5日で登録数120万、「mixi2」がロケットスタートを切れたワケ 既存SNSが抱える“混乱”を打破できるか(1/2 ページ)

» 2025年01月05日 11時00分 公開
[佐野正弘ITmedia]

 MIXIが2024年12月16日に提供を開始した新しいSNS「mixi2」が、サービス開始から5日で登録者数120万を突破、好調な出だしを見せている。初代「mixi」から20年余りが経過した現在、なぜMIXIは新たなSNSにチャレンジするに至ったのか、これまでの経緯を振り返りつつ今後を占ってみたい。

ゲーム会社が提供するSNSが突然人気に

 スマートフォンゲーム「モンスターストライク」などのスマートフォンゲームや、「千葉ジェッツふなばし」「FC東京」などのプロスポーツチームを有し、デジタルを活用したエンタテインメント事業を主力としているMIXI。だがそのMIXIが2024年12月16日、突然新しいスマートフォン向けSNS「mixi2」を提供開始して大きな評判を呼んでいる。

 mixi2について簡単に説明しておくと、「X」に代表される短文のテキストを主体としたSNS。フォローしたユーザーの投稿が時系列に表示される比較的スタンダードな仕組みである一方、特徴的な要素もいくつか備えている。1つは感情を表現する「エモテキ」や、スタンプで反応を示す表現する「リアクション」など、感情表現に重点を置いている点だ。

mixi2 「mixi2」のWebサイトより。mixi2は短文主体でコミュニケーションする、スマートフォン向けSNSの一種だ

 2つ目は、複数の人が共通のテーマに沿って交流できる「コミュニティ」の存在。友人同士や趣味の仲間などで集まってコミュニケーションを楽しむことに重点が置かれている点は、「Facebook」など短文主体ではないSNSや、「LINE」などのメッセンジャーアプリに近しい部分もある。

mixi2 同じくmixi2のWebサイトより。複数の人と目的に応じたコミュニケーションができる「コミュニティ」が最初から用意されている点が独自色の1つとなっている

 そして3つ目が、招待制の仕組みを採用していること。知り合いから招待してもらわないと登録ができないので誰でも始められるわけではなく、そもそも18歳未満は利用禁止と定められている。

 こうした内容を見ると、mixi2は一定の差異化が図られているとはいえ、他のSNSと比べ際立った特徴があるわけではない。だがそれでもmixi2は提供開始当初から非常に大きな注目を集めたようで、サービス開始から5日間で120万を超える登録者数を獲得している。

mixi2 mixi2は招待制を採用しているため、既にアカウントを持っている人などから招待をしてもらわなければ入ることができない

初代「mixi」とはどのようなサービスだったのか

 なぜそれだけmixi2が注目されたのかといえば、mixiの存在があるからに他ならない。そもそもMIXI、以前の社名であるミクシィはSNSの大手企業として知られ、およそ20年前の2004年に提供開始したSNS、mixiが主力のサービスだった。

mixi2 mixi2の前身というべき「mixi」は、提供開始からおよそ20年が経過した現在もサービスを継続しており、筆者も久しぶりに試してみたところ、ちゃんとログインできた

 そのときのmixiの特徴に挙げられるのが、1つに招待制を採用し、18歳未満の利用を禁止していたこと。後にこうした制約はなくなっていったが、mixiを早くから利用していた人には招待制・18歳未満禁止のSNSというイメージが強いことだろう。

 2つ目が、誰が自身のページを訪問したかが記録される「あしあと」機能の存在であり、現在でいえばLINEなどの「既読」がそれに近いものといえる。足あとは誰が自分のページをチェックしているかを知ることができる、無言のコミュニケーションとなる一方で、既読機能と同様にコミュニケーションを縛り、利用者にストレスを与えていた部分もあり、一時姿を消すなど紆余(うよ)曲折をへた機能でもある。

mixi2 mixiの代表的な機能の1つ「足あと」。人気機能であった一方で、利用者のストレスになっていた側面もあった

 そしてもう1つ、大きな特色となっていたのがコミュニティだ。mixiは現在もサービスを継続しており、その継続利用につながっているとみられるのが、mixiのコミュニティを通じて趣味や共通する目的を持った仲間と培った関係性である。そうしたことを考えれば、強いコミュニティの存在こそが現在のmixiの主力機能と見ることもできるだろう。

 これら特徴を見れば、mixi2は新しいSNSとはいえ、初代mixiをかなり意識して設計されていることが分かる。他のSNSでは採用されなくなった招待制をあえて採用し、身近な人同士のつながりに重点を置きつつ、コミュニティ機能を当初から用意してグループでのコミュニケーションを促進することで、mixiに近いコミュニケーション環境を現代にマッチした形で提供しようとしている訳だ。

 一方で、足あとに類する機能は現在のところ盛り込まれていないようだ。足あとはmixiを代表する機能だったが、先にも触れた通りユーザーのストレスにもなり得る存在だっただけに、SNSに対するストレスが増えている現在の状況では盛り込みにくかったのではないかと考えられる。

なぜmixi“2”である必要があったのか

 ただ、それならばmixi2を新たに立ち上げるのではなく、既存のmixiを大幅にリニューアルして強化を図る手もあっただろう。MIXIがそうした手段を取らなかったのはなぜかといえば、mixiが現在も継続しているサービスだからこそではないだろうか。

 mixiはもともとPC向けとしてサービスを開始したが、インターネットを活用するプラットフォームの変化の波によって存在感を大きく失っていった。実際、NTTドコモの「iモード」などフィーチャーフォン向けインターネットサービスが人気となった2000年代後半から2010年代初頭にかけては、フィーチャーフォン向けに注力したディー・エヌ・エー(DeNA)の「mobage」やグリーの「GREE」に押され、当時人気だったソーシャルゲームの分野では両サービスの後手に回ることとなった。

mixi2 PC向けが主だったmixiはフィーチャーフォン主体のSNSに押されるようになり、2012年には競合の「mobage」を提供するDeNAとソーシャルゲームの分野で提携するなどの動きも見せていた

 さらにスマートフォン時代に入ると、「Facebook」「Twitter」「Instagram」といった海外発のSNSが日本でも人気を博すようになり、コミュニケーションに主軸を置いており、これらSNSとユーザーの重複が大きかったmixiの存在感が急速に失われてしまった。その一方で、MIXIは2013年に提供を開始したモンスターストライクが大ヒット。以後事業の軸足をゲームなどに移すこととなった。

mixi2 スマートフォン時代に入ると海外発のSNSに押されてmixiが低迷する一方、「モンスターストライク」が大ヒットしMIXIの主力事業はゲームなどへとシフトすることとなる

 そうした経緯から、mixiに対する世間の関心は大きく失われていったのだが、一方で強固なコミュニティを形成していたこともあり、mixiはその後も長くサービスを継続している。それだけにユーザーの多くは現在のmixiに愛着があり、大きな変化を望んでいない可能性が高い。

 ゆえにMIXI側もmixiの内容を劇的にリニューアルすればマイナス要素が伴うと判断、いっそmixiの要素を取り入れた新しいSNSを立ち上げた方がよいのではないか、という判断が働きmixi2が登場するに至ったのではないかと考えられる。

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