「iPhone Duo」登場の裏で「iPhone 18」が発表されなかった理由 変わりゆくラインアップ戦略を読み解く石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2026年09月12日 11時15分 公開
[石野純也ITmedia]

見え隠れするメモリの影響、日本では2段階値上げに

 売れ筋ということはそれだけ製造のためのデバイスも必要になる。ここ最近、特に調達が難しくなっているのが、メモリやストレージなどの半導体だ。ユーザー側には、値上がりという形でその影響が波及しているが、メーカーにとって値上がりはもちろん、必要な量のメモリを確保するのも困難な状況になっている。出ていないので気付かれないが、中にはお蔵入りになった製品もあるはずだ。

 ラインアップの投入時期を分散させるのは、この影響を受けた可能性も高い。上記のように、ノーマルモデルは特に売れ行きがいいため、その分、メモリやストレージの数量も必要になる。品薄になってしまうぐらいであれば、もう1つの人気モデルであるiPhone 18 Pro、18 Pro Maxとは間隔を空けたいと考えても不思議ではない。

 また、日本では、ベーシックで価格を抑えたハイエンドモデルが1月から3月の春商戦に売れやすいという特徴もある。この時期は携帯電話の新規契約が最も増えるといわれている。日本の春商戦はやや特殊な例だが、Appleの地域別売り上げでは7%前後を占めており、決算のセグメントとしても地域ではなく、1カ国単独で数値が開示されているだけに一定の考慮はするはずだ。欧米ではイースター、中華圏では春節(旧正月)もあり、この時期に幅広い層に訴求しやすいベーシックモデルと廉価モデルをまとめて投入するのは合理性が高い。

iPhone Duo 中国と日本は、アジアとは別に単独の国として情報を開示している。こうした影響を考慮した可能性もありそうだ

 ただ、iPhone Airがどうなるかは未知数だ。スマホとして見れば決して小さな出荷台数ではないものの、そぎ落とした仕様が裏目に出て、世界的な販売不振が報じられている。特に日本では、専用SKUで大量に出荷したこともあり、たびたびセールにかかっているほか、キャリアでも投げ売り価格がつけられている。

 弱点だったシングルカメラからデュアルカメラに変更し、スペック的なかぶりが多くなるノーマルモデルと統合するとの見方もあるが、現時点では明確なアナウンスは出ていない。iPhone Airは、その薄さゆえにバッテリー容量を増やしづらく、ノーマルモデルの代替にはなりづらいようにも思えるが、シリコンカーボンバッテリーなどでスペックを底上げできれば、ありえない話でもない。iPhone Duoの登場で、増えすぎたラインアップの再編が進む可能性もある。

iPhone Air 高い注目を集めたiPhone Airだったが、販売は振るっていないようだ

 メモリの影響は、ラインアップだけでなく、発表された端末の価格にも出ている。iPhone 17シリーズは7月に日本での値上げに踏み切ったものの、これは為替調整の側面が強く、米国などでの価格は据え置かれていた。これに対し、iPhone 18 ProやPro Maxは、米国での価格も1199ドルからと、1099ドルだった前モデルから100ドル値上げされている。

 日本でのiPhone 18 Proは、7月に実施された値上げ後のiPhone 17 Proよりもう一段高い、21万9800円からに設定された。円安とメモリ高騰のダブルパンチにより、iPhone 17 Pro発売時の17万9800円から4万円も高くなってしまった格好だ。

iPhone 18 Pro 米国ではiPhone 18 Proが1199ドルからと、2025年のiPhone 17 Proより100ドル上がっている。メモリやストレージの影響と見て間違いない

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月12日 更新
  1. 「折り目があります」――Apple初の「iPhone Duo」実機画像がSNSで物議、高価ゆえにガッカリか (2026年09月10日)
  2. NHK受信料未収で宿泊事業者に1140万円請求 「どうしてもご理解いただけなかったため」民事訴訟提起 (2026年09月10日)
  3. 折りたたみ「iPhone Duo」を触って実感した“Appleらしさ” 現地からファーストインプレッション (2026年09月11日)
  4. 「iPhone 18 Pro」は何が進化した? 「iPhone 17/17 Pro」とスペックを比較 全て20万円超えの価格が悩ましい (2026年09月10日)
  5. なぜ? カーナビが「NHK受信料」対象になるワケ 課金されるケースと徴収を免れる方法 (2025年04月15日)
  6. Apple初折りたたみ「iPhone Duo」ついに登場――耐久性から価格まで、気になる疑問FAQで解説 (2026年09月10日)
  7. iPhone 17 Proの背面ガラスがバキバキに 約2.8万円の修理代、「クレカの付帯保険」に助けられた話 (2026年09月11日)
  8. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」どちらが買いか? 2機種を使い込んで分かった“スペック表にない違い” (2026年04月29日)
  9. 「iPhone Duo」と「Galaxy Z Fold8」のスペックを比較 薄さと機能性、約9万5000円の価格差をどう評価する? (2026年09月11日)
  10. 「Suicaのペンギン」卒業騒動にまつわる背景と誤解 JR東日本に聞いた (2025年11月14日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー