減収減益のドコモに立ちはだかる新型コロナウイルス iPhone SEや5Gにも影響石野純也のMobile Eye(1/2 ページ)

» 2020年05月02日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 NTTドコモは、4月28日に2019年度の決算説明会を開催した。2019年6月に導入された新料金プランの影響を受け、通期での業績は減収減益に転じた。特に営業利益は-15.7%と大きく減少している。この状況に追い打ちをかけるのが、3月以降急速に拡大している新型コロナウイルスだ。収束の見通しが不明なこともあり、業績予想は非公表となった。端末販売や5Gのネットワーク整備に対する影響も大きく、予断を許さない状況だ。ここでは、その詳細は見ていきたい。

ドコモ ドコモの決算会見は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、オンラインで行われた

「ギガホ」「ギガライト」の導入で通信料収入は大幅に減少

 2019年度のドコモは、大幅な減収減益に見舞われた。通期の営業収益は4兆6513億円で、前年度から1896億円の減収。営業利益も1兆円を割って8547億円となり、1590億円の減益になった。ドコモの収益には2つの柱がある。1つが、モバイル通信料からなる「通信事業」。もう1つが、その上で展開するサービスの「スマートライフ領域」だ。減収減益の大きな要因は、前者の通信事業にある。

ドコモ ドコモの2019年度は、減収減益の厳しい決算になった

 内訳は、通信事業の営業収益が3兆6870億円、営業利益が7065億円で、前年度から2901億円の減収、1598億円の減収になった。対するスマートライフ領域はNTTぷららの子会社化の効果などもあり、営業収益が9977億円で1082億円の増収、営業利益も1481億円と、8億円の増益を記録している。通信料収入の落ち込みを、スマートライフ領域で補いきれなかったというわけだ。

ドコモ セグメント別で見ると、特に通信事業の落ち込みが大きいことが分かる

 通信事業の減収減益は、「新料金プランのお客さま還元影響」(吉澤和弘社長)だという。2019年6月に導入した「ギガホ」「ギガライト」は、最大で4割の値下げになっている。新料金プランはいわゆる分離プランのため、コストとして計上される月々サポートが減り、ある程度減益を相殺できる構造だが、プラン変更は必須ではない。そのため、月々サポートの適用が既に終わっているユーザーから移行が進むことになる。

 2019年度は、この影響が大きく出たといえる。なお、新料金プランの申し込み件数は3月末時点で1651万件に増加。吉澤氏によると、4月17日には1700万契約を突破したという。

ドコモ 新料金プランは、4月に1700万契約を突破した

 端末販売収入も2362億円減少している。コストを2056億円抑えられているため、収支では306億円の減少だが、営業収益に与えた影響は大きい。2019年10月には電気通信事業法が改正され、端末購入補助が最大2万円に制限された。それに伴い、ハイエンドモデルの売れ行きが停滞している。2019年度の販売台数は、スマートフォンとタブレットの合計で1291万8000台と、前年度の1478万1000台から、およそ186万台減少。ミドルレンジモデルの比率も上っているため、台数以上に収益への影響が大きくなったといえる。

ドコモ 前年度との比較で見ると、端末販売収入も大きく減少していることが分かる

スマートライフ領域は拡大するも、販売促進が重しに

 一方で、スマートライフ領域は、NTTぷららを子会社化した影響もあり、営業収益1兆円にリーチがかかった。ただし、営業利益は8億円増の1481億円とほぼ横ばい。年間予想として打ち出していた1600億円も未達になった。吉澤氏は「d払いや映像系サービスの販売促進の影響があった」と明かす。決済サービスのd払いは、競合他社の競争が激しく、ユーザーや加盟店の獲得を増やさなければならず、利用の促進も必要になる。映像系サービスも同様だ。

ドコモ スマートライフ領域は、営業収益が大きく伸びた一方で、コストがかさんで営業利益はほぼ横ばいだった

 結果として、金融・決済サービスは取扱高が大幅に伸び5兆円を突破。dカード契約数も1297万になった。中でもd払いが3.2倍と大幅に伸び、取扱高は4000億円に迫る3990億円に成長している。ユーザー数も、2019年度末で2526万人と2000万人を超えた。加盟店の数も「新たにユニクロや吉野家でご利用いただけるようになり、順調に拡大している」(同)という。

ドコモ 金融・決済は、取扱高が大幅に伸びた
ドコモ d払いは、1年で取扱高が3.2倍に急成長している

 dポイントの利用額も1998億円分になり、前年度から23%伸びた。加盟店での利用は1211億円で58%増になった。こうした結果に対し、吉澤氏は「国内有数の共通ポイントに成長したといえるのではないか」と自信をのぞかせる。公開されている指標が異なるため、厳密な比較はできないが、競合となる楽天スーパーポイントが2019年実績の年間発行額が3200億ポイント、5月からKDDIが導入するPontaはauが払い出すポイントとの合算で2000億ポイント超だが、規模感では、dポイントもこれらのサービスと同等かそれ以上になったと言えそうだ。

ドコモ dポイントの利用額も大幅に増え、会員基盤が整いつつあることがうかがえる

 こうした実績を踏まえ、吉澤氏は2020年度の取り組みの1つとして、「会員を軸とした事業運営の本格化」を挙げる。dポイントを通じて取得したデータを活用することで、「会員との強い顧客接点を構築し、デジタルマーケティングにおける最適なアプローチを実施していく」(同)という。2020年度は、通信分野で5Gの展開を拡大していくのと同時に、dポイントを通じた事業も本格化していく1年になる。

ドコモ 2020年度は、会員を軸にした事業を本格化していくという
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