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新生「Vポイント」で何が変わる? 携帯キャリアとの“ポイント経済圏争い”にも注目

» 2024年04月22日 21時03分 公開
[石井徹ITmedia]

 CCCMKホールディングスと三井住友カードは4月22日、Tポイントを「Vポイント」にリニューアルした。説明会では、プラスチックカードのTカードからモバイルカードへの移行を進める方針を示した。

Vポイント Tポイントは「Vポイント」にリニューアルした

 共通ポイントの「Tポイント」と、SMBCグループのポイント「Vポイント」の2つが合併して、新生「Vポイント」となった。通称は「青と黄色のVポイント」だ。旧「Vポイント」の名前を受け継ぎ、テーマカラーは旧Tポイントを踏襲している。両社のブランドイメージを融合して、スムーズに移行する戦略だ。

Vポイント 新Vポイントアプリ。バーコードを提示してポイントをためたり、使ったりできる

Tポイントユーザーは手続き不要でVポイントを使える

 新Vポイントは従来のTポイントと同様に、全国の加盟店でカードを提示してポイントをためられる。加盟店は4月以降にすき家やジョーシンなど、5000店舗が加わり、全国15万5000店舗の規模になる、

 さらに、ためたポイントをVisaカードにチャージして支払う機能も提供する。Vポイントの会員は「VポイントPayアプリ」でバーチャルカードを発行できる。このアプリはApple Pay/Google Payに対応しており、Visaのタッチ決済(NFC Pay)を使って国内外の加盟店で決済できる。

Vポイント Tポイントの提携先で利用できる上、Visa加盟店での支払いも使える

 これまでTポイントを使っていたユーザーは、特に手続きを行わずにVポイントを継続利用できる。これまで通り、三井住友カードなどの利用でもVポイントがたまる。銀行とカード決済の両機能を備えた「Olive」もVポイントがためられる。

VポイントPay VポイントPay機能。Visaのタッチ決済で使えるバーチャルカードを発行できる

 旧Tポイントと旧Vポイントの両方を持っているユーザーは、ID連携手続きを行うと、ポイントを合算できる。

Vポイント ポイント合算の手続きはアプリ上で行える

 ポイント還元率は従来通りと変わらず、加盟店によって異なるが、カードの提示で0.5%〜、決済で0.5%〜のポイントが付与される。三井住友カードのクレジットカードを利用した場合は、店舗によって7.5%のポイント還元を受けられる。6月まではキャンペーンで10%の還元となっている

Vポイント Vポイントの還元率は、店舗や利用カードによって異なる

「Tカード」は板カードからアプリ重視へ

 Vポイントへの名称変更に伴って、「T」が付くサービスはほとんどが「V」の付く新名称となっている。例えばプリペイド型決済サービスのTマネーは、「Vマネー」に更新された。その中で、あえて「T」の付く名称を維持したものがある。プラスチックカードの「Tカード(Tポイントカード)」だ。

 Tカードは名称変更後も、そのまま使える。店頭で配布するポイントカードはTカードの名称を継続するという。ただし、CCCMKはTカードのプラスチックカードを廃止し、スマホアプリへ一本化する方針を示している。2023年の発表会では「5年後までにモバイル利用率を100%にする」(CCCMKの高橋誉則社長)と宣言していた。

 今回の発表会では、CCCMKホールディングスの撫養宏紀取締役が「Vポイントではスマホへの登録を中心にしていきたい。プラスチックのTカードに変わり、モバイルに登録しやすくするようなカードを順次検討している」と説明した。

Vポイント プラスチックカードからアプリへ移行を促す方針を打ち出している

“ポイント経済圏争い”は携帯キャリアがリード

 2023年3月時点で、旧Tポイントは1億2800万ID、旧Vポイントは2600万IDを有している。共通ポイントのユーザー数としては国内首位となる数字だ。一方で、共通ポイントの市場では、競合他社の動きもめまぐるしい。猛烈に追い上げているのは、携帯電話キャリア4社が関わるポイントサービスだ。

 Pontaポイントの会員数は1億1649万人(2024年2月)。KDDIと三菱商事が結び付きを強めている。KDDIは2019年に三菱商事子会社へ出資しPontaポイントの共同運営を開始。2024年2月、KDDIはコンビニ大手のローソンに出資し、こちらもKDDIと三菱商事の共同運営となった。Pontaポイントは金融、通信、小売と幅広い分野で利用できるポイントプログラムとなっている。

 NTTドコモの「dポイント」も約1億人会員に達する。2024年4月にはAmazon.co.jpと提携し、dポイントをためたり使えたりできるようになった。ドコモは2023年10月にマネックス証券を買収し、金融分野への攻勢を強めている。

 楽天も1億超の会員を有する。ネット通販やクレジットカードを筆頭とする「楽天経済圏」を横軸でつなげるのが楽天ポイントだ。携帯キャリア事業のユーザー獲得でもポイントを活用しており、新規ユーザーへ2万ポイント進呈などの施策を積極的に行っている。

 ソフトバンクグループは、もともとTポイントと連携していたが、2022年にTポイントとの連携を打ち切った。代わりに注力しているのがスマホ決済サービスのPayPayだ。PayPayポイントは他社ポイントとの連携はしていないが、ヤフーや傘下の金融・証券サービスと結び付けるポイントサービスとなっている。

 携帯キャリアや金融事業などの継続的に収益が上がる事業をバックに展開する競合ポイントに対して、Tポイントは実店舗が中心のCCCはじわじわと追い詰められていく状況だった。金融事業からの広がりを欠いている三井住友カードとの連携は必然のことだったのだろう。

統合後の新機能、展開時期は未定

 2023年にVポイントへの統合を発表したとき、CCCMKはポイント統合後に追加する機能を紹介していた。具体的には、クレジットカードで決済したときに、店頭提示分のポイントを事後申請できる「あとたま」機能や、ポイントの送金機能、子どもにポイントを送ってVisaのタッチ決済で使える「家族のお金の見守り」機能を今後実装すると表明していた。

 しかし、4月22日のサービス説明会では、1年前に予告した新機能について言及しなかった。CCCMKの広報は「新機能は現時点でも提供予定を予定しているが、具体的な提供時期は決まっていない」と説明している。

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