欧州連合(EU)の立法議会、欧州議会は6月7日(現地時間)、2024年秋までに施行する無線機器指令により、EU圏内で販売されるスマートフォン、タブレット、カメラなどに共通充電規格(USB Type-C)の採用を義務づけると発表した。
同法案は10年以上にわたって策定されてきたもので、2021年9月に欧州委員会が法案を提出していた。
EUがUSB Type-Cへの統一を図るのは、充電器やケーブルの無駄を省き、環境負担の軽減を目指すためである。発表文では、「消費者が機器を購入する度に、規格の異なる充電器を用意する必要がなくなる」というメッセージとともに、充電器費用を年間最大2億5000万ユーロ削減することに加え、年間約1万1000トンもの電子廃棄物を削減できることを挙げている。
新規則ではメーカーがEU圏内で販売される下記端末に、USB Type-Cポートを装備させる必要がある。
ノートPCも施行後40カ月以内(2026年まで)に新規則の対象機器となる。
名指しこそされていないものの、新規則についてはAppleのLightning端子が標的になっているとの見方もある。LightningもUSB Type-Cのように表裏どちらでも挿せるのが特徴だが、Lightningの登場から約10年たった今となっては、汎用(はんよう)性という点ではUSB Type-Cよりも劣る。
iPhoneはいまだにLightningのままだが、2015年発売のMacBook、2018年発売のiPad ProからUSB Type-Cへの移行が進んだ。
今後EUでUSB Type-Cへの統一化が進めば、AppleもiPhoneにLightningの採用を辞め、USB Type-Cに移行するとの見方もある。一方でiPhoneがUSB Type-C化することで、これまで周辺機器メーカーがMFi(Made for iPhone)認証取得のためにAppleへ支払っていたライセンス料にマイナスの影響を与えるなどの意見もある。
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