FCNTに聞く「arrows Alpha2」 10万円未満を死守できた理由、メモリ8GBでも体験価値を守るチューニングの裏側(1/3 ページ)

» 2026年09月09日 11時14分 公開
[石野純也,ITmedia]
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 arrows Weシリーズなどのエントリーモデルでシェアを伸ばしていたFCNTだが、同社の実力をいかんなく発揮したハイエンドモデルは、数年間休止していた。そんな中、同社はレノボ傘下に入って経営体制を立て直し、2025年には一通りの機能を備えた「arrows Alpha」を投入した。性能的にはミドルハイに近いが、同社はこれを「手が届くハイエンド」と定義する。

 そんなarrows Alphaの後継機が、8月に発売された「arrows Alpha2」だ。もともと、FCNTはarrows Alphaのライフタイムを2年程度と想定したが、初代arrows Alphaが好評を博したことを受け、発売直後に開発を決定。スペックはほぼそのままながら、デザインを一新した他、耐久性や防水性能も向上させている。

arrows Alpha2 FCNTの最新ハイエンドスマートフォン「arrows Alpha2」

 一方で、上記の通り、プロセッサはarrows Alphaから据え置き。メモリ高騰のあおりを受け、10万円下回るバリエーションは、メモリ(RAM)が8GB、ストレージ(ROM)が256GBに減少してしまっている。こうした市場環境を、FCNTはどのように受け止めているのか。arrows Alpha2を開発した経緯や、メモリ高騰時代を生き抜く戦略を、FCNTに聞いた。

 インタビューに応じたのは、統合マーケティング戦略本部の本部長を務める外谷一磨氏、同マーケティング統括部の担当部長 高橋知彦氏、プロダクトビジネス本部 プロダクト事業部 第二開発部長の久保洋氏、同第一開発 シニアプロフェッショナルの春藤和義氏の4人になる。

arrows Alpha発表後の反響が想像以上に大きかった

―― arrows Alphaの発売から約1年がたち、後継機であるarrows Alpha2が投入されました。てっきり、2年ぐらいは継続販売するのかと思ったのですが、なぜこのタイミングだったのでしょうか。

外谷氏 われわれは、開発の効率化などの観点で、ラインアップを2年スパンで考えているところがあります。グローバルメーカーに比べるとどうしてもボリュームが少ない中、瞬間的に稼げないボリュームは時間を使って稼ぐという考え方です。2年で見れば、それなりの規模になります。長期サポートをするにあたり、1つのプラットフォーム(プロセッサ)を長く使うことでフォローできる部分もあります。毎年新機種を出さなくても耐えられるセグメントに関しては、そういう考え方をするのが今の戦略です。

 もともと、arrows Alphaも2年売るという構想でした。ただ、発表会後の反響が想像していたよりも大きく、素晴らしかった。端的に言えば、arrows Alphaをご評価いただくお声を頂戴できました。その中には、2につながるカラバリやデザインなどに関するご意見もありました。発表会後の反響やユーザーのお声だけでなく、マーケットが合致するところも見えてきました。

 であれば、早くブラッシュアップしてお届けできるところはお届けしたい。事業としてだけでなく、いただいたフィードバックを早く返したいという考えも働き、“なるはやで”というのが(開発を始めた)入口でした。

 arrows Alphaの販売状況には、いろいろな見立てがありました。「arrowsのハイエンドって本当に売れるのか?」というお声はいろいろなところからいただきました。それでも、勝算があったのでチャレンジしてみたのですが、われわれが思う想定販売数と、事業者が見ているフォーキャスト(予想)にもかなりのギャップがありました。

 ただ、ふたを開けてみると、初速は想定の3倍ぐらいよく、在庫切れも起こしてしまいました。反応がここまでよく、マーケットからの声もあり、販売もついてきている。これなら2年売るよりも毎年ブラッシュアップした方がいいということで、arrow Alpha2の企画を検討から次に進めるフェーズに移行できました。高橋とも発表会後のフィードバックを見ながら、ここを次に直したいという話をして、実際にやると決めたのは去年(2025年)の8月下旬ぐらいですね。

arrows Alpha2 開発を主導した外谷一磨氏

―― ということは、初代arrows Alphaが出てすぐ、2の開発が決まったんですね。

外谷氏 はい。発売3日ぐらいで品切れを起こす販路があり、「まずったな……」とは思いましたが、非常にいい反応でした。そこまで需要があるということで、自信を持って2の開発に着手しています。

カラーバリエーションの少なさ、やぼったさを指摘する声も

―― ユーザーからの声として、一番大きかったのはデザインでしょうか。

外谷氏 デザインには好みもありますが、カラバリ(の少なさ)も含めてお声は結構ありました。arrows Alphaが明確にダメと言っているわけではないのですが、もうちょっとこうだったらよかったのにというご要望はあり、その意見はリスペクトしています。カラバリが少ないのは確かにそうなのですが、絶対にやらなければと思いました。

高橋氏 購入者の満足度で、カラバリは75%でした。購入したにもかかわらず75%しか満足していないのは微妙だよな、と……。他の価値に引かれて購入したものの、カラーが選べない。最終的に購入するのは白か黒だったとしても、世界観を表現したカラバリがあり、その中で白や黒を選ぶならもっと満足度は上がっていたはずです。

 今回、発表会のカラバリを見せるスライドで女性が手に持っている写真にしましたが、ここには強い思いがありました。ちゃんと人が持って、外からはこういう雰囲気で見えるというのを見てもらいたいということであのようなビジュアルにしています。

arrows Alpha2 左からレッド、ブルーグリーン、ホワイト、インディゴ。arrows Alphaにはなかったレッドとグリーン系のカラーを追加した

―― カラバリに次いで、形状などがあったのでしょうか。

高橋氏 やぼったいというお声も非常に大きかったですね。堅牢(けんろう)性を高めるためにやっていたことですが、お客さまは堅牢性の高さとベゼルの太さを結び付けません。ただただ古臭く感じてしまう。リアの丸っこさも昔っぽいという評価でした。われわれからすると、リアルの丸みは把持したとき、親指の根元に角が当たって痛くならないように付けていたのですが、そのケアが十分届いていない。購入するときには、そんなことは分からないですからね。

 ですから、arrows Alpha2では、われわれが提供したい価値を担保した形で、買う前に気になっている部分を徹底的につぶしました。そこがベゼルの太さであったり、フィーチャーフォン時代を感じるラウンド感だったりです。ただ、モダンにしつつも、手当たり感は再度フレームの面取りをすることで、手が痛くならないようにしています。このぐらい面を取っていけば痛くならないということは、何度も確認しながら、バランスを見てやっています。

arrows Alpha2 デザイン変更の苦労を語る、高橋知彦氏

―― 何パターンも試したのでしょうか

外谷氏 そうですね。どれが一番把持しやすいかは、デザインを決めるときにやりました。デザインとしてだけでなく、落としたときの堅牢性に効くバランスもあり、そこは久保にかじ取りをしてもらいながら、チューニングしていきました。

arrows Alpha2 フラットにしながらも縁の面取りを行うことで、手当たりがよくなるよう配慮した
arrows Alpha2 握ったときのフィット感は良好。幅72mmなので片手でも持ちやすい
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