Appleのクック氏が語っていたように、iPad Proがパフォーマンスの高いパワフルなデバイスだからだ。

iPad Pro
iPad Pro 画面サイズ相当の画像を編集していると思いきや、実は当初投影されていた映像は、全体の中のごく一部だった
iPad Pro タッチやApple Pencilでの操作に最適化されたiPad版のPhotoshop

 OSやそれに伴うファイル管理、マルチタスクの仕組みなどに違いはあるものの、クック氏が競合としてノートPCを挙げたのは、それほど大げさなことではないことがよく分かる。むしろ、写真や動画などの映像編集において、コストパフォーマンスでiPad Proに匹敵するデバイスは存在しないかもしれない。もともとプロユースのニーズにこたえて誕生したiPad Proだが、新モデルではその位置付けをさらに明確化した格好だ。

iPad Pro Apple Pencilをダブルタップすると、一瞬でピクセルが見えるレベルまで画像が拡大された
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月28日 更新
  1. 「楽天モバイルWiFiスポット」を試してみた 屋内通信の不満解消へ期待も「接続性」に課題 (2026年07月26日)
  2. 夏の暑さ対策グッズでよく見掛ける「ペルチェ素子」ってなんだ? 賢く使うための注意点も (2026年07月27日)
  3. 折りたたみスマホ「OPPO Find N6」を3カ月使って実感した“真価” 仕事とプライベートで大活躍 (2026年07月26日)
  4. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  5. なぜ「LINE VOOM」は嫌われたのか 保護者を悩ませた“子供たちの抜け道” (2026年07月24日)
  6. 気温35度以上のハンディファンは「逆効果」 猛暑を安全に乗り切る使い方と2026年おすすめ5選 (2026年07月27日)
  7. ドコモが「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」を値上げ 一部機種は残価も引き上げ、実質負担額の影響は? (2026年07月24日)
  8. 界面活性剤とマイクロファイバーでタッチパネルをきれいに! ダイソーで220円の「スクリーンクリーナー」を試す (2026年07月25日)
  9. 【3COINS】100段階で風量調整、透明デザインの「大風量ペルチェ付きハンディファン」 3300円 (2026年07月27日)
  10. UQ mobileとY!mobileの「セット割なし」新割引を比較 ahamo、LINEMO、楽天モバイルよりもお得? (2026年07月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー