Android 9 Pieの新「ナビゲーションバー」 普及なるか?:ふぉーんなハナシ

» 2018年11月30日 14時15分 公開
[井上翔,ITmedia]

 ちらほらとAndroid 9 Pieをプリインストールしたスマートフォンが世に出始めました。既存のAndroidスマホでも、同OSへのバージョンアップが始まっています(参考記事)。

 OSバージョンアップをする際は、新機能や仕様変更が付きもの。Android 9でも例外ではありません(参考記事)。しかし、端末メーカーがあまり採用しようとしない仕様変更もあります。

Pixel 3 Android 9世代のGoogleスマートフォン「Pixel 3」

Android 9の新しい「ナビゲーションバー」

 Androidにおいて、「戻る」「ホーム」「タスク(アプリ履歴)」といったアプリの操作に使うシステムキーは「ナビゲーションキー」と呼ばれています。Android 3.0(スマホではAndroid 4.0)以降のOSでは、これらのキーを「ナビゲーションバー」として画面で表示することが推奨されています。

Android 8.xまでのナビゲーションバー Android 3.0(4.0)以降では「ナビゲーションバー」として画面内設置が推奨されているナビゲーションキー。写真のように一般的には「戻る」「ホーム」「タスク」の3つが配されるが、メーカーによってはカスタマイズで他の機能も持たせている場合がある

 Android 9では、このナビゲーションバーが刷新されました。主な変更点は以下の通りです。

  • 「ホーム」と「タスク」が統合された
  • 不要なときは「戻る」キーが表示されない(アプリ側の対応も必要)
  • 画面自動回転をオフにしている場合に横(縦)画面に固定する機能が追加された

 特に、ホームキーとタスクキーが統合されたことは大きな変化。従来のタスクキーに相当する操作は、「ホームキーの上方スワイプ」に置き換えられています。

 同OSをプリインストールするGoogleのスマートフォン「Pixel 3」「Pixel 3 XL」では、この新しいナビゲーションバーを全面採用。操作体系を一新しています。

新しいナビゲーションバー Android 9の新しいナビゲーションバー。タスクキーがホームキーに統合され、不要な時は戻るキーも表示されない
タスク画面 従来のタスクキーに相当する機能は、ホームキーを上方にスワイプすると出てくる
横画面固定機能 自動画面がオフの時に、横画面表示にも対応するアプリを起動して端末を横に倒すと、横画面表示で固定するためのキー(アイコン)が出るようになった

サードパーティーも追随……しない?

 この新しいナビゲーションバーはAndroid 9をプリインストールするサードパーティー端末でも採用……されると思いきや、意外とそうでもないようです。

 まず、いち早く同OSのプリインストールを表明したソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ3」は、旧来のナビゲーションバーを搭載。新しいナビゲーションバーには対応していません。

SO-01L Xperia XZ3はAndroid 9をプリインストール。しかし、ナビゲーションバーは従来仕様“のみ”となる(画像はNTTドコモ向けの「Xperia XZ3 SO-01L」)

 また、日本でも今日(11月30日)発売された「HUAWEI Mate 20 Pro」も、Android 9をプリインストールしていますが、ナビゲーションバーは従来仕様。Huawei独自の「ジェスチャー」操作は備えるものの、やはり新しいナビゲーションバーは使えません。

Mate 20 Pro HUAWEI Mate 20 Proも従来仕様のナビゲーションバー

 一方、シャープの「AQUOS zero」「AQUOS R2 compact」は新ナビゲーションバーを標準としつつ、設定を変更すれば従来仕様のナビゲーションバーも使えるようにしています(参考記事)。いち早くOSバージョンアップした「Essential Phone」についても、新旧のナビゲーションバーを切り替えられる仕様となっています。

AQUOS zero(新ナビゲーションバー)AQUOS zero(旧ナビゲーションバー) AQUOS zero(写真)やAQUOS R2 compactは、新旧どちらのナビゲーションバーも使えるようになっている

新ナビゲーションバーを採用しないのはなぜ?

 このように、Android 9をプリインストールするスマホでも、新ナビゲーションバーを採用するかどうかは判断が分かれています。それは一体なぜなのでしょうか。

 先述の通り、新ナビゲーションバーは操作方法が一新されています。筆者がAndroidを普段使っている複数の知人にPixel 3/Pixel 3 XLを使わせてみたところ、ほぼ全員が操作に戸惑っていました。操作体系が変わると、うまく操作できないユーザーは確実にいるのです。

 新ナビゲーションバーを採用しなかったメーカーは、ユーザーの戸惑いをなくすために、新ナビゲーションバーをあえて採用しなかったことが考えられます。

 「シャープやEssential Phoneのように切り替えできるようにすればいいじゃん」という声もあるでしょうが、不用意な操作で設定が切り替わって混乱するユーザーのことも想定すると、切り替えできることが正解であるともハッキリとは言えません。逆パターンではありますが、Pixel 3/Pixel 3 XLで旧ナビゲーションバーに切り替えられないのも、「不用意な切り替え」に対する戸惑いを避けるという観点からかもしれません。

Pixel 3の画面設定 Pixel 3の画面設定では、旧ナビゲーションバーへの切り替えができない

 もう1つ、あえて採用しなかった理由として考えられるのは自社開発のホームアプリと新ナビゲーションバーとの“親和性”です。Pixel 3/Pixel 3 XLのオリジナルホームアプリ「Pixel Launcer」は新ナビゲーションバーとの親和性が高く、タスク表示内にGoogle検索ウィンドウやよく使うアプリの表示もできます。

 このような新しい操作体系と、自社オリジナルのホームアプリの親和性を高めるべく検討を進めた結果、初期のAndroid 9端末では新ナビゲーションバーの採用を見送ったとも考えられます。

 もしも自社オリジナルホームアプリとの親和性に一定の“答え”が出れば、後から出る新機種やソフトウェア更新で新ナビゲーションバーに対応する可能性もあるでしょう。

Mate 20 Proのナビゲーション設定 Mate 20 Proのナビゲーション設定画面。自社オリジナルのホームアプリとの折り合いが付けば、新ナビゲーションバーにも対応するかもしれない

 ただ、新ナビゲーションバーを採用していないメーカー(端末)でも、新しい画面方向固定機能は共通して採用されています。操作体系やホーム画面との親和性には影響しない範囲だからだと思われます。

画面固定 新ナビゲーションバーを採用しないMate 20 Proだが、新しい画面固定機能は採用された

 ともあれ、新しい操作体系には一定の拒否反応が出るのは当然のこと。端末メーカーとユーザーの双方にAndroid 9の新しいナビゲーションバーが“浸透”するには、ある程度時間が掛かりそうです。

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