激化した2023年のスマホ料金競争を振り返る ドコモのサブブランド対抗/金融連携が新トレンド石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2023年12月23日 09時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 2023年は、キャリア各社の料金プランが相次いで改定された1年だった。6月には、楽天モバイルが「Rakuten最強プラン」を導入。ほぼ同時期に、KDDIのUQ mobileも従来の料金体系を刷新する形で、「ミニミニプラン」「トクトクプラン」「コミコミプラン」の3つをスタートさせた。サブブランドでは、ソフトバンクのY!mobileも10月に「シンプル2」を開始し、データ容量を増量するともに、料金もわずかに値上げしている。

 また、ドコモは7月に「ギガホ」「ギガライト」の2本立てだった料金プランを「eximo」に一本化するとともに、低容量向けの「irumo」を導入。勢いをつけているUQ mobileやワイモバイルへの対抗軸を打ち出している。一方で、KDDIは「auマネ活プラン」を、ソフトバンクは「ペイトク」を開始し、料金プランと金融・決済サービスの連携を強化した。官製値下げで料金プランを改定してから約2年がたち、各社とも料金を再び見直す動きが活発化している。

料金プラン
料金プラン
料金プラン Rakuten最強プランや、irumoの導入、金融・決済連携の料金プランなど、23年はキャリア各社の料金プランが大きく変わった1年だった

楽天モバイルがRakuten最強プランを導入、サブブランドも中容量にシフト

 料金プラン改定の先陣を切ったのが、楽天モバイルだ。同社は2022年に1GB以下が無料を廃した「UN-LIMIT VII」を導入していたが、2023年6月にはこれをさらに改定。6月に「Rakuten最強プラン」をスタートさせ、既存のユーザーも自動的に移行させた。料金そのものはUN-LIMIT VIIとほぼ同じだが、au回線にローミングしている際のデータ容量制限を撤廃したのが大きな特徴だ。KDDIとのローミング契約を見直したことで、これが可能になった。

料金プラン 料金体系はほぼそのままだが、ローミングエリアでの容量制限がなくなった。これに伴い、エリアも自社とローミングを合算した表記に変更している

 0円廃止直後はユーザーの離脱が相次ぎ、一時は純減に見舞われていた楽天モバイルだが、Rakuten最強プラン導入後は順調にユーザーが増え、解約率も低下している。容量制限がなくなり、楽天モバイルとKDDIのエリアを合算して示せるようになったことで、ユーザーの支持を集めた格好だ。料金水準自体はこれまでの料金プランと同じだが、地方も含めたエリアの不安がなくなり、もとの安さが際立ったといえる。法人契約が順調なこともあり、楽天モバイルの純増数は月間で20万ペースを維持している。

料金プラン Rakuten最強プラン投入後、純増のペースが拡大している。画像は、楽天グループの第3四半期(7月から9月)の決算資料

 一方のKDDIも、UQ mobileの料金体系を抜本的に見直し、楽天モバイルやユーザー数を伸ばしているドコモのahamoへの対抗軸を打ち出した。中でも特徴的なのが、1回10分までの音声通話定額と20GBのデータ容量がセットになったコミコミプラン。料金は3278円で、2970円のahamoよりやや高いが、その分、音声定額の時間が倍の10分に設定されている。楽天モバイルも、20GBを超えたときの金額が3278円。データ容量は無制限にはならないが、エリアの広さでこれをカバーする。割引なしでこの料金になるのも、シンプルさを意識したahamoやRakuten最強プランと同じだ。

料金プラン KDDIは、UQ mobileの料金プランを6月に刷新。Rakuten最強プランやahamoに対抗する、コミコミプランを投入した

 実際、UQ mobileはこの料金プラン改定で、ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)の拡大に成功している。11月に開催された決算説明会では、KDDIの代表取締役社長、高橋誠氏が「UQ mobileは、多くの方に中大容量プランをお選びいただいている」とコメント。中でもコミコミプランや、データ容量15GBのトクトクプランが好調で、「足元では約7割が選択している」(同)という。Y!mobileが確立したサブブランド的な料金体系から、ahamo、楽天モバイル対抗型に移行したことが、功を奏したといえる。

料金プラン UQ mobileでも、中大容量プランの選択率が拡大している

 そのY!mobileも、10月には新料金プランのシンプル2を導入し、旧プランのシンプルは新規受付を終了した。シンプル2は、シンプルの料金体系を受け継ぎつつ、データ容量を増量した料金プラン。各種割引適用後の料金は20GBのMプランが2178円で、こちらも水準を楽天モバイルに合わせてきた。一方で、その分“素の料金”は上がっており、MプランやLプランでは「おうち割 光セット」の比重が増している。ソフトバンクの専務執行役員 寺尾洋幸氏は「ギガ単価は下がっている」と語っていたが、事実上の値上げとも捉えられる。UQ mobileと同様、官製値下げによるARPUに下落に歯止めをかける施策の一環と見ていいだろう。

料金プラン Y!mobileも、10月にシンプル2を導入。データ容量を増やした一方で、料金はやや値上げに。割引の比重も高まった
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  3. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  4. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  5. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  6. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  7. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  8. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  9. Qualcommのウェアラブル新チップが「Elite」を冠する理由 最新モデム「X105」は衛星通信100Mbpsへ (2026年03月11日)
  10. 【無印良品】ウエストポーチもになる「スリングバッグ」が3990円に値下げ中 植物由来の原料を使用 (2026年03月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年