ここからはスマートフォンの基本的な部分を見ていこう。システム情報を表示するアプリで確認したところ、Pura 80 Ultraに採用されているプロセッサはHiSilicon Kirin 9020であることが判明している。中国の半導体ファウンダリーであるSMICにて製造されており、製造プロセスは7nmと判明している。
プロセッサのコア数は1+3+4の8コアだが、プライムコアとビッグコアの4コアが1コア2スレッドを担える仕様と判明している。また、アーキテクチャはARMではあるものの、CPUはARMのCortexコアではなく、全コアが独自設計のものに改められている。
このような書き方をする理由として、メーカーの公式サイトにはプロセッサの記載が一切ない。加えて、プロセッサに関しては発表会でもほとんど触れることなく発売されたため、購入者が調査する必要がある。
Kirin 9020の基本性能は2年前のハイエンドスマートフォンに匹敵する。グラフィックスに関してはアップデートされた「Maleoon 920」の採用が判明している。
スマホとして使ってみても、上記のような性能と後述するHarmonyOS NEXTに最適化されているだけあって、動作にストレスは感じない。メモリは16GBと8GBが多かったHuaweiとしては大容量の構成となっている。
そして、今回のPura 80 Ultraを試した限りでは「5G通信に対応している可能性が極めて高い」と予測する。既知の通り、米国のHuaweiに対する制裁は今もなお続いており、5G対応機器や最新プロセッサの調達には大きな制限がかかっている。Pura 80 Ultraはそれを自国製造という力業で米国の制裁を回避した形と考えられる。
5G対応について曖昧な記述としている理由は、Huaweiも公式にはPura 80シリーズが「5G通信対応」とは明記していないからだ。今回も中国向けのメーカーサイトには5Gどころか4Gの対応周波数バンドの記載すら一切ない。
この機種の場合、アンテナピクトは4Gまでは示すものの、5Gの電波を受信している可能性がある場合は「アンテナピクトに4Gなどの表記がなくなる」ものになる。もちろん、端末側にネットワークの優先受信設定などはない。
筆者も実際に試してみたところ、日本の通信網でも910Mbpsの実測値を記録した。瞬時値では1Gbpsを超える値を計測するなど、一般に4Gの理論値といわれる1Gbpsに迫る値を複数回計測した。また、本機種は中国向けの5.5G(5G-Advanced)に対応している可能性が極めて高く、通信周りもアップデートされていることが判明している。
日本未発売の海外端末かつ、日本の4Gキャリアアグリゲーションへの対応や最適化も不十分なことを踏まえると、この数字は4Gスマートフォンとしては考えにくい。実測で1Gbpsに迫る高速通信が可能なことから、今回のPura 80 UltraもPura 70 Ultra同様に5G対応の可能性が高いといえる。
スマートフォンの基本スペックも確認していこう。
ディスプレイは6.8型、120Hzのリフレッシュレートに対応している。画面ベゼルは上下左右面均等に配置されている。ディスプレイの輝度も向上しており、手動でも比較的明るいiPhone 16 Proや Galaxy S25 Ultraに匹敵する輝度を出せる。
今回選んだPura 80 Ultraのブラックは、Huaweiの上位機種らしい上質な仕上がりとなっている。このような背面パネルはP40 Pro+などで採用されていたが、近年の機種には少ない。
Pura 80 Ultraではバッテリー容量も5500mAhへ増加しており、他社製品と比較しても遜色のない仕様となった。この他に100Wの急速充電に対応し、ワイヤレスでも80Wの急速充電が行える。
従来に引き続き衛星ネットワークにも対応。「天通」による衛星通話も可能な他、北斗と天通の電波を同時に利用することができる。このため、通話しながらのメッセージ送信に加え、Huaweiのコミュニケーションアプリ「MeeTime」では短時間の動画も送信が可能。今のHuaweiのスマートフォンはある種の衛星携帯電話といえる。
OSはHarmonyOS を採用。同社が提唱する「シームレスな接続」を売りにしており、対応している家電や自動車等との連携機能がより強化されている。いわゆるHarmonyOS NEXTとなるため、本機種はAndroid OSではなくなったわけだが、この部分については後述する。
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