京セラのスマホは法人メインも「TORQUE」は継続 「コンシューマー向けはスペック競争とコスト要求が激しい」

» 2024年06月18日 22時09分 公開
[石井徹ITmedia]

 京セラは6月18日、通信事業部門の戦略説明会を実施した。法人向けへの事業シフトが続く中でも、スマートフォン「TORQUE」は継続して販売する意向を明らかにした。

 京セラは2024年末に個人向けスマホの開発・製造事業を終息する方針を示している。ただしその中でも、TORQUEと一部のフィーチャーフォンは継続して提供する方針という。

京セラ 京セラは個人向けの端末の製造を終了するが、TORQUEは例外として継続する

「TORQUEは皆さんが思っているよりも法人の比率が高い」

 TORQUEは、耐衝撃や防水、防寒、遮熱などの高い耐久性能を備えている。アウトドアのシーンで活躍するタフネススマートフォンだ。個人向けのイメージが強いが、京セラの通信事業戦略部の原田正夫氏は「TORQUEは皆さんが思っているよりも法人の比率が高い」と明かす。「運送業や建設現場など、使っている中でぶつけてしまう、落としてしまうような場所で使われている」という。

京セラ TORQUEやDuraForceシリーズを含むタフネススマホの累計出荷数は1300万台に上る

 このため今後のTORQUEシリーズは、法人向けと個人向け双方を意識した開発を行う方針だ。スペックだけを追求しない方向の製品開発となり、例えばカメラ機能は「画素数だけを追うことはしない」(原田氏)ものの、スマホのトレンドを取り入れた製品開発は継続するとしている。

 また、10月9日の「TORQUEの日」には、ファン向けの企画を実施することを明らかにしている。「2024年はTORQUE発売から10周年になる。感謝の気持ちを込めて企画を検討している」という。新製品を販売するような企画ではないとしており、ファン向けの感謝イベントのような催しになるものと思われる。

京セラ 京セラのTORQUEシリーズは2024年で10周年を迎える

通信機器は法人向けを8割に 「コンシューマー向けはスペック競争とコスト要求が激しい」

 京セラは法人向け製品の販売比率は2025年度末時点で売上高ベースで75%まで高まっている。最終的には法人向け比率で80%を目指すとしている。

京セラ 法人向けの販売比率は75%を超える

 法人向け事業では製品とソリューションを同時に販売することで、収益性の改善を図る。物流や小売り、医療などの分野別の課題を解決するサービスを開発し、スマホやタブレットとセットで売り込んでいく戦略だ。

 京セラの與那嶺徳弘通信事業戦略部長は「コンシューマー向けはスペック競争とコスト要求が激しいのに対して、法人向けはしっかりとした製品づくりと現場で使えるソリューションが求められる」と発言。日本で製品企画から設計、製造、アフターサポートまで一貫して手掛ける京セラは法人ユーザーのニーズに応えられると強調した。

京セラ 専用機器をスマホに集約する需要を狙う

法人向けスマホとタブレットの新製品「DIGNO SX4」「DIGNO Tab2 5G」

 6月18日にはスマートフォン「DIGNO SX4」とタブレット「DIGNO Tab2 5G」を発表した。バーコードリーダーや決済端末、トランシーバーといった専用機を置き換えるAndroidデバイスだ。

京セラ 法人向けスマートフォンDIGNO SX4を発表した

 DIGNO SX4シリーズは法人向けの標準モデルで、5G対応の「DIGNO SX4」と、Wi-Fiモデルの「DIGNO SX4 Wi-Fi」を用意。いずれも2024年10月以降に発売する。タッチ決済の読み取りリーダー端末としての利用も想定し、本体天面の広い範囲でNFCカードを認識できるように設計している。

京セラ 長期間の使用を想定して、傷が目立ちづらい無塗装ボディーにしている

 このスマホでは内部構造に工夫を施している。長期使用に耐えうるように端末内部の構造に難燃性の高い素材を採用。安全層を設けることで耐久性を高めている。

京セラ 内部構造を工夫して発火の危険を低減している

 また、予防保全のために端末の落下を検出する機能も搭載。ダメージの累積による機能低下の影響を予測し、自己診断アプリで端末の故障を把握できるようにしている。

 DIGNO Tab2 5Gは法人向けのタブレットで、KDDIから2024年秋以降に発売する。NFCリーダーを前面に配置して、画面にカードを当てるだけでマイナンバーカードやタッチ決済の認証を行えるようにした。訪問看護での看護師向け端末や、出張販売でのPOS兼決済端末としての利用を想定しているという。

京セラ 法人向けタブレットDIGNO Tab 2 5Gも発表。KDDIから発売する
京セラ 前面にNFCリーダーを搭載。マイナ保険証の資格確認やスマホ決済に活用できる

医療向けの4つのソリューション

 説明会では医療機関での利用を想定した4つのソリューションも紹介した。具体的には持参薬確認、食事摂取量の記録、離床センサー、歩行分析というソリューションだ。

 持参薬確認は、入院患者が持参した薬剤師が確認する作業だ。薬はリフィルに入っている場合と一包化されている(服用時毎に分けられている)場合がある。京セラが開発しているソリューションは、AIが処方薬の種類を分析することで、薬剤師の業務を省力化するという内容だ。2027年までの商用化を目指すとしている。

京セラ 入院時の医薬品の確認にAIを活用。日本で流通する8000種類の薬の識別を目指す

 食事摂取量の記録は、入院患者がどのくらい食事を食べたのかを記録する作業だ。京セラは食事の皿をAIで認識して、食事の量がどのくらい減ったのかを判定する仕組みを開発している。

京セラ 持参薬確認と摂取量の記録には、物体認識技術を活用している

 離床センサーは入院患者がベッドから転落したり、徘徊したりするのを検知する仕組みだ。京セラはミリ波センサーを離床センサーとして使って、精度の高い検知とプライバシー保護を両立させる仕組みを開発している。

京セラ 離床センサーとしてミリ波デバイスを活用

 歩行分析は、独自トラッキングデバイスを開発している。理学療法士が患者のリハビリを行う際に、足元の動きを確認できるようなサービスの提供を目指している。

京セラ 理学療法士がリハビリの際に行う歩行分析をサポートするツールを開発する

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  3. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  4. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  5. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  6. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  7. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  8. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  9. Qualcommのウェアラブル新チップが「Elite」を冠する理由 最新モデム「X105」は衛星通信100Mbpsへ (2026年03月11日)
  10. 【無印良品】ウエストポーチもになる「スリングバッグ」が3990円に値下げ中 植物由来の原料を使用 (2026年03月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年