米Microsoftと米Yahoo!の公式ブログによると、両社は検索広告契約の主要部分を2010年末のホリデーシーズンまでに実施する方針だ。これには、Yahoo!が抱えている米国の広告主およびパブリッシャーをMicrosoftのadCenterプラットフォームに移行する措置も含まれる。
両社の契約は、Yahoo!のオンライン事業を支えるバックエンドの検索エンジンとしてMicrosoftのBingを採用し、Yahoo!は両社の検索広告主への販売業務をワールドワイドで引き受けるという内容だ。また、MicrosoftのadCenterプラットフォームもYahoo!の検索広告を支える技術として採用される。契約期間の最初の5年間は、Yahoo!のサイトで発生した検索収入の88%をMicrosoftがトラフィック獲得コスト(TAC)としてYahoo!に支払う。
MicrosoftのadCenterコミュニティーチームのメンバー、キャロリン・ミラー氏は、「AdCenter」ブログの5月6日付の記事で「Yahoo!とMicrosoftの両チームは、顧客のために高品質の移行エクスペリエンスをデザインするために努力している」と述べている。「2010年のホリデーシーズンが始まる前に米国とカナダで移行を完了させることを目指している。そのほかの国々でも2011年初めに完了する予定だ」
「Yahoo!の顧客は数カ月後に、Microsoft adCenter向けに広告を準備する方法について説明したメールをYahoo!から受け取る。Yahoo!の顧客は、今夏の終わりごろから移行プロセスを開始でき、移行を完了するのに数週間の期間が与えられる」とミラー氏は付け加えている。
一方、Yahoo!は「Search Marketing」ブログの5月6日付の記事で、移行プロセスがホリデーシーズンにずれ込むような問題が生じた場合には、adCenterへの移行が2011年初頭まで延期される可能性を示唆している。
米司法省と欧州委員会はいずれも、MicrosoftとYahoo!が10年間の検索広告提携を開始することを2月18日に認可した。司法省の当時の発表文は「米国の検索市場参加企業は、この提携への支持を表明しており、両社の技術が結び付けば、Googleに対抗する有力な競合勢力となるため、競争が促進される可能性が高いと各社は考えている」と述べている。「大多数のユーザーは、MicrosoftとYahoo!にとってGoogleが最大の競争制約要因だと考えている。MicrosoftとYahoo!は相互の競争ではなく、主としてGoogleとの競争にフォーカスしている」
米調査会社Experian Hitwiseの最近の報告によると、米国の検索市場でのBingのシェアは4月にやや低下して9.43%となった。これに対し、Googleのシェアは71.40%、Yahoo!は14.96%だった。総合検索の分野ではGoogleが市場を支配しているが、医療、旅行、自動車、ショッピングなど幾つかの特定分野ではBingが強みを発揮している。
机上の計算ではあるが、Yahoo!の検索件数がそっくりそのままBingに移動すれば、Microsoftは米国の検索エンジン市場の約4分の1のシェアを確保し、Googleと競争できるようになるだろう。それはGoogleの圧倒的シェアを脅かすほどではないにせよ、検索エンジン市場の勢力地図を塗り替えることは確かだ。
しかしMicrosoft-Yahoo!連合の実現には、ある種のリスクも伴う。
米FBR Capital Marketsのアナリストらは「今後の課題は、顧客とパートナーにとってスムーズな移行となるようなパートナーシップを実践することだ」と2月18日付のリサーチノートに記している。「MicrosoftとYahoo!は、顧客とパートナーのビジネスを混乱させることがないよう、スムーズに移行作業を進める必要がある。混乱が生じたりすると、顧客やパートナーがさらに多くの取引をGoogleに移すという事態になりかねない」
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