「推しがいるから、明日も頑張れる」――推し活をする人から、よく聞かれる言葉です。今や推し活は、一部の熱心なファンだけの楽しみではありません。調査会社のクロス・マーケティングが2026年6月に発表した調査によると、推し活をしている人は全体の48%。ほぼ2人に1人が、何らかの「推し」を応援している計算です。
その熱量は、新たなビジネスも生み出しています。代表的なのが「応援広告」です。ファンがお金を出し合い、推しの誕生日や記念日を祝う広告を駅などに出すもので、街なかで見掛けたことがある人もいるのではないでしょうか。
最近では、バスターミナルや駅のサイネージなどの広告枠を個人のファンに開放するサービスも始まっています。これまで企業のものだった広告枠が、推し活の舞台になりつつあるのです。
推し活によるお金は、地域にも落ちています。例えば、キャンプを題材にしたアニメ「ゆるキャン△」は、静岡県や山梨県の実在の場所が舞台となっており、ファンがそのゆかりの地を訪ねる「聖地巡礼」が盛んです。
タニタの「推し活に関する意識・実態調査2026」によると、アイドルやアニメのキャラクターなどの「推し」がいる人の約半数が、聖地巡礼をしたことがあると答えています。
冒頭で紹介したクロス・マーケティングの調査では、推しへの1カ月の平均支出額が前年の7255円から1万603円に増えています。推し活がもたらす経済効果は、拡大しているといえそうです。
若い世代では、推し活から新しいトレンドも生まれています。SHIBUYA109 lab.が2026年9月に発表した「2026年上半期のトレンド」では、「ファッションスピ活」が挙がりました。
神社参拝やお守りといったスピリチュアルな要素を、ファッションの延長として気軽に楽しむもので、推し活とも結び付いています。例えば、ライブのチケットが当たるよう願う「当選祈願」や、推しがよく見える席を願う「神席祈願」などです。SNSには、推し活に御利益があるとされる「推し活神社」の投稿も多く見られるといいます。
ただ、推し活は楽しいことばかりではないようです。前述のクロス・マーケティングの調査では、推しがいる人の半数以上が、推し活に何らかの負担や悩みを感じることがあると答えています。
最も多かったのは「お金を使い過ぎてしまう」という悩みで、約2割に上りました。「時間を使い過ぎてしまう」という声も2割近くあります。チケット代やグッズ代、遠征費などを考えれば、うなずける結果です。
では、推し活に使うお金や時間を、みんなはどうやって工面しているのでしょうか。ビデオリサーチ ひと研究所の「推し活調査」(2024年2月)では、推し活のお金や時間をどう捻出しているかを自由回答で尋ねています。お金については、節約ややりくりの他、アルバイトやパートの時間を増やすなど「働く」という回答が集まりました。「ポイ活」で工夫するという声もあります。時間については、睡眠時間を削っているという回答が多く見られました。
働き方まで推し活に合わせる人もいます。人材サービスのネオキャリアが、年15回以上、ライブやコンサート、舞台などに足を運ぶ20代の社会人110人に聞いたところ、43.6%が公演の日程に合わせて有給休暇を計画的に取得していました。また、転職経験がある人の8割以上が、転職先を選ぶ際に推し活との両立を意識したと回答。重視した条件で最も多かったのは、リモートワークができるかどうかでした。推し活を軸に仕事を選ぶ、その熱量には驚かされます。
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