この「筆圧検知がない」という仕様は、イラストレーターや漫画家など、ペン入力を創作活動の主軸に置くユーザーにとって致命的なネックとなる。デジタルイラストにおいて、筆圧による線の「入り抜き」の表現は、作品のクオリティーやタッチの繊細さを左右する根幹の要素である。筆圧が感知できなければ、どれほど高精細なディスプレイであっても、線は均一でのっぺりとしたものになってしまう。
7.6型という画面サイズと携帯性の高さから、iPhone Duoを「iPad miniの代替機」として外出先での本格的な作画に使いたいと考えていたクリエイターも多いだろう。しかし、最新のiPad mini(A17 Pro搭載モデル)がApple Pencil Proの高度な筆圧検知やスクイーズ機能に対応しているのに対し、iPhone Duoはあくまで均一な線しか引くことができない。本格的なお絵描きツールとして両者を比較した場合、iPhone Duoは明らかに力不足であると言わざるを得ない。
ただし、将来的に筆圧検知に対応できる可能性はゼロではないはずだ。Apple Pencilはペン先の位置や傾きをディスプレイ側のセンサーで読み取るが、筆圧はペン先のセンサーで検知している。
将来、筆圧検知やダブルタップ機能に対応した“Apple Pencil Pro(USB-C)”といった製品が登場すれば、iPhone Duoでも筆圧が利用できるかもしれない。これは勝手な想像だが……。
もちろん、用途を限定すれば評価は大きく変わる。テキストメインのメモ取り、PDF書類への署名や注釈、簡単な図解の作成といったビジネス用途や日常使いであれば、筆圧検知の有無はさほど問題にならず、むしろ遅延のない滑らかなレスポンスが光るはずだ。
iPhone Duoは、最小構成でも36万円を超える極めて高価な製品だ。常にポケットに入れて持ち歩ける手帳感覚で手軽に「書く」デバイスを求めているのか、それとも精緻なイラストを「描く」ためのクリエイティブツールを求めているのか。発売前に自身の用途を明確に見極めることが、この新しいフォルダブルデバイスを正しく評価する最大の鍵となりそうだ。
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