登山地図アプリ「YamaReco(ヤマレコ)」は7月、山岳遭難時の救助要請を支援する新機能「緊急SOS」を実装した。この機能では、選択式の質問に答えるだけで、現在地やケガの有無、装備の状況など、救助に必要な情報を家族や友人に即時送信できる。
KDDIの衛星通信サービス「au Starlink Direct」と連携する点も大きな注目ポイントで、携帯の電波が届かない圏外エリアでもSOSメッセージの発信が可能となる。遭難の発見や救助の初動を早め、結果として生存率向上にもつながることが期待される。
日本の山岳地帯では依然として携帯電話の圏外となるエリアが多く、遭難者本人が自ら連絡を取れないケースが後を絶たない。実際には、下山予定時刻を過ぎても連絡がなく、家族や勤務先が異変に気づいて初めて通報されるという事例も多い。
こうしたケースでは、遭難の発覚に数時間から数日かかることもあり、警察や消防が現場の状況を把握できないまま捜索を開始することになる。こうした遅れが、救助の遅延やリスクの増大を招いていた。
こうした課題の解決を目指し、ヤマレコは5月、KDDIの衛星通信au Starlink Directを用いた実証実験を実施。通信圏外の山中からのメッセージ送信に成功した。その成果を受け、今回の機能リリースに至った。
緊急SOS機能では、スマートフォンのヤマレコアプリから入力した情報を、通信圏内であれば携帯ネットワーク経由で、圏外であっても衛星通信を使ってヤマレコのサーバに送信する。サーバ経由で家族や友人にメッセージが届き、彼らが警察などに通報する仕組みだ。
実際の操作では、アプリ内の「登山開始」画面からメニューを開き、「その他の機能」内の「緊急SOS」を選択する。画面に表示される質問に答える形式で、以下のような情報を入力できる:
これらの情報は、自動で構成されたメッセージとして送信され、「いまココ」アプリなどを通じて家族や友人に届く。
緊急SOS機能は、ヤマレコのプレミアム会員(有料)・スタンダード会員(無料)ともに利用可能。ただし、使用前にはアプリを最新バージョン(iOSはv7.45以降、Androidはv8.6.5以降)にアップデートし、位置情報の有効化と機内モードの解除が必要となる。
なお、本機能自体は「通報手段」ではなく、あくまでメッセージを家族などに送信するツールであり、実際の救助要請はメッセージ受信者が行う必要がある。
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