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» 2012年12月26日 08時00分 UPDATE

「他社には絶対追いつかれない」「ようやくメディア企業になった」──「Amebaスマホ」、藤田社長の狙い (2/2)

[本宮学,ITmedia]
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App Storeで1位になっても意味がない

――Amebaスマホで展開しているサービスの多くはWebブラウザ上で提供している。ネイティブアプリではなくブラウザに照準を定めた理由は。

藤田社長 当社が提供するようなコミュニティーサービスは、運用に運用を重ねて伸ばしていくものです。例えばFacebookやTwitterも、日本に来てから1、2年たってから急に伸びましたが、それは(ヒットするまでの間も)ちゃんと運用していてユーザーがいたから後から伸びてきたのだと思います。これがもしサービスを運用できない状態になってしまうと、どうしようもなくなってしまいます。

 例えばApp Storeにネイティブアプリを出すと、承認やリジェクトといったフローに約1週間もかかるため、待たされている間にコミュニティーが“終わって”しまいます。したがって、コミュニティーサービスを運営する上でネイティブアプリという選択肢はそもそもあり得ませんでした。

 ネイティブアプリを出す場合、AppleやGoogleにとっての単なるソーシャルアプリプロバイダーということになるので、1つ1つのアプリがヒットしても何にもつながりません。これに対し、ブラウザベースのサービスなら一度獲得したユーザーを“資産”として他のサービスに横展開できます。

 また、当社はグループ企業を通じ、ブラウザベースのサービスが収益化できることも知っていました。(同社子会社のCygamesがMobageに提供している)「神撃のバハムート」などはApp Storeで1位のアプリをはるかに上回る収益を上げています。

 これまでスマートフォン向けにいろいろなアイディアを出しては取り組んできましたが、アプリを出してApp Storeで1位になって喜んでいても意味がないことを何度も学びました。何回1位になったか分かりませんが、何も変わらないですよ。こうした中で、今は自社のプラットフォームでサービスを提供している。われわれの戦略は、自分で言うのもなんですが地に足が付いていると思います。

他社に「絶対追いつかれない自信がある」

――Amebaスマホをプラットフォーム化する計画が昨年8月に決まり、具体的な動きがあったのは今年からだ。当初から社内では準備を進めてきたのか。

藤田社長 初めのうちは、一部の幹部との合宿形式で秘密裏に計画を進めていました。他社にこの戦略を知られてしまうと検討されてしまうし、出し抜きたいと考えていたからです。また、当社は子会社のソーシャルアプリプロバイダーを通じてディー・エヌ・エー(DeNA)やグリーとの付き合いも深いので、そこへの配慮もあってプラットフォーム化のことは言わない方がいいと判断していました。

 それにより、社内でも「なぜブラウザベースなのか」など意思統一ができなかった時期もありましたが、ようやく分かってもらい、サービスも形になってきました。

photo サイバーエージェント社内の「Ameba事業部」では現在、開発チームごとにデスクを分け、サービスの横断幕を張って開発の士気を高めている

――秘密裏に進めてきたプロジェクトが今、テレビCMなどを通じて完全にオープンになった。

藤田社長 もう絶対に他社が追いつけない自信がありますから。88の開発ラインを作って、これだけオペレーションを作って改善、改善に入っている。後から同じようなサービスを作ってもなかなか追いつけないですよ。

――グリーやDeNAなど他社もテレビCMでユーザー獲得を図っている。競合の状況をどう見る。

藤田社長 ライバルは特にないと考えています。一番すごいのはLINE(NHN Japan)ですが、そもそも当社のサービスとは関係ないと考えています。LINEが流行ったからといって、ユーザーがAmebaスマホをやらなくなる理由はありません。

 また、ミクシィやグリー、DeNAとはソーシャルゲームなどで一部(競合関係が)なくはないですが、戦略が違います。Amebaスマホはコミュニティーであり、ゲームサイトという打ち出し方はしていません。ライバルを挙げるとすれば自社自身とネイティブアプリですね。ユーザーがネイティブアプリよりブラウザを見てくれるようにならないといけないので、その動向が今後どうなるかは注意深く見ていくつもりです。

会社をAmeba中心に

――サイバーエージェントは売り上げの約半分を広告代理業などの法人向けビジネスが占めている。今後は法人向けビジネスと一般ユーザー向けサービスのどちらに重点を置いていくのか。

藤田社長 基本的には、Amebaを中心としたものにしようとしています。今までの(法人向けビジネスやAmebaなどが混在する)“コングロマリット的”な経営から、Amebaが軸でそれ以外も一部やっているという状況まで持っていこうと考えています。そうした意味でスマートフォンでの飛躍が成長だったため、今勝負を仕掛けているわけです。

 かつて私自身も社内では広告代理業のフロアにいましたが、今では(Ameba事業部のフロアにデスクを移して)全て一般ユーザー向けサービスに向いています。広告代理業は広告代理業で頑張っていますが、「Amebaの会社にしていく」というメッセージがぶれるので、個人的には意図的にそちらを見ないようにしています。

 サイバーエージェントをメディア企業として成長したいという考えは創業時から持っていましたが、なかなかうまくいきませんでした。Amebaに本当に注力したのは2007年からで、2009年に黒字化を達成し、今ではAmeba事業部が最も稼ぐ部署になり、ようやくメディア企業になりました。ただ、Amebaをダントツで稼ぐ事業に育てようと思っているので、これからが勝負ですね。

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