「デザインはシンプルだが何も妥協していない」――日本マイクロソフトは7月17日、カスタマープレビューを公開した次期オフィススイート「Office 2013」の新機能を説明した。同社のロアン・カン業務執行役員 Officeビジネス本部 本部長は「(Office 2013のデザインは)シンプルで最小限。日本の“禅”に通ずると思う」とし、新製品の狙いを語った。
Office 2013は、2010年に発売された「Office 2010」の後継ソフト。Windows 7以降を搭載したPC、スマートフォン、タブレット端末や、Windows Server 2008 R2以降で利用できる。カスタマープレビューは英語版、スペイン語版、日本語版の3種類が用意されており、正式版の提供は米Microsoftのオリジナルタブレット「Surface」のWindows RTモデル発売(=Windows 8の発売)と同時期になるとみられている。
Office 2013の最大の特徴は、タッチパネル搭載デバイスを含むさまざまな端末に対応するインタフェースだ。「コンテンツにフォーカスするため、画面遷移やボタンを極力排除した」(内田修 Officeビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネジャー)ほか、タッチインタフェースでの利用時には画面の右側に主要メニューを表示。タブレットなどから右手親指で操作しやすいよう工夫したという。
また「全てのOfficeの操作をタッチだけで行える」(カン氏)という「リングメニュー」を搭載。例えばOneNoteでのドキュメント作成時には、画面上に表示される「A」という円をタッチすることで、フォントの大きさや色などを直感的な操作で変更できるようになっている。
カン氏は「Office 2013のデザインはシンプルだが、何も妥協していない」と話す。ボタン類や画面遷移を減らして直感的な操作方法を拡充したことで、さまざまなデバイスへの対応を実現したという。「日本の禅にも通ずると思う。“シンプル”に徹した力がある」
同社のクラウドサービス「SkyDrive」との連係機能も搭載した。WordやExcelなどで作成した文書ファイルの保存先は、デフォルトでSkyDriveになっている(ローカルフォルダや他社オンラインストレージへの変更も可能)。ユーザーはWindows Liveアカウントを使ってOffice 2013にサインインすることで、複数のデバイスをまたがって編集作業を行えるという。
「統計によれば、世界中の4分の3以上の人々が2台以上のデバイスを保持している」とカン氏は指摘する。「日本のスマートフォンユーザーの割合は2011年には15%だったが、2012年の今となっては30%に達している。マルチデバイス化は止められない」と、Office 2013でマルチデバイス化に対応する狙いを説明した。
ソーシャルサービスとの連係機能も強化した。Outlookの「コンタクト」タブを「People」に名称変更。Windows Phoneで既に提供している連絡帳機能「People」と同様に、TwitterやFacebook、LinkedInなどの複数の連絡先を取り込んで一元管理できるようにした。
「市場は大きく変わっている。人々はさまざまなデバイスを介して直感的につながったり、クラウド経由で友達とコンタクトしたりするようになった。それを踏まえて次期バージョンのOfficeを開発した」とカン氏。新製品の完全なラインアップと価格体系は今秋発表される予定だ。
7月20日追記:「Office 2013」はパッケージ製品、プレインストール版などを含む永続ライセンスのラインアップを指し、製品の名称は「次期Microsoft Office」となります。
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