モバイルバッテリーを選ぶ上では、機器に充電(給電)する能力、つまり出力する電力も重要になってくる。
最近のスマホやノートPCは「USB PD(Power Delivery)」という給電規格に対応している。これにより、本来のUSB規格の上限値(※1)を超える電力をやりとりできるようになっている。「急速充電対応」をうたうスマホは、その多くがUSB PDによる充電に対応している(※2)。
(※1)USB PD以外の規格では、USB Type-C端子の「5V/3A(15W)」が上限となる(USB 2.0までの規格は「5V/500mA(2.5W)」、USB 3.xは「5V/900mA(4.5W)」が上限値)
USB PDに対応するスマホ/タブレット/ノートPCを充電する場合は、USB PD対応のモバイルバッテリーを使うと充電速度を向上できる。明記はないものの、「iPhone 8」以降のiPhoneも、USB PD対応のACアダプターと「Lightning to USB-Cケーブル」を用意すると充電が高速になる。
ただし、USB PD対応のスマホ/タブレットといっても、機種によって入力可能な最大電力は異なる。例えば「iPhone 14 Pro」は最大23W、Googleの「Pixel 7」は最大21WのUSB PD充電に対応しており、両機種共に20Wで充電すれば約30分でバッテリー容量の50%まで充電可能だ。
「大は小を兼ねる」ので、大きめの電力を出力できるモバイルバッテリーを用意すれば、より多くのUSB PDデバイスで急速充電を行える。しかし、当然ながら最大出力は大きいほど価格は高くなる傾向にある。充電するデバイスに合わせて最大出力を選びたい所だが、カタログや取扱説明書に入力できる最大電力が明記されていないことも多い。
一応、USB PDに対応している機種では少なくとも15Wを超える電力(18W以上)は受けられる。正確な最大電力を知りたい場合は、キャリアやメーカーのサポートに連絡すると教えてもらえることもある。純正ACアダプターが付属、またはオプションとして用意されているモデルなら、そのスペックを参考にするのもよいだろう。
ノートPCでも、USB PD充電に対応するモデルが増えている。独自の電源端子を備えるモデルでも、モバイルバッテリーを含むUSB PD対応電源で充電できることもある。
ただし、先に少し触れた通り、ノートPCはモデルごとに定められたしきい値未満の電力では充電できない場合がある。メーカーによってはサポートサイトや取扱説明書に「○W以上の出力に対応するAC(充電)アダプターを利用してください」と明記してくれていることもあるが、スマホやタブレットと同様にしきい値を明確にしていないケースが多い。サポートに問い合わせるとしきい値を教えてもらえることもあるが、基本的には付属のACアダプター、または本体などに記載された最大電力を参考にすると失敗しない。
中には「低電力でも充電可能!」とアピールしているノートPCもある。ただし、そのようなモデルで低電力充電を行うには本体の電源をオフ、あるいはスリープ状態にしなければならない。PCの稼働中は本体バッテリーの消費を抑える補助機能にとどまってしまうので注意が必要だ。
ノートPCを使いながら本体バッテリーも“充電”したい場合は、そのノートPCに見合った出力に対応するモバイルバッテリーを用意したい。
ひとまず「自分では判断できない」という人もいると思うので、お勧めの最大出力は以下の通りとなる。
なお、USB PDに対応するモバイルバッテリーの場合、充電に必要なケーブル(≒USB Type-Cケーブル)が別売であることが多い。バッテリーに付属しない場合は別途購入しておこう(参考記事)。
(※2)繰り返しだが、ノートPC本体に充電しながら使う場合は必要な電力のしきい値がモデルによって異なるので、事前に調べることをお勧めする
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