米市場調査会社IDCによると、7〜9月期の全世界のサーバ市場は売上高が13.2%の増加、出荷台数でも13.1%の増加となった。世界的にサーバへの需要拡大が続いたのが要因だ。
「企業の間でx86ベースのシステムへの需要が高まったのを背景に、米Hewlett-Packard(HP)はサーバの売り上げでトップに立った」――IDCは12月1日に発表した報告書でそう述べている。米Gartnerが11月29日に発表したデータもサーバ市場の拡大を裏付けている。Gartnerによると、7〜9月期のサーバ市場は台数ベースで14.2%、金額ベースで15.3%の増加を示した。
IDCのアナリスト、マシュー・イーストウッド氏によると、サーバ市場は昨年の景気後退期に数四半期にわたって低迷が続いたが、その後で大きく回復し、この状況は現在も続いているという。
「2010年第3四半期、サーバ市場はこの10年間で最も力強い成長を示した」とイーストウッド氏は発表資料で述べている「世界のすべての地域において、2四半期連続でプラス成長となった。その背景には、中堅・中小企業、大企業、公共部門、クラウド/ホスティング企業の間でインフラの拡張と更新が進んでいることがある。7〜9月期のインフラ更新は、x86システムおよびCICSベースのメインフレームの分野が中心だったが、2010年10〜12月期にはUNIXプラットフォーム市場の回復も見込まれるとIDCは予想する。
IDCによると、HPは第3四半期にサーバ市場で33.4%のシェア(金額ベース)を確保した。同社のサーバ製品の売上高は22.4%の増加となった。一方、2009年7〜9月期にトップだったIBMは、今期は市場シェアが30.6%で2位となった。世界の大手サーバOEMの上位5社のリストには、そのほかに米Dell、米Oracle、富士通が入った。
IBMのPowerシステムは相変わらず低迷しているが、System zメインフレームの需要が拡大した。これは主として、同社が7月に発表した「zEnterprise」システムの効果によるものだ。同社のx86ビジネスも依然として堅調だとIDCは指摘する。IBMのz/OSサーバの売り上げは、昨年同期と比べて14.8%増加して10億ドルに達した。これは7〜9月期のサーバ市場の売上高全体の8.6%に相当する。
x86サーバ市場の売上高は28.1%増の78億ドル、出荷台数は13.8%増の190万台となった。
「x86サーバ市場に限定して言えば、高度な性能を備えたx86サーバへの需要が伸びた」とIDCのアナリスト、ルーベン・ミラー氏は発表資料で述べている。「x86サーバ市場は年間を通じて台数ベースでも金額ベースでも成長しているが、より強力なシステムへの需要のシフトは、販売台数の増加ペースを上回る売り上げ拡大をベンダー各社にもたらしており、その結果、各社はより高い利益率を確保するようになった」
「UNIXサーバ市場は依然として縮小を続けており、特にハイエンドとローエンドの分野でその傾向が強い」とIDCは指摘する。しかし、ミッドレンジ分野(2万5000〜25万ドルのシステム)は成長を示した。企業が古いUNIXシステムからワークロードを移行する統合プロジェクトや、通信、銀行、政府などの部門でシステムの拡張が進んだからだ。
IDCによると、ブレードサーバは7〜9月期のサーバの売上高全体の14.1%を占めた。金額ベースでは23.1%、台数ベースでは5.5%の増加だった。昨年の景気後退期でも、ブレードサーバはほかのフォームファクターほど深刻な打撃を受けなかったため、ほかのシステムと比べるとその増加率が目立たなかったという。しかしブレードサーバに対する需要は高い。
「ブレードシステムは、ベンダー各社のサーバポートフォリオで戦略的な要素として位置付けられている。各社とも統合ソリューションの基盤として同プラットフォームを推進しているからだ」とIDCのアナリスト、ジェッド・スカラメル氏は発表資料で述べている。「さらにベンダー各社は、より多くのワークロードに対応するためにブレード製品ラインの拡充を進め、高度に仮想化された環境、スケールアウト方式の配備、ハイエンドのワークロードといった分野への注力を続けている」
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