ソフトバンクとLINEヤフーが9月2日に提供を開始した、通信キャリアを問わず利用できるオンライン完結型のスマートフォン買い取りサービス「Yahoo!スマホ買取」。専用アプリを用いた即時査定から申し込み、買い取り金の受け取りまでを自宅で完結できるのが大きな特徴だ。
本記事では、サービス開始に至った市場背景やユーザーが抱える課題、プロダクト設計の工夫、そして両社の連携シナジーについて、ソフトバンク モバイル事業推進本部 プロダクトビジネス統括部 プロダクトサービス部3課の長倉奨氏と榎本和幸氏に伺った。
新品スマートフォンの価格高騰が続く中、ユーザーの購買行動や端末の利用サイクルには大きな変化が生じている。榎本氏は、このタイミングでYahoo!スマホ買取を立ち上げた理由について、市場全体の動きとユーザーの変化を次のように分析する。
「新品端末の代金が高騰してきている中で、中古市場全体が増えていくという予測があると思います。われわれとしては、1台の端末を長く使われるお客さまが増えてきていると認識しており、使い終えた端末でもきれいに使っていただいている方や、故障している端末でも価値が残っていますので、それを次のユーザーにつないでいくことが、これまで以上に重要になってくると考えています」(榎本氏)
端末価格の上昇によって「手持ちの端末を少しでも高く売り、次の端末購入の原資にしたい」という需要が高まる一方で、まだ十分に使える状態の端末や、故障して自宅に放置されている端末をリユース市場へ流動化させる重要性が増している状況が伺える。
ユーザー側に売却のニーズが存在する一方で、実際の売却行動に至らない背景には何があるのか。ソフトバンクが事前に実施した自社調査からは、ユーザーが感じている具体的な心理的・物理的ハードルが分かったという。
「端末を売却しようとすると『いくらになるか分からない』『店舗へ持っていく手間がある』などの障壁があります。また、個人間売買などでも『出品や発送で自分で梱包(こんぽう)する手間がある』『データがきれいに消えるか心配』といったハードルがあることがわれわれの調査で分かってきました。そういった不安や負担を少しでも小さくして、スマートフォンをもっと安心、手軽に手放す選択肢を提供していきたいという思いから、このタイミングでのサービス開始となりました」(榎本氏)
つまり、既存の買い取りサービスやフリマアプリなどに対してユーザーが抱いていた「価格の不透明さ」「店舗訪問の手間」「梱包・発送の手間」「個人情報漏えいの不安」という「4つの障壁」を解消することこそが、Yahoo!スマホ買取の根本的な存在意義であり提供の狙いとなっているようだ。
サービス開始直後の初期手応えについて、榎本氏は「もともとITリテラシーが高い方にご利用いただけるのが多いのではないかと想定していました」と明かし、今後の利用拡大に伴いユーザー属性の分析や認知拡大を進めていく姿勢を示す。
Yahoo!スマホ買取では、売却時の「手間」と「不透明さ」を解消するため、専用アプリ「Yahoo!スマホ買取 査定」を活用した即時査定システムを導入している。画面の割れや動作状況をその場でセルフチェックできる仕組みだが、そのUI/UX設計には緻密な検討が重ねられていたそうだ。
「なるべく多くの方に受け入れていただけるようなプロダクトであるべきだと考えていましたので、分かりやすい表現や、最短で査定完了までいけるルートなどを、専門の知見を持ったメンバーを含めてさまざまな検討を重ねて作ってきました」と長倉氏は語る。
できるだけ短時間で査定できるよう仕組みを複雑にしていないよう考慮した。利用者が店頭に置かれた自動査定機へ持ち込む必要はない。「特にAIなどを使って画像判定するといった高度な仕組みを使っているわけではなく、アプリの指示に従ってお客さま自身でチェックを入れていくような形になっています」と長倉氏は話す。
あえて複雑なAI判定を排し、ユーザー自身が直感的に操作できる誘導型の設計にすることで、誤判定や操作の迷いを防ぎ、誰もが最短で確実な査定結果を得られるユーザー体験を目指した。また、回線契約が残っていない端末でもWi-Fi環境さえあれば利用可能とすることで、自宅で眠っている「タンスケータイ」の買い取りのハードルも大きく下げている。
専用の査定アプリを利用することでその場で買い取り価格を確認できる。タッチパネルやカメラの動作、画面や背面の割れ、バッテリーの状態などを基に査定が行われ、買い取りが可能な場合はその場で買い取り価格が表示される本サービスは、買い取った端末の二次流通までを見据えたソフトバンクとLINEヤフーのグループ連携モデルとなっている。両社の強みを掛け合わせた狙いについて、榎本氏は次のように話す。
「LINEヤフーはこれまでもコマース領域やインターネットサービスに強みを持っていますので、そこの知見を借りつつ、ソフトバンクとしてはモバイル事業を通じて培ってきた端末に関する知見がありますので、グループ内で協業することで知見を生かしていきたいというのがまずあります」(榎本氏)
買い取りサービスの運用全般はソフトバンクが主導し、集客やプロモーションをLINEヤフーが担うという役割分担のもと、買い取った端末は「Yahoo!オークション」や「Yahoo!ショッピング」などでの再販売が検討されている。詳細は公表段階にないものの、今後のアップデートが気になるところだ。
「買い取った端末を『Yahoo!オークション』や『Yahoo!ショッピング』などを活用して再販売することで、グループ内での循環を作っていくことで、買取のパイも販売のパイも効率的に成長させていけるのではないかというところで連携する意義を考えています」と榎本氏は語る。
売却時の最大の不安要素である個人情報保護に関しても、暗号化データ消去を基本としつつ、有料の「データ消去証明書発行オプション(1000円)」を用意するなど、ユーザーが安心して手放せる体制を整えたという。
端末高騰と長期利用化という市場の構造変化に対し、ソフトバンクとLINEヤフーが提示したYahoo!スマホ買取。オンライン完結の手軽さとグループ内の循環力を武器に、中古スマホ市場における新たなデファクトスタンダードとなるか――今後の成長に期待したい。
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