NTTドコモが年末駆け込みで「ギガホ60GB」キャンペーンを発表――5Gで「ゼロレーティング規制」は無用の長物になるか石川温のスマホ業界新聞

» 2020年01月10日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 世間では仕事納めで缶ビールを開けているのではないかというタイミングで、LINEが鳴った。NTTドコモから「ギガホ増量キャンペーン!月60GB使える!」という告知メッセージが届いたのだった。まさか、メディア向けの案内より前に、LINEでこんなキャンペーンを知らされるとは思わなかった。まさに年末ギリギリの奇襲攻撃と言える。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年12月29日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 今回、30GBから倍増した60GBということもあり、相当なインパクトだといえる。条件も「ギガホを契約していればいい」ということで、すべてのギガホユーザーが適用になるという大盤振る舞いだ。

 NTTドコモでは、2020年3月末までにギガホ・ギガライトの契約数を1700万回線という目標を掲げており、目標達成のためのテコ入れという見方もできそうだ。

 一方、ソフトバンクやKDDIにとってみれば、仕事納めの12月27日に突然、発表されたキャペーンに空いた口が塞がらないだろう。しかも、キャンペーンの開始日は1月1日。通常、用意周到で、キャンペーンを告知し、展開するNTTドコモではありえないタイムスケジュールだ。年末年始を挟むとなると、月間50GBの「ウルトラギガモンスター+」を手掛けるソフトバンクがすぐに対抗策を打ち出すのは難しいのではないか。

 5G時代を前にして、各キャリアとも大容量プランを展開してきた。現状、NTTドコモとソフトバンクにはデータ容量に制限があり、「auデータMAXpro」を展開するKDDIも、テザリングのデータ容量に制限があるが、5G時代にはいずれも制限がなく、完全使い放題になっていくのではないか。

 今週、総務省ではゼロレーティングに規制をかけ、動画見放題などのサービスに対して、データ容量が超過した際には、対象となる動画サービスも速度制限をすべきとした。

 しかし、4Gで、すべてのコンテンツに対して、使い放題にできないために、一部の動画やSNSをゼロレーティングにするという苦肉の策であったが、5Gになり、すべてのコンテンツを使い放題にできれば、ゼロレーティング規制も意味をなさなくなってくる。

 各キャリアは、年明け早々の早いタイミングで5G向けの料金プランを発表し、総務省の規制がすでに時代遅れでユーザーのニーズを無視した、意味のないものであるという現実を早く突きつけてほしいものだ。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2025年12月26日 更新
  1. 「駅のQRコードが読み取れない」――ネットに落胆の声 なぜ“デジタル時刻表”が裏目に? (2025年12月25日)
  2. mineo料金プラン改定の真相 最安狙わず「データ増量+低速使い放題」で“ちょうどいい”を追求 (2025年12月25日)
  3. 3COINSで1万1000円の「プロジェクター」を試す 自動台形補正、HDMI入力、Android OS搭載で満足度は高め (2025年12月24日)
  4. 若いiPhoneユーザーの間で「クリアケース」に人気が集まっている理由 すべては“推し”のために (2025年12月25日)
  5. 時刻表が“QRコード”だけになった──SNSで「不便」「むしろ不要」と賛否 横浜市営地下鉄は元に戻すのか? (2025年11月21日)
  6. 関東地方で5G通信が速いキャリアは? ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルでICT総研が比較(2025年12月) (2025年12月24日)
  7. iPhoneのロック画面で「カメラが起動しちゃった」を防げるようになった! その設定方法は? (2025年12月24日)
  8. Apple CarPlayもPlayストアも使える車載ディスプレイ「オットキャスト OttoScreen AI」が30%オフの3万5080円に (2025年12月24日)
  9. iPhone 17 Proで話題になった「8倍光学品質ズーム」って何? そのメカニズムを解説 (2025年12月25日)
  10. 「威嚇するような態度をとられた」──“撮り鉄”の迷惑行為に苦言続々 JR東日本も警鐘 (2025年12月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー