ソフトバンクもY!mobile/LINEMOの料金改定で“30G競争”が激化 楽天モバイルやMVNOも対抗必至か石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2024年10月28日 20時35分 公開
[石野純也ITmedia]

 10月にデータ容量を20GBから30GBに増量したドコモのahamoに、大手キャリア各社が対抗措置を講じている。前回の本連載で取り上げたように、KDDIはUQ mobileの「コミコミプラン」を「コミコミプラン+」に改定し、データ容量を特典込みで33GBに増量。povo2.0も有効期間が1年間と長いトッピングで、ahamoを下回る価格を打ち出した。

 そんなUQ mobile、povo2.0の発表から約1週間、ソフトバンクも“30GBプラン”の競争に参戦した。同社も、サブブランドのY!mobileとオンラインブランドLINEMOの2段構えでahamoやUQ mobile、povo2.0の30GBプランに対抗していく。ここでは、その料金プランの詳細とともに、MVNOも交えて激化する中容量プランの現状を読み解いていきたい。料金は全て税込み。

Y!mobileとLINEMO ソフトバンクは、Y!mobileとLINEMOのデータ容量を見直す。前者はデータ増量オプション、後者はキャンペーンを料金改定まで延長する方針だ

データ増量オプションを倍増させ「シンプル2 M」を30GB化するY!mobile

 ソフトバンクは10月25日に、2つの料金改定を発表した。1つがY!mobile、もう1つがLINEMOだ。いずれも、ahamoやそれに対抗したUQ mobile、povo2.0にキャッチアップするために行う事実上の料金改定で、中容量プランを30GBに上げるというのが主な内容だ。ただし、Y!mobileとLINEMOでは、その中身が少々異なる。

 サブブランドであるY!mobileは、オプションとして用意している「データ増量オプション」を改定する。データ増量オプションとは、その名の通り、データ容量を追加するサービス。現時点では「シンプル2 S」が2GB、「シンプル2 M」「シンプル2 L」は5GBが追加され、それぞれの合計データ容量は6GB、25GB、35GBになる。料金は550円で提供されており、データ容量が不足した際にチャージするよりもお得だ。

Y!mobile 現状のデータ増量オプションは、「シンプル2 S」が2GB、Mプラン、Lプランが5GB増量される。料金は550円だ

 11月1日に改定されるのは、M/Lプランのデータ増量オプション。内容は非常にシンプルで、追加されるデータ容量が5GBから10GBへと倍増する。実質的なahamo対抗として機能するのが、素の状態でデータ容量が20GBのMプランだ。10GBになったデータ増量オプションを合算すると、データ容量はちょうどahamoと同じ30GBになる。しかもデータ増量オプションは7カ月目まで無料。各種割引を適用すると、30GBになるMプランの料金は2178円まで下がり、ahamoの2970円を下回る。

Y!mobile 11月1日から、「シンプル2 M/L」のデータ増量オプションが従来までの2倍となる10GBになる。Sプランは2GBから変わらない

 ただし、シンプル2は音声通話定額が別建てになっている点には注意が必要だ。オプションを付けないときの料金は、従量課金で30秒22円。定額オプションとして1回10分以内の通話が無料になる「だれとでも定額+」(880円)も可能だが、これを付けたときの料金は3058円に上がる。また、8カ月目以降はデータ増量オプションの料金も発生するため、料金は2728円になる。だれとでも定額+つきの場合だと3608円まで料金が上がるため、データ容量33GBで10分間の音声通話定額つきのUQ mobileより割高だ。

 さらに、上記の金額は187円割引の「PayPayカード割」と、1650円割引の「おうち割 光セット(A)」を加味したときのもの。素の料金は1837円高くなるため、割引などの条件がないahamoやUQ mobileと比べると、利用のハードルは上がる。単身の若年層向けに開発されたahamoや、ahamoに対抗するために条件をそろえてシンプルにしたUQ mobileの「コミコミプラン+」に対抗できているわけではない。

Y!mobile ahamoに近い料金で30GBプランになる「シンプル2 M」だが、8カ月目以降は550円が発生する。また、各種割引が適用されないと割高になる点にも注意が必要だ

 家族契約や光回線とのセット割はキャリアにとって収入増につながるだけでなく、囲い込みの効果も見込める。一方で、料金プランの競争力という観点では、家族契約や光回線の契約を前提にしたことが弱点にもなる。ahamoはオンライン専用プランだが、UQ mobileはY!mobileと同じサブブランドでショップの利用も可能と条件が近い。後出しジャンケンながら、料金的な優位性ではUQ mobileのリードを許した格好だ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月05日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  3. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  4. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  5. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  6. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  7. サイゼリヤの“注文アプリ”が賛否を呼ぶ理由──「使いやすい」「紙メニュー前提」など多様な意見 (2025年11月23日)
  8. Z世代で“友人のInstagramアカウント乗っ取り”が流行? いたずらで済まない不正アクセス禁止法違反 保護者が注意すべきこと (2025年12月04日)
  9. NTT系初の耳をふさがない集音器「cocoe Ear」発表 補聴器でない理由、AirPods Proとの違いは? (2025年12月03日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー