1型イメージセンサー採用による高画質に注目が集まりがちだが、Xperia PRO-Iのポイントは写真用のPhotography Pro、デジタルシネマ用の「Cinematography Pro」に加えて新たに「Videography Pro」を用意したことにあると思う。
Cinematographyは業務用のシネマカメラがベースなんだけど、映画を撮りたいんじゃないよって人にはアプリの使いこなしも撮影の編集も含めてちょっとハードルが高かった。そこで、シネマカメラではなく業務用ビデオカメラをベースにしたVideography Proというビデオアプリを新たに搭載したのだ。
シネマカメラほど専門的な知識がなくても使え、でもカメラアプリについてくるほぼアプリおまかせのビデオ機能よりもずっと細かいコントロールができてイメージ通りの映像を撮れる――そんなアプリなのである。しかもオプションで自撮り用「Vlog Monitor」も用意。
よりクオリティーが高い1型センサーカメラで自撮りするための小型モニターだ。アダプターと一体化して背面に貼り付けて使う。さらに「α」シリーズやVLOG CAM用のシューティンググリップと組み合わせれば、グリップを持って撮影して回ったり自撮りをしたり、テーブル三脚代わりに使ったりと、Xperia PRO-IをVLOG用のビデオカメラとして使えるのだ。
実際に体験会で使ってみたが、一番クオリティーが高いカメラで自撮りできる上に背景もいい感じにボケてくれるし、もちろん正面も撮れるし、カメラアプリも本格的なビデオカメラ的に扱えるわけで、実は本命とするターゲットはフォトグラファーよりビデオグラファーなんじゃないかと思うくらい。
考えてみたら、最近のソニーのデジカメは「VLOGCAM ZV-1」(これはXperia PRO-Iと同等の1型センサー機だ)、「VLOGCAM ZV-E10」(これはレンズ交換式のVLOGCAM)とVLOGに力を入れた機種を立て続けに投入して、カメラの世界でも「動画も撮れるスチルカメラ」から「静止画も動画も等価に扱うデジタルカメラ」へシフトしつつあるわけで、Xperiaのフラグシップモデルにそのテイストが入っていても不思議はないのだ。
前モデルの「Xperia PRO」が単体で使うよりはαシリーズと組み合わせて最高の力を発揮するプロ機だったとすれば、Xperia PRO-Iはそれにプラスして単体でもイケるスマホ、というか通信機能内蔵の映像機器としてクリエイターをサポートするデバイスになろうとしているんじゃなかろうか。1台で静止画+動画+配信をこなせちゃうのである。
てなわけで、次回は実機を使ってあれこれ試してみたい。
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