ココイチを使ったモバイルオーダーでは、店内で、または店外からのものがあると前述したが、店内で食べるのであれば、入口が違う(後者ではテイクアウトオーダーから入る)だけで注文方法はほぼ同じであった。この“入口”が多少理解に苦しむが、店内で注文するのでなければ別の選択肢しかないということや、モバイルオーダー会員登録が必要というところで納得できたし、よく考えられていると感じた。
電話注文を受け付けたものの取りに来ない、予約を受けて席を確保したものの誰も来ない、といった事例が増えていることを考えると、連絡の取れることを確認した人だけを登録させ、予約注文できるようにするというのは理にかなっているからだ。
また、座席の予約ができない仕組みのため、着席してから注文を確定させる、というのもスマートだと感じた。注文をしたのに、空いている席がなくて座れないという事態を回避できるからだ。
「店内でお食事を選ぶのと何が違うのか」と思われるかもしれない。
例えば、ランチタイムなどで店舗の外に行列ができていることがある。並びながら「メニューを見られれば、並んでいる間に食べるものを決められるのに」と思ったことはないだろうか。並んでいる時間に決めておけば、着席と同時に注文できるので、効率が良い。
ココイチのテイクアウトオーダー(店内飲食)は、本当に店頭に並んでいるわけではないが、仮想的な行列でメニュー渡されているのと同じ状況を作り出している。自動車で移動している間に家族がメニューを見ながらあれやこれやと食べたいものを決めていく、家を出発する前にメニューをじっくり眺めて、好みのものをトッピングしていく。それができるのがこのアプリであり、ココイチを使うメリットだ。店舗に入ってから決めるより落ち着いて選べる上に、何より時間短縮につながる。店舗側でも顧客の滞在時間を減らして回転率を上げられるだろう。
1つだけ難点を挙げるとすれば、いったんカートに入れたものの、トッピングし忘れた、辛さを追加するのを忘れたという場合に、オプションの変更ができないところがあるだろう。カート内の商品をタップすれば、メニューリストのその商品を選べるようになるところまでは良いのだが、ここでオプションを選んでカートに追加すると、ベースは同じだがトッピングや辛さの異なる2つの商品がカートに入ることになる。
不要なほうの商品を削除するという手間が生じるし、大人数で訪店した際などは注文数で把握できなくなることもあるので、オプション違いの同じベースのものが重複して運ばれてくることになりかねない。ここは1つ「オプションの変更」ボタンを追加してみてはどうだろうか。そうすれば「あ、辛さを追加するのを忘れた! でも、面倒くさいからそのまま注文しよう」という残念な体験を減らせるだろう。
とはいえ、たくさんあるオプションの中からじっくり選べることや、それを自宅で行えることなどココイチでモバイルオーダーすることにはメリットが多い。タッチパネルもなかった時代、いったいどのように注文していたのだろうかと不思議になるくらいだ。きっと陽キャが呪文のようにまくしたて、それを熟練のスタッフが書き留めていたに違いない。そんなことを考えながらここで筆を置く。
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