日本通信が7年ぶり黒字へ、好調の要因は“音声通話”の強化 福田社長に聞くMVNOに聞く(1/4 ページ)

» 2022年01月27日 11時37分 公開
[石野純也ITmedia]

 NTTドコモとの音声卸値下げ交渉で総務大臣裁定を勝ち取った日本通信だが、その結果を受け、新ブランド「日本通信SIM」のもとで、2020年7月から次々と新サービスを打ち出している。2020年12月にはahamo対抗の「合理的20GBプラン」を2178円で投入。2021年6月には、データ容量を6GBに抑えて、月70分の音声通話を付けた「合理的みんなのプラン」を導入した。

日本通信 70分の無料通話と20GBまたは6GBのデータ通信を利用できる「合理的みんなのプラン」

 さらに、12月には上記の合理的20GBプランに完全音声通話定額をスタート。2022年1月には、法人向けに音声通話定額の提供を開始した。モバイルの中心がデータ通信になる中、同社は無料通話や音声定額を武器に、サービスのラインアップを拡充している。MVNOと言えば、小容量、低価格の料金プランが中心だが、日本通信SIMのサービスはそれらとは一線を画しているようにも見える。

 なぜ日本通信は音声通話を売りにしたサービスを展開しているのか。同社で代表取締役社長を務める福田尚久氏に、日本通信SIMの戦略を聞いた。

在宅勤務の影響で音声通話の時間が伸びている

―― まず、直近のお話からうかがっていければと思います。合理的20GBプランにかけ放題を導入しましたが、その狙いを教えてください。

福田氏 われわれの持っているデータを見ると、音声通話の時間が伸びているからです。これは在宅勤務の影響で、オンライン会議を開かず、ちょこっと電話だけすることがある。顧客やビジネスパートナーに、携帯から電話をかけることが多いということです。時間をセットしてみんなでやるときはオンライン会議ですが、一方で携帯からの通話も増えています。実際、緊急事態宣言で在宅勤務を増やしてくださいという要請が出ると、1人あたりの通話時間が伸びます。そうなると、ビジネス的にはかけ放題のニーズが高まります。

 アメリカでは昔からそうでしたが、時差だけでなく、距離もあるので、めったなことがないと直接は会いません。(ビジネスでも)携帯から携帯へかけることが広まっていました。コロナでテレワークが定着したことで、それと同じことが日本で起きています。

 もちろん、今でも会社負担のところはありますが、世の中の多くは個人負担で携帯を使っています。携帯が支給されている会社でも、営業だけで、企画系などの内勤が多いところは個人の携帯ということがあります。その部分を定額にして、安くしたいというニーズが出ています。

 2020年7月に投入した「合理的かけほプラン」はデータ容量が3GBでしたが、法人ニーズが多い料金プランでした。ただ、テレワークも含め、いろいろなことをモバイル回線でやるとなると、20GBでかつ通話も定額にしてほしいというニーズが出てきます。そういったこともあり、(合理的20GBプランへのかけ放題の)対応を始めました。

―― 合理的20GBプランのかけ放題を発表した際に、「実は法人契約ができる」とうたっていました。これはなぜでしょうか。

福田氏 他社が法人契約をできなくしているからです。ahamoなどのオンライン専用プランは個人専用ですよね。一方で、今コストをどうにかしたいと考えている法人も少なくありません。最初の合理的かけほプランを発表した際も、最初に法人からの問い合わせがワーッと入ってきました。それもあり、2020年8月に法人の受付を始めています。

 大手の法人には不当廉売ではないかと思うほど安い値段でキャリアから音声通話が提供されていますが、それは大手だけの話です。数を多く占める中小企業は、いまだにショップで契約しているところも多い。そいう人たちが、ahamoに移ることができません。不思議なのは、これだけの規模ならキャリアから安く仕入れられるのではないかと思う方まで当社に来ることです。ドコモの法人営業に電話してあげた方がいいんじゃないかと思うぐらいですね(笑)。

日本通信 合理的かけほプランでは、法人契約できることを訴求している
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