IIJ谷脇康彦社長には「寝耳に水」だったかもしれない。
日本航空とNTTドコモは2026年6月25日より「JALモバイル powered by ahamo」を開始すると発表した。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2026年6月6日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
これまでIIJmioをベースとしていたJALモバイルとは別ラインナップとなり、ユーザーは「容量を自由に選べるIIJmio」、「海外でも使える30GB、5分の通話定額がついたahamo」を選べるようになる。
傍から見れば「JALモバイルは最初からahamoと組んでおけばよかったのでは」と思ってしまう。
しかし、JALモバイルとしては最初からNTTドコモと組みたくても、そんな座組はそもそも存在しなかった。
すでにビックカメラなどの格安スマホサービスを手掛けているIIJのほうが話が早くとんとん拍子で進んだはずだ。
2025年4月、JALモバイルがスタートし、マイラーが一気に飛びついた。MVNOの新しい形として通信業界の評価もうなぎ上りとなった。
ただ、その翌月、JALモバイルにとって雲行きが怪しくなる出来事が発生した。
NTTドコモが住信SBIネット銀行の株式公開買い付けを行うと発表したのだ。
JALマイレージバンクでは住信SBIネット銀行のBaaSを用いた「JAL NEOBANK」を展開している。JALマイレージバンクにとって「スマホ通信はIIJ」「銀行はドコモ系列」という歪みが発生してしまったのだ。
住信SBIネット銀行側はBaaSにおいては「d NEOBANK」という称号をつけないなど、NTTドコモ色が出ないような配慮はしているが、なんとなく収まりが悪いのが事実だ。
おそらく、この段階で、NTTドコモがJALモバイルを受け入れる体制を整えたのではないか。
一方で、JALマイレージバンク側はJAL Life Status プログラムの対象会員向けに提供していた「povo 2.0のデータ使い放題(7日間)」の特典を2025年12月末で打ち切った。
JALとしてはpovoとの関係を深めるという選択肢もあっただろうが、JAL NEOBANKのことを考えると、NTTドコモとの距離を縮める方がメリットが大きい。
今回、日本航空とNTTドコモがタッグを組み、JALモバイル powered by ahamoを実現できたことで、JAL NEOBANK周りもすっきりと、お互い、やりやすくなったことだろう。
JAL側とすれば、NTTドコモと組んだことで、銀行だけでなく、マネックス証券も展開できる可能性が出てきた。
NTTドコモとしても、8月から「ドコモSMTBネット銀行」になることで、逃げ出すような顧客が出かねなかったが、JALとの関係性を深めたことで、そうした流出を止めることができるかもしれない。
今回、NTTドコモは「ahamo」を切り出し、他の経済圏とくっつけるという離れ業を演じたが、単にahamoのみならず、「NEOBANK」を組み合わせた「通信と銀行」をセットにして、他企業に売り出すなんてこともやりかねないかもしれない。
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