「AQUOS R10」はAIで半歩先の体験を、「AQUOS wish5」は幅広い世代に訴求 “深化”したシャープのスマホ戦略(3/3 ページ)

» 2025年05月29日 20時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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Androidスマホの出荷シェアで8年連続1位に

 シャープは毎年春にスマートフォンAQUOSのフラグシップモデル「AQUOS R」シリーズを発表している。2023年の「AQUOS R8」はハイエンドのRシリーズとして初めて無印とproの2モデルに分けて市場に投入した。2024年5月にはAQUOS R9を発表。2023年に投入した「pro」モデルの姿はなく、シャープはAQUOS R9の発表会で「今期は投入しない」としていたが、10月にはミッドレンジモデルの「AQUOS sense9」とともにAQUOS R9 proを発表した。

 シャープがAQUOS R9と同時にproモデルを発表しなかったのは、パフォーマンスと価格のバランスを追求した結果だ。同社は、高性能プロセッサにこだわるユーザーが減少していると考えており、無印モデルでは「端末本体を使用する際の快適さと価格を抑えること」を重視している。

 AQUOS R10ではAQUOS R9とほぼ同じ水準の約10万/11万円という価格を維持している。プロセッサをR9と同じSnapdragon 7+ Gen 3とすることで、価格高騰を抑えたようだ。

 小林氏は2025年5月29日の発表会で、2024年はハイエンドモデルのAQUOS R9/AQUOS R9 pro、ミッドレンジモデルのAQUOS sense9、エントリーモデルのAQUOS wish4の全てで「大幅なリニューアルを実施した」と振り返り、デザイン、AI機能など、多岐にわたる進化を遂げたことを紹介した。結果として「AQUOSにとってまさに大きな変化の年となった」と小林氏は話す。その上で今回投入するAQUOS R10とAQUOS wish5は、「ピカピカに磨き上げてきた」モデルであり、「深化するAQUOS」と表現する。

 wishシリーズの先代であるAQUOS wish4は、「一般のお客さまだけでなく、多くの法人のお客さまにも導入いただいている」といい、この要因にあるのがAQUOS wish4の特徴だという。エントリーモデルでありながら、堅牢(けんろう)性、セキュリティへの配慮、トータルコスト削減、環境配慮といった要素があり、昨今の企業が重視する要素を兼ね備えた、いわば「パッケージモデル」として高く評価されたという。

 エントリーモデルからハイエンドモデルに至るまでをカバーし、それぞれに特徴を持たせて差別化を図ることで、ハイエンドモデルを毎年世に出しづらい環境が続く中でも、顧客ニーズを分析して戦略を練っていることがうかがえる。

 こうした戦略が功を奏したのか、2024年は、AQUOSの4モデルの販売が当初の予測を大きく上回る好調な推移を見せたという。その結果、AQUOSは日本国内のAndroidスマートフォン出荷台数で8年連続トップを獲得したそうだ。一方、シャープは自社で実店舗を展開しておらず、直接顧客接点を持たない。ラインアップの充実は当然だが、体験を通じて商品価値をどう訴求していくのかも、今後注視したいところだ。

AQUOS R10 国内のAndroidスマートフォンの出荷代襲シェアで8年連続1位となったシャープ
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