総務省の施策で本当に“乗り換え”は進むのか? MVNO復活に必要なこと(前編):モバイルフォーラム2022(2/3 ページ)

» 2022年04月04日 13時42分 公開
[房野麻子,ITmedia]

端末の周波数問題は「総務省の失策になりかねない」

 パネルディスカッションで最初に議論されたテーマは「総務省が進めてきた“乗り換え促進”施策」についてだ。取り上げた要素は「SIMロックの原則禁止」「MNP手数料の無料化」「eSIM」「キャリアメール持ち運び」の4つで、これらは総務省の「スイッチング円滑化タスクフォース」でも議題に挙がっていた大きなテーマだ。

モバイルフォーラム2022 総務省の4つの乗り換え促進施策について議論した

 2021年10月以降に発売する端末に関しては、SIMロックはかけずに販売されるようになった。3キャリアは春頃から一部の機種に試験的に導入。9月に発売されたiPhone 13シリーズで足並みをそろえ、3キャリアもSIMロックしない状態で販売。10月以降発売の端末は、SIMロックなしで販売されている。

 SIMロックがかかっていないことはユーザーのメリットとなり、乗り換えを促進する面もあるが、一方で、キャリアの端末によって対応周波数が異なり、他キャリアのSIMを挿して使うとパフォーマンスが上がらない場合があるという課題が浮き上がってきた。この件は、3月14日に行われた総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」(第26回)でも議題に上がった。

 北氏は「2021年にも消費者団体から指摘があった」と説明。当時、キャリアとメーカーにヒアリングしたところ、両者とも周波数の対応を強制している/させられていることは「ない」と回答。全キャリアの周波数に対応するとなると、検証にかかるコスト、場合によってはハードウェアのコストが「誰の負担になるのかという話になり、そこでいったん引いて、現状を注視しようという話になった」(北氏)という。

 今回議題に挙がった背景には、とある政治家からの指摘があったようだ。総務省も取り上げざるを得なくなり、再び持ち上がってきたという。総務省が海外の状況を調査しており、米国と韓国では「Android端末に関しては、キャリア端末は当該キャリアの周波数のみ対応するのは基本となっている。欧州は分からないが、日本だけ全周波数に対応せよということは、ないのではないか」と北氏は認識している。

 落とし所が難しい問題で、しかも「最終的には総務省の失策ということになりかねない」と石野氏は指摘する。

 「検証にかかるコストとは、技適を取るためのコスト。さらにさかのぼると、キャリアに同じような周波数を割り当てていれば、そもそも周波数の差異は生まれなかったという話になる。(それらは総務省が管轄してるので)深掘りしていくとブーメランが総務省に返ってくるような気がする」(石野氏)

 キャリアもメーカーも自由競争の上でビジネスをしている。端末のスペックを決めるのは、あくまでキャリアとメーカーだ。全周波数対応を強制することはさまざまな面で難しさがある。石野氏は「結局うやむやになるのでは」と予想する。

 「(キャリアを変わると端末が)全く使えないのであれば話は別だが、使えることは使える。また、全周波数に対応したからといって、ユーザーが端末はそのまま、どんどんキャリアを移行するかも疑問。周波数の対応を気にしている人は既に理解していてiPhoneを選んでいると思う」(石野氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月09日 更新
  1. 資産3000万円以上が対象 MUFG「エムット」最上位サービスと“年会費無料”アメックス・プラチナの魅力とは (2026年10月08日)
  2. 楽天モバイルの「ローミング継続」条件は本当に「エリア外」だけ? 2社のマップから見えた“食い違い” (2026年10月08日)
  3. 新コード決済「teppay」はどこで使える?  エキナカ施設からコンビニ、ファミレス、ECまで一挙案内 (2026年10月07日)
  4. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  5. Boseが有線イヤフォン市場に再参入 ノイキャン搭載で約1.7万円の「Bose Noise Cancelling Wired Earbuds」 (2026年10月08日)
  6. フリービット創業者の石田宏樹CEOが辞任 子会社の株式取得で「利益相反」などの指摘を受け (2026年10月07日)
  7. KDDIのローミング縮小でも「やめる理由にはならない」 楽天モバイルユーザー4人が語る本音と“経済圏”の囲い込み (2026年10月05日)
  8. 富裕層向けカードの潮流が変化 アメックス、三井住友、ダイナース、ラグジュアリーカードが狙う“特別な体験価値”とは? (2026年09月22日)
  9. ファミマのゆうちょATM約5400台が営業終了へ  2027年1月から順次 (2026年10月07日)
  10. Xperia純正充電器がソニーストアから消える 今後は「出力30W以上のUSB Power Deliveryに対応した充電器の使用を」 (2026年10月07日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー