法令改正で“実質値上げ”のスマホ、4キャリアはどう動いた? 24年の売れ筋に影響も石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2024年01月06日 09時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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予想買い取り価格をシビアに見積もるドコモ、KDDIは一部モデルの本体価格を改定

 一方で、他社は買い取り予想価格をかなりシビアに見積もっているようだ。同じPixel 8で比較してみよう。ドコモは、「いつでもカエドキプログラム」における12カ月目の買い取り予想価格として、5万6353円を提示している。あくまで予想値ながら、ソフトバンクよりも1万円以上安い。KDDIは2年後の予測しか公表していないが、Pixel 8の128GB版を4万5200円と見積もっている。この数値は、ドコモの24カ月目にあたる4万5562円より安い。

ドコモ ドコモの公表している予想買い取り価格から、1カ月目、12カ月目、24カ月目を抜粋してグラフ化。ソフトバンクより、保守的に見積もっていることが分かる

 予想価格が低くなれば、その分、免除できる残価も減ってしまう。そのため、ドコモはほとんどの端末を実質値上げしている状況だ。Pixel 8の場合、2年利用時の実質価格は6万4460円。12月26日までは3万4100円だったため、ほぼ2倍の値上げになっている。iPhoneやGalaxy、AQUOSなども軒並み実質価格が上昇した。予想価格を厳しく見積もった結果、いつでもカエドキプログラムで設定される残価が下がり、実質価格の値上げにつながってしまったといえる。

Pixel 8 ドコモ版Pixel 8の実質価格。改定後は、6万円を超えてしまった

 また、ドコモは2023年9月に1年で端末の返却が可能な「いつでもカエドキプログラム+」を導入していた。法令改正後も、このプログラムは継続している一方で、一部端末が対象から外れている。上記のPixel 8は、そんな端末の1つだ。ドコモはPixel 8の実質価格を発売後、段階的に値下げしていた。2023年11月10日の改定では、1年利用後に返却した場合の実質価格は、1万7798円まで下がっている。さらに、新規契約やMNPで22歳以下やeximoを契約する場合、2万ポイントのdポイントを進呈していた。

 同様に、サムスン電子の「Galaxy Z Fold5」も、256GB版と512GB版の双方が、いつでもカエドキプログラム+の対象から外れている。Pixel 8は、1年後の買い取り予想価格が5万6353円。Galaxy Z Fold5の256GB版は11万5830円だ。ドコモ版のPixel 8は本体価格が11万9900円、Galaxy Z Fold5は25万7400円。いつでもカエドキプログラム+では、Pixel 8で10万円強、Galaxy Z Fold5は18万円強を免除する形になり、買い取り予想価格を大きく超えていた。2機種が対象から外れてしまったのは、これが理由といえる。

Pixel 8 Pixel 8やGalaxy Z Fold5は、いつでもカエドキプログラム+の対象からも外れた

 これに対し、ドコモ同様、比較的渋い買い取り予想価格を打ち出しているKDDIは、一部モデルの本体価格を値下げした。もともと、auのPixel 8は11万7900円と他社に近い価格をつけていたが、法令改正を受け、価格を9万9000円まで落としている。買い取り予想価格に基づき、残価も下がっているが、本体価格も安くなった結果、実質価格は法令改正前の水準をほぼ維持している。MNPで「au Online Shopお得割」が適用された場合の実質価格は、9890円だ。逆に、「Pixel 8 Pro」や「Xperia 5 V」などのハイエンドモデルは、わずかながら実質価格が値上がりしている。

Pixel 8 KDDIは、一部モデルの本体価格を引き下げた。Pixel 8は10万円を下回り、実質価格をある程度維持している

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