「iPhone Duo」登場の裏で「iPhone 18」が発表されなかった理由 変わりゆくラインアップ戦略を読み解く:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2026年09月12日 11時15分 公開
[石野純也,ITmedia]

 Appleは、9月10日未明(日本時間)に新製品発表会を米カリフォルニア州クパチーノで開催。初のフォルダブルスマホとなる「iPhone Duo」や、カメラに絞りを搭載した「iPhone 18 Pro」「iPhone 18 Pro Max」などの新モデルを発表した。Apple WatchやAirPodsの新製品もそろえた。

 同社初のフォルダブルスマホということもあり、iPhone Duoに高い注目が集まっているが、スマホのラインアップ全体を見渡しても、今回は大きな変化がある。ノーマルモデルのiPhoneや、2025年に登場した「iPhone Air」の後継機が不在な上、継続販売する過去モデルも通常なら値下げされるところが、値上げになっていることだ。背景には、メモリの調達が厳しくなっている市場環境がありそうだ。

iPhone Duo Appleは、同社初のフォルダブルスマホとなるiPhone Duoを発表。ラインアップの分散も始めている。写真は、9月にCEOを引き継いだジョン・ターナス氏(写真提供:Apple)

スマホは3機種、例年より少ないiPhoneのバリエーション

 例年、Appleは9月にiPhoneのラインアップを一新してきた。2017年の「iPhone X」登場時に、1機種だけ投入が遅くなるといった例外はあったものの、ここ数年はノーマルモデルとプロモデルで画面サイズ違いが2機種ずつというのが定番になっていた。2025年はこの図式がやや崩れ、ノーマルモデルの大画面版に変わって、超薄型モデルのiPhone Airがラインアップに加わっていた格好だ。

 一方で、2026年9月に発表されたスマホは、iPhone DuoとiPhone 18 Pro、Pro Maxの計3機種。カテゴリーとしてフォルダブルスマホのDuoが新設されたものの、ノーマルモデルの「iPhone 18」やiPhone Airの後継機は発表されていない。

iPhone 18 Pro iPhone Duo以外に発表されたのは、iPhone 18 ProとPro Maxの2機種。可変絞りを搭載する

 恒例となっている締めのラインアップ紹介では、iPhone DuoとiPhone 18 Proに加え、iPhone Airと「iPhone 17」「iPhone 17e」がまとめて並べられていた。2026年3月に登場し、発売から半年しかたっていないiPhone 17eはもちろん、販売開始から間もなく1年が経過するiPhone 17やiPhone Airもいまだ“現役”というわけだ。

iPhone Duo 販売中のラインアップを並べたおなじみの1枚だが、iPhone 17やiPhone Airも現役を継続している

 とはいえ、ノーマルモデルのiPhoneは販売実績も高く、Appleにとって文字通りのドル箱だ。香港に拠点を構える調査会社のCounterpoint Researchは、10日、iPhone 17シリーズが発売初年度の売上高で過去最高を記録したと発表した。その記録をけん引したのはノーマルモデルのiPhone 17で、同調査によると前年度比で1.3倍にも拡大しているという。同モデルは、上期に世界で最も台数が売れたスマホにもなった。後継機を出さない選択肢は考えづらい。

iPhone 17 Counterpointの調査によると、iPhone 17シリーズは歴代最高の売上を記録しているという

 2025年2月に投入された「iPhone 16e」の登場以降、AppleはiPhoneの投入時期を徐々に分散させようとしていた節がある。Appleの決算を見れば分かるように、iPhoneは同社の主力製品で、売り上げの約半分を占める。その半分を9月に一斉発売していることから、同社の決算は四半期ごとの波が大きく、例年、9月を含む同社の第4四半期や年末商戦を含む翌第1四半期に売り上げが大きく伸びていた。

 サービス部門や他の製品で売り上げは分散させようとしているものの、サプライチェーンや社内リソースにかかる負荷にも波が出てしまう。予測の難しさは、株価に悪影響を与えることもある。また、今回は、フォルダブルスマホのiPhone Duoが加わったため、もしiPhone 18やiPhone Airの後継機があったとすると、スマホだけで一気に5製品も展開することになる。Duo投入のタイミングは、ラインアップ戦略を見直すには最適な時期だ。

iPhone 17e iPhone 16eや17eは、通常のラインアップとのバッティングを避け、2月から3月に投入されている
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