なぜ日本のスマホカメラはシャッター音が鳴るのか “自主規制”緩和の動きはあるも、見直しを議論すべきでは(1/3 ページ)

» 2025年01月28日 10時39分 公開
[佐藤颯ITmedia]

 スマートフォンのカメラで撮影をする際に避けて通れないのが「シャッター音」。特に、静かな場所で撮影をする際に、カシャッという音が鳴ると、気になるという人は多いだろう。一方、海外ではシャッター音が鳴らないケースが大半だ。そもそも、なぜ日本のスマホはシャッター音が鳴るのか。今回はキャリアへの聞き取りやアンケート調査の結果をもとに、シャッター音問題について考察する。

シャッター音 日本でも一部機種ではシャッター音を消せるが、キャリアが扱うスマートフォンはシャッター音を消せない(写真はオープンマーケット向けのAQUOS R9)

スマホのシャッター音が鳴る理由とは? キャリアに聞いてみた

 日本では2000年に発売された最初期のカメラ付き携帯電話「J-SH04」(シャープ製)では、既にシャッター音が鳴り、利用者が消せない仕様となっていた。理由は、携帯電話のような小型カメラでの「盗撮行為」を防ぐためとしている。

J-SH04 「J-SH04」が登場した初期のころから、ケータイのカメラはシャッター音が鳴る仕様だった

 日本において携帯電話のカメラのシャッター音は法令、都道府県条例による規制もなければ、業界団体からの仕様の規定もない。極端な話、今すぐにでもシャッター音なしにできる。あくまで通信キャリア、メーカー間の“自主規制”として取り入れている。

 それでは、シャッター音をオフにできない理由は何だろうか。今回はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアに「シャッター音が鳴る理由」と「シャッター音をオフにできない理由」の2点について聞き取りを行った。その結果、下記のような回答をいただいた。

ドコモ

  • シャッター音が鳴る理由「盗撮抑止を目的に、シャッター音が鳴る設定としております」
  • シャッター音をオフにできない理由「搭載目的を鑑み、ユーザーにて変更ができない仕様にしております」

KDDI

  • シャッター音が鳴る理由「端末メーカー様と協議のうえ、盗撮防止を目的にシャッター音が鳴る仕様としております」

ソフトバンク

  • シャッター音が鳴る理由「カメラのシャッター音については、盗撮行為が迷惑防止条例の対象にもあることから、キャリアの自主規制で音が鳴動するように、移動機メーカー様に依頼しております。なお、iPhoneについてはAppleの判断になりますため、Appleにお問い合わせください」
  • シャッター音をオフにできない理由「盗撮防止が目的のため、利用者での設定変更ができません」

楽天モバイル

  • シャッター音が鳴る理由「弊社で販売している製品は、盗撮行為をはじめとする迷惑行為の防止やプライバシー保護を目的として、撮影時にシャッター音が鳴る仕様となっております」
  • シャッター音をオフにできない理由「また、安全性を担保するため、一部製品を除いてお客さまご自身でシャッター音の設定を変更することはできなくなっております」

 大手キャリアは販売しているスマートフォンに対し、共通して「盗撮防止」を理由にシャッター音が鳴り、搭載目的から利用者が消せない状態にしていると回答した。これが「自主規制」として、20年以上慣例的に続いている。また、ソフトバンクの回答にあるように、各都道府県の迷惑防止条例に配慮するためという側面もあるようだ。

 ここで視点を広げてみよう。世界的に見るとスマートフォンのシャッター音は「オフの設定」にできる国や地域が大半だ。iPhoneなどの人気機種では、この機能を求めてあえて海外から輸入して使うユーザーもいるほど関心は高い。

 事実、スマートフォンのシャッター音について、自主規制で鳴らす設定の日本を除き、具体的に規定されている地域は韓国のみ。世界的にもシャッター音がほぼ強制されているのはこの2カ国しかない。

 韓国では2004年に通信キャリアやメーカーなどによる業界団体の韓国情報通信技術協会の基準案をもとに、韓国情報通信部(当時)がルールを規定。内容は携帯電話のシャッター音を利用者が任意でオフにできないこと、シャッター音を鳴らす音量レベルなどが規定されている。

 規定の背景は「盗撮行為の防止」となっており、ここは日本と同様だ。韓国の規定もあくまで業界内の共通ルールとしており、これに違反をしたところで法的な拘束力はないとしている。

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