とはいえ、データ容量が無制限で、かつ金融・決済サービスと連動した料金プランはまだスタートしたばかり。2社ともキャンペーンとして契約当初の還元率を上げるような施策は用意しているが、その効果も徐々に切れつつある。例えば、auのauマネ活プランは、au PAYゴールドカードで料金を支払うと、その金額に対して20%のポイント還元が受けられるが、これは12カ月間限定。開始当初に契約したユーザーは、既に特典が終了している。
同様に、ペイトク無制限も契約時点ではキャンペーンで初めて契約したときの還元率が5%から10%に上昇する。上限は4000円から変わらないが、ここに達しやすくなるのがメリットだ。5%だと1カ月に8万円使わないと還元を受け切れないのに対し、10%であれば4万円で4000ポイントを受け取ることができる。料金プランの恩恵をより感じやすくなるといえる。ただし、こちらの特典も料金プラン適用から3カ月間限定。キャンペーンが終了すると、通常と付与率は5%まで下がる。
この点は、両料金プランの課題といえる。キャンペーンが終わった時点で、ユーザーがサブブランドに戻ってしまう恐れもあるからだ。これに対し、KDDIの高橋氏は料金プランの改定を「考えている」と断言。「auマネ活プランは非常に調子がいいので、少しエンハンス(強化)したい。マネ活を入れたあと、他社もペイトクなどをやってきたが、ちょうど1年たったので次の手を考えている」と語った。
ソフトバンクも、こうした動きに対抗する方針を示した。宮川氏は、ブランド切り替えをどう促進するのかという質問に答える形で、「端的に言うと、ペイトクの魅力を高めることをやっていきたい」としながら、次のように語る。
「Y!mobileからソフトバンクへ移行するお客さまの気持ちとしてあるのは、1つが容量だが、もう1つはペイトクでPayPayを使い、結果として今までよりも値下げになると思われている。この要素をどちらも取り込めるよう、ペイトクの魅力を磨きたい」
決済・金融サービス連携の料金プランは、ドコモが4月にahamoポイ活を導入、8月にはeximoポイ活をスタートし、競争が激化している。メインブランドでは、大容量や無制限のデータ容量に加え、自社の金融・決済サービスと連携させることでいかに“お得感”を打ち出せるかが鍵になってきたというわけだ。auマネ活プランやペイトクの導入から1年がたち、その傾向がはっきり見えてきたといえる。
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