今日から始めるモバイル決済

なぜPayPayは「プラチナカード」を急がない? 中山CEOが語る若年層シフトとゴールド強化の狙い

» 2026年05月08日 15時12分 公開
[田中聡ITmedia]

 PayPayカードが提供している上位カード「PayPayカード ゴールド」の特典が、6月2日から変更される。

 +0.5%還元の特典を廃止する代わりに、PayPayカード ゴールドの対象決済で年間100万円以上を達成すると、PayPayポイント1万1000ポイントを還元する。これは年会費1万1000円に相当するので、100万円以上の決済で元が取れる。

 また、ソフトバンクが6月2日から提供予定の新料金プラン「ペイトク2」や「テイガク無制限」などでは、PayPayアプリとPayPayカード ゴールドの決済で+10%、月4000円までのPayPayポイントを付与する。

PayPayカード ゴールド 6月2日からPayPayカード ゴールドの得点を変更し、ソフトバンクの新料金プランでのPayPayポイント還元を強化する
PayPayカード ゴールド ソフトバンクの新料金プランでは、特典分のPayPayポイント還元率を従来の+5%から+10%にアップする

 PayPay 代表取締役 社長執行役員CEO 中山一郎氏は、5月7日の決算会見で、特典変更の狙いについて「ゴールドカードの発行枚数に課題を感じていた」と話す。PayPayカードの発行枚数は右肩上がりで伸びており、2025年度は競合他社をしのぐ前年比22%の純増を記録したが、ゴールドカードは伸び悩んでいるようだ。

 そこで目を付けたのが、ソフトバンクとのシナジーだ。「この課題を克服できるのがこのプラン(ソフトバンクの新料金プラン)だと、ソフトバンクとも相談しながら決めた。新たなプランでPayPayカード ゴールドの発行枚数が増えると考えている。結果はもうしばらくお待ちいただきたい」と期待を寄せる。

PayPayカード ゴールド PayPayカードの発行枚数は順調に増加しているが、ゴールドカードの伸びに課題があるという

 年間100万円の決済で年会費が実質0円になり、新料金プランなら月4万円のPayPayまたはゴールドカードでの決済で4000ポイントが還元される(現行のペイトク無制限は月8万円の決済が必要で、PayPayカード決済は対象外)。この新料金プランでゴールドカードの発行枚数を増やしていく構えだ。

【訂正:2026年5月8日17時30分 ペイトク無制限の特典条件に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】

 一方で、+0.5%還元の特典がなくなることで、年間で220万円を超えて決済するユーザーにとっては、還元ポイントが下がり、実質的な改悪となる。より高額な決済をするユーザーに向けたカードを提供する計画はあるのか。

 中山氏は「現時点では具体的なことは決まっていない。社内では話しているが、『いつまでにこれを出す』ということは言えない。ご質問いただいた点(還元ポイント低下の不満)が数字として見えてきたら、他社さんもやっていることなので、考えていきたい」と述べる。

 通信キャリア陣営では、NTTドコモが「dカード PLATINUM」を提供していることに加え、楽天カードも「プレミアムカード」や「ブラックカード」をそろえている。ただ、PayPayは現在、若年層の獲得に注力しており、PayPayポイントの還元を優遇する「U18 応援プロジェクト」を展開。PayPay銀行は12歳から口座開設可能として10〜20代の口座数が増加している。

 加えてPayPayは、2026年度後半にクレジットカードとキャッシュカードの一体型カードの提供を予定している。まずは若いうちにPayPay銀行の口座を開設し、PayPayカードも契約してもらう。一体型カードなら、本人確認が済んでいることもあり、銀行からクレジットカード契約のハードルは低い。そして、ライフステージの上昇に合わせてPayPayカード ゴールドを勧める、という流れが出来上がる。

 「PayPayの強みである若年層を広げて、彼らの成長と共にPayPayも成長していく。ここに対してもマーケティングコストを掛けて、若年層ならPayPayグループのサービスを使っているということを盤石にしたい」と中山氏が話す通り、PayPayアプリやPayPay銀行をフックに、カードの契約にもつなげる狙いがあることが分かる。

PayPayカード ゴールド PayPay決済とPayPay銀行で若年層の取り込みを強化しており、その流れでPayPayカードの申し込みにもつなげていく

 若年層をPayPay経済圏に取り込むのと同時に、年間100万〜200万円程度の決済をするユーザーやソフトバンク新料金プラン契約者への特典を強化することで、PayPayカード ゴールドの発行枚数を増やす。そんな現状を考えると、プラチナカードの優先度は低いといえる。

 一方、ソフトバンクの新料金プランでは、PayPayカード ゴールドによる通信料金払いの還元率が、従来の10%から1%に変更される。中山氏は「携帯料金の引き落としに、PayPayカードやPayPay銀行を設定してもらえるよう進めていきたい」と話すが、ソフトバンクの新料金プランではPayPayカード ゴールドを設定するメリットが乏しい。このように、ソフトバンクの新料金プランとPayPayカード ゴールドの連携には、メリットとデメリットがあるが、6月以降、どのように評価されるか注目したい。

PayPayカード ゴールド 新料金プランでは、PayPayカード ゴールドによるソフトバンクの通信料支払い還元率が1%に変更される

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月21日 更新
  1. 「マイナポータルアプリ」が「マイナアプリ」へ刷新されて何が変わった? メリットや利用方法を解説 (2026年09月20日)
  2. iPhone 18 Proに保護フィルムを貼るとFace ID認証できない不具合 原因は“赤外線カメラの位置” (2026年09月19日)
  3. Androidでおサイフケータイを使いたくない理由 初期化で消えないデータと売却時の落とし穴 (2026年09月19日)
  4. フォルダブル歴5年の筆者も驚いた「iPhone Duo」の完成度 ソフトウェアの力で再定義できるか (2026年09月19日)
  5. 出そろった「iPhone 18 Pro」の価格を4キャリアで比較 ソフトバンクが衝撃の安さ、楽天モバイルが異例の施策 (2026年09月13日)
  6. 「おサイフケータイ」のリセット方法を改めてチェックする(新しめの機種限定) (2026年09月07日)
  7. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  8. 月40GBになった「ahamo」はどれだけお得? 他社中容量プランと比較、「大盛り」に意外な落とし穴も (2026年09月21日)
  9. iPhone Duo、256GBで36万4800円は妥当な価格設定なのか――アップル離れを招きかねない「既存モデルの価格改定」 (2026年09月20日)
  10. IIJに聞く“eSIMサポート”の裏側 「つながらない」「消した」なぜ起こる? 現場が打つ次の一手 (2026年09月18日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー