これほど凝ったファッションで出掛けているにもかかわらず、顔を隠すのがホビ垢ならではのお約束です。ホビ垢の投稿では、顔をぼかしたり、ウサギなどのスタンプで隠したりした写真がほとんどです。そこには、せっかく作り上げた世界観を自分の顔で壊したくない、見てほしいのは顔ではなくファッションだから、といったさまざまな理由があるのでしょう。仲間うちでは、顔を隠すこと自体も「かわいい」と受け止められています。
また、初めから顔を写さないケースもあります。推しのアクスタ(アクリルスタンド)や写真をスイーツと一緒にテーブルに並べ、首から下だけを撮影するのです。あくまで見せたいのはファッションと推しだから、ということでしょう。撮影場所としては大理石のテーブルがあるカフェが特に好まれ、お薦めのカフェをまとめた投稿もよく見られます。
撮影した写真は、「Meitu(メイツ)」などの写真加工アプリで仕上げます。全体をふわっと明るい白っぽいトーンに整え、自分の姿は肌を白く、脚を長く、体を細く見せるよう加工するのが定番です。
ここまで見てきたように、ホビ垢はもはや単なるアカウントの呼び名ではなく、ファッションや行動様式まで含めたスタイル全体を指す言葉になっています。つまり、そこには1つの「界隈」(かいわい)が生まれているのです。
「界隈」は本来、「銀座界隈」のように、ある場所とその周辺を表す言葉でした。しかし近年では、同じ趣味や価値観を持つ人たちの集まりを「〇〇界隈」と呼ぶようになっています。「韓国界隈」や「二次元オタク界隈」のように好きなものを軸にまとまる場合もあれば、「風呂キャンセル界隈」のように、同じ行動を取る人たちが自虐を込めて名乗る場合もあります。
ホビ垢界隈は、SNSでのつながりや投稿を土台にしているとはいえ、画面の中だけで完結しているわけではありません。彼女たちは実際に推し活に出掛け、リアルな生活を満喫しています。推しを応援するため、そして推しにふさわしい自分でいるためにおしゃれをし、仲間同士で褒め合う。この一連の活動そのものが楽しいのです。
複数のアカウントを使い分けるのは、若者にとって当たり前のことです。その中から、ファッションや人とのつながりまで含めた「居場所」へと育ったのがホビ垢です。大人がそのまままねするのはなかなか難しい世界ですが、おしゃれなカフェで推しのグッズを撮影してみるなど、一部を取り入れるのも楽しいかもしれません。
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