10月にデータ容量を20GBから30GBに増量したドコモのahamoに、大手キャリア各社が対抗措置を講じている。前回の本連載で取り上げたように、KDDIはUQ mobileの「コミコミプラン」を「コミコミプラン+」に改定し、データ容量を特典込みで33GBに増量。povo2.0も有効期間が1年間と長いトッピングで、ahamoを下回る価格を打ち出した。
そんなUQ mobile、povo2.0の発表から約1週間、ソフトバンクも“30GBプラン”の競争に参戦した。同社も、サブブランドのY!mobileとオンラインブランドLINEMOの2段構えでahamoやUQ mobile、povo2.0の30GBプランに対抗していく。ここでは、その料金プランの詳細とともに、MVNOも交えて激化する中容量プランの現状を読み解いていきたい。料金は全て税込み。
ソフトバンクは10月25日に、2つの料金改定を発表した。1つがY!mobile、もう1つがLINEMOだ。いずれも、ahamoやそれに対抗したUQ mobile、povo2.0にキャッチアップするために行う事実上の料金改定で、中容量プランを30GBに上げるというのが主な内容だ。ただし、Y!mobileとLINEMOでは、その中身が少々異なる。
サブブランドであるY!mobileは、オプションとして用意している「データ増量オプション」を改定する。データ増量オプションとは、その名の通り、データ容量を追加するサービス。現時点では「シンプル2 S」が2GB、「シンプル2 M」「シンプル2 L」は5GBが追加され、それぞれの合計データ容量は6GB、25GB、35GBになる。料金は550円で提供されており、データ容量が不足した際にチャージするよりもお得だ。
11月1日に改定されるのは、M/Lプランのデータ増量オプション。内容は非常にシンプルで、追加されるデータ容量が5GBから10GBへと倍増する。実質的なahamo対抗として機能するのが、素の状態でデータ容量が20GBのMプランだ。10GBになったデータ増量オプションを合算すると、データ容量はちょうどahamoと同じ30GBになる。しかもデータ増量オプションは7カ月目まで無料。各種割引を適用すると、30GBになるMプランの料金は2178円まで下がり、ahamoの2970円を下回る。
ただし、シンプル2は音声通話定額が別建てになっている点には注意が必要だ。オプションを付けないときの料金は、従量課金で30秒22円。定額オプションとして1回10分以内の通話が無料になる「だれとでも定額+」(880円)も可能だが、これを付けたときの料金は3058円に上がる。また、8カ月目以降はデータ増量オプションの料金も発生するため、料金は2728円になる。だれとでも定額+つきの場合だと3608円まで料金が上がるため、データ容量33GBで10分間の音声通話定額つきのUQ mobileより割高だ。
さらに、上記の金額は187円割引の「PayPayカード割」と、1650円割引の「おうち割 光セット(A)」を加味したときのもの。素の料金は1837円高くなるため、割引などの条件がないahamoやUQ mobileと比べると、利用のハードルは上がる。単身の若年層向けに開発されたahamoや、ahamoに対抗するために条件をそろえてシンプルにしたUQ mobileの「コミコミプラン+」に対抗できているわけではない。
家族契約や光回線とのセット割はキャリアにとって収入増につながるだけでなく、囲い込みの効果も見込める。一方で、料金プランの競争力という観点では、家族契約や光回線の契約を前提にしたことが弱点にもなる。ahamoはオンライン専用プランだが、UQ mobileはY!mobileと同じサブブランドでショップの利用も可能と条件が近い。後出しジャンケンながら、料金的な優位性ではUQ mobileのリードを許した格好だ。
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