大画面を生かしたマルチタスクなど、負荷の高い処理を行う際の排熱性能については一抹の不安が残る。iPhone Duoは最新のA20 Proチップを搭載し、Apple Intelligenceなどの高度な機能にも対応している。Appleによれば、カスタムベイパーチャンバーによる熱管理システムによって効率的な放熱を実現しているという。
しかし、折りたたみスマートフォンという薄型かつ複雑なヒンジ機構を持つ構造ゆえに、従来のProシリーズと同等の優れた放熱システムを内部に組み込むことは物理的に難しいと考えられる。
長時間の高グラフィックなゲームプレイや高解像度の動画編集、あるいはAIを駆使した重い処理を連続して行った際、熱によるサーマルスロットリング(過熱を防ぐための性能制限)がProシリーズよりも早く発生する懸念は拭えない。
もし長時間の使用において、実質的な処理能力やシステムの最適化がProに一歩譲るようなことがあれば、ハイエンドユーザーにとっては「画面は広くて快適だが、ピークパフォーマンスを維持しきれない」という、もどかしい事態になりかねない。
Proシリーズのユーザーにとって、手元の端末は次のモデルへの「軍資金」である。ストレート型のProシリーズであれば、背面ガラスが割れたとしても正規修理を利用し、高いリセール価値を維持した状態で売却するノウハウが確立されていた。
しかし、折りたたみスマホは可動部やフレキシブルディスプレイの耐久性への懸念から、リセールが下がる傾向にある。さらにiPhone Duoを破損した場合、その修理費用はProシリーズの比ではないほど高額になるだろう。リセールを前提とした賢い買い替えサイクルを維持するのは、Proシリーズよりも格段に難しくなりそうだ。
大画面という圧倒的な“得るもの”がある一方で、妥協のないカメラ性能、顔認証の手軽さ、放熱効率と完成されたアクセサリー群、そして堅実なリセールバリューといった“失うもの”も数多く存在する。
iPhone Duoへの乗り換えは、単なる機種変更ではなく、これまでのProシリーズで得られていた使い勝手を一度リセットする覚悟が必要になる。
新境地の折りたたみスタイルを取るか、それとも信頼と実績の使い勝手を維持するか。自分がiPhoneに何を求めていたのかをいま一度問い直す必要がある。iPhoneのハイエンドを追い求める人にとって、かつてないほど悩ましい問題になりそうだ。
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