「1型センサーの本家」が作るスマホ「Xperia PRO-I」の真価はどこにある?(1/2 ページ)

» 2021年11月03日 06時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]
Xperia PRO-I 中央の大きなカメラが目立つ「Xperia PRO-I」

 1型センサーの本家本元がいきなりきたー! って感じの「Xperia PRO-I」。つい「プロワン」と読みそうになるけど「1」じゃなくて「I」。プロアイ。「I」は「Imaging」の「I」だそうで、新製品のプレゼンを見ていたらいきなり「The Camera」と来たのである。

Xperia PRO-I スマートフォンのプレゼンでいきなり「The Camera」だ

 何しろ、ソニーは1型センサー搭載コンパクトデジカメの大ヒットモデル「RX100」シリーズを持っているメーカー。ソニーがやらねばどこがやる、ってなもんだ。

 その1型センサー、Xperia PRO-Iも「RX100 VII」のセンサーをモバイル向けに最適化したものを採用……って、あれ、RX100 VIIのイメージセンサーって約2100万画素だよな。でもPRO-Iは1220万画素。約800万画素はどこいった? とカメラ好きはそこに目が行ったわけだが、それはそれとしてチェックしつつ、ソニーはどこを目指そうとしているのかもPRO-Iから探ってみたい。

1型センサーが1210万画素のわけ

 何はともあれ、PRO-Iを語るとしたら「1型センサー」だろう。Xperia PRO-Iはトリプルカメラ仕様のフラグシップスマホ。「Xperia 1 III」では3つのカメラが同じ顔をして並んでいたが、Xperia PRO-Iは真ん中のカメラだけデカい。

Xperia PRO-I Xperia PRO-Iのカメラ。中央の広角カメラにはカールツァイスの「ZEISS」ロゴ、そしてレンズ名のTessar。その横の「T*」はTスターコーティングを表す。

 それが1型センサー搭載のカメラだ。24mm相当の広角カメラに、以前よりずっと大きな同社のハイエンドコンパクトの最新モデル「RX100 VII」が搭載する1型のイメージセンサーを最適化して搭載したのだ。従来モデルの4倍のサイズといっている。

Xperia PRO-I 従来のスマホのカメラとXperia PRO-Iのカメラの画素ピッチを比べた図。大きさもこれだけ違う

 ただ、このセンサーは総画素数約2100万画素。RX100 VIIの場合、有効画素数約2100万画素でアスペクト比は3:2だ。対してXperia PRO-Iは有効画素数1220万画素で、アスペクト比は従来のXperiaと同じ4:3だ。

 何が起きているかというと、2100万画素のうち、中央部の4:3で1220万画素分だけを使っているのである。

 そうすることで、レンズを小さく薄くできるわけで、実は同じセンサーを使っている「RX0」は有効画素数約1530万画素だし、普及型コンパクトでも高倍率ズームを小さなボディーに収めるためにセンサー全体を使っていないモデルはある。

 たぶん、従来のXperiaが1220万画素で統一していたのでそろえたかったことと、スマートフォンの薄型ボディーに収めつつレンズのクオリティーを保つことを考えると、中央部の1220万画素分を使うのが現実的な解だったのかなと思う。新たなセンサーを開発するより、RX100 VIIのセンサーを改良する方がコストもかからなくてよかったのだろう。

Xperia PRO-I Xperia PRO-Iのカメラユニット。手ブレ補正機構も搭載している

 それでも画素ピッチは2.4μm。これが大きい方が1画素あたりの面積がでかい=より多くの光を捉えられるので画質的に有利なのだけど、先日出たばかりのiPhone 13 Proが1.9μmなのでそれよりもまだ大きい。

 で、中央部1220万画素分しか使ってないというのは静止画のときの話。センサーサイズ的には余裕があるので、動画は静止画よりちょっと横方向に広く撮れるし、手ブレ補正をオンにすると画角は少し狭くなるが、センサーサイズが大きい分、以前よりはそれが抑えられているそうだ。

レンズのF値が2段階の可変式に

 そして、このメインカメラにはもう1つ特徴がある。それはレンズ。スマホカメラのレンズは往々にしてF値固定であるが、Xperia PRO-IはF2.0と4.0の2段階になった。一時期、Samsungが「デュアルアパーチャー」という名で絞りに2段階切換式を採用したことがあるけれども、それ以来だ。

Xperia PRO-I F2.0の状態
Xperia PRO-I F4.0の状態。穴が小さくなっているのが分かる

 F2.0と4.0では2段分しか変わらないので大きな変化はないけれども、遠景をくっきり撮りたいときはF4.0にした方がほんのちょっとディテールがしゃきっとする。また料理などを近距離で撮るときは、F2.0では背景がボケすぎることがあるし背景も前景もどっちもピントを合わせたいときもある。そんなときF4.0にするといい。F2.0と4.0の切り替えは「Photography Pro」の「BASIC」モード時も含めて完全に手動だ。

【訂正:2021年11月30日17時40分 「F2.0と4.0では1段分しか変わらない」→「F2.0と4.0では2段分しか変わらない」へ訂正いたしました。】

Xperia PRO-I メディア向けの製品体験会にて、F2.0で撮影した花(造花だけど)。背景ボケ機能を使わなくてもセンサーサイズが大きいので背景のボケもはっきり出ている
Xperia PRO-I こちらはF4.0で撮影した花(造花だけど)。背景のボケがぐっと小さくなった。こっちの方がスマホっぽい写りだ
Xperia PRO-I 手前のコスモスにピントを合わせてF2.0で撮影。遠景がぼけているのがよく分かる

 カメラアプリはXperia 1 IIIと同じく「Photography Pro」を使う。これのBASICモードではスマホらしくアプリ任せで撮れるし、背景ぼかしも動画も使える。それ以外のモードではシャッターはボディーのシャッターボタンのみになり、カメラらしいUI(ユーザーインタフェース)になる。今までのPhotography Proとの違いは絞りの切り替えがついたことくらいだろう。

Xperia PRO-I Photography Pro。リアルタイム瞳AFが働いて瞳をずっと追ってくれる

 さらに素晴らしいのがAF。たぶんスマホカメラのAFに関してはトップと言っていい。人間でも動物でもリアルタイム瞳認識が発動して目を追い続けてくれるし、それ以外の被写体でも撮りたいものをタップすれば「リアルタイムトラッキングAF」が働いてきっちりと被写体を正確に追いかけてくれる。

Xperia PRO-I メディア向けの製品体験会にて、瞳AFで撮影。絞りはF2.0

 広角カメラの他は16mm相当の超広角カメラと50mm相当の望遠カメラだ。

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